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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

ケイオスドラゴン 赤竜戦役 2

ケイオスドラゴン 赤竜戦役 2

三田誠:著
混沌計画:原作
しまどりる:イラスト


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アニメ、ケイオスドラゴンのノベライズ2巻目です。
3冊構成の真ん中ということで、序盤とクライマックスのつなぎのような話をやっていた部分となります。
内容的にはハイガで禍グラバと邂逅した後、混成調査隊がどのように動くかという会議があって、結論として赤の竜が狂った場所とされるオガニ火山へ調査に赴くという流れ。
そこで出会った竜が狂った証拠、根拠を目にした上で、ハイライトとして巨人との戦い。そして、忌ブキの妹である祝ノリが登場してくるところまでとなっています。

重点が置かれているのは忌ブキと周りの人の人間関係。それと、スアローの過去と婁の考え方の在り方というところでしょうか。
忌ブキは赤の竜に与えられた力が「友達」という犠牲を強いることから、他人から距離をとろうとしていますが、元来の性格から、徐々にいろんな人物を「友達」と認識していく過程が描かれています。この巻ではその片鱗が見受けられるのが、敵であった楽紹やエィハといった人物。スアローや婁にはまだ警戒心というか、距離感があるように見受けられます。決定的に「友達」として認識できてないのが、忌ブキを王としてあがめる革命軍の人たちなのが皮肉なところです。敵であった楽紹ですら、その本心や人柄に触れて「友達」と認識されるというのに、忌ブキのためにと言いながら、忌ブキの犠牲になろうとする革命軍の人物(この巻では緋エン)が「友達」として認識されてないのは皮肉なことだなぁと思いました。
これは原作であるレッドドラゴンでもそうだったんですけれど、忌ブキって混成調査隊の面々や自分の内心を打ち明けてくれる人には親近感を持つけれど、国のためっていう目的があけすけに見える革命軍には心を開かないんですよね。
レッドドラゴンでは忌ブキにこういう特殊能力はなかったので、アニメ化にあたっての変更点となるのですが、忌ブキの考え方、人との距離感をうまく物語に組み込んだなぁと思いますね。

忌ブキを中心とした人間関係が文章で書かれることで、すごくわかりやすいです。
婁がもう、明らかに七殺天凌のことしか考えてないとか、スアローが過去の自分と忌ブキを重ねてみてるとか、アニメだとシーンは挿入されても、何と結びついているのかわかりにくかった箇所が明確になるので、すごくすっと話が入ってくる印象。
そして、何よりも面白いって感じるんですよね。婁の行動だけちょっと唐突に感じるところもあるにはあるのですけれど(楽紹殺害とか結果的に理由は分かるんだけれど、そもそもなぜそこに行ったのかとかが唐突に感じないでもないです)、アニメ版の説明不足はものすごいものだったので、これくらい説明してくれると話に没入できてよかったのです。

さて、あと一冊。
アニメは歯切れが悪く終わった感じがあったけれど、エィハ以外の人の行く末とかきちんと描いてくれるかなぁ。

 

ケイオスドラゴン 赤竜戦役 1

ケイオスドラゴン 赤竜戦役 1

三田誠:著
混沌計画:原作
しまどりる:イラスト


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2015年の第三クールに放送されたアニメのノベライズです。
アニメをみての感想はこちら
アニメの感想を読んでみると、かなり辛辣な評価を下しているのですが、そんな作品のノベライズをなぜ購入してまで読んだかというと、もともとの原作にあたるRPF レッドドラゴンが面白くて、それをベースにアニメ化したのになぜにこんな出来だったのかと思ったからです。
ノベライズの作者はレッドドラゴンでマスターをやっていた三田さんですし、どこまで、あの面白くなかったアニメを、面白い作品としてノベライズでまとめられているかというのが気になったからです。
かなり後ろ向きな興味の持ち方だとは思いますが、それだけこのケイオスドラゴンには期待してたんですよ。純粋なファンタジー作品のアニメ化って珍しいので。
それがこけてしまったので、悲しかったという感じです。

なお、このノベライズが出たころのケイオスドラゴン関係の企画は、アニメを最初のエピソードとして、スマホゲームおよびボードゲームが発表されて互いにリンクしているという企画でした。
1年半ほどたった現在、スマホゲームはサービスを終了、ボードゲームは音沙汰無しの体たらくとなってしまっています。
正直、「つかみ」を担当したアニメが面白くなかったですからね。
そら、こけるわと思わないでもないです。残念ですが。

さて、気を取り直して、本書ですが。
出来が良いです。ストーリーとしては混成調査隊がハイガの街にたどり着いて、禍グラバが登場したところまでとなっています。
そこまでに起こった出来事というと、忌ブキが孤児院にいて戦火に巻き込まれる、ニル・カムイの革命軍が蜂起して戦闘になる、忌ブキが契り子になる、孤児院の仲間を犠牲にして黄爛の軍を退ける、スアローから混成調査隊のことを聞く、婁が合流する、混成調査隊が旅に出る、ハイガで黄爛とドナティアのにらみ合いを見る、ハイガに忍び込む、禍グラバに出会うという感じの流れになっています。
単純に書くとこんな感じですが、アニメだとこれをそのままアニメ化した感じだったんです。僕は今、あらすじを舞台背景の説明をなしに書きましたがアニメ化はまさにそんな感じでした。
今回のこの本書では、これらの舞台背景の説明がきちんとされて、登場人物の心情が適度に掘り下げられて、忌ブキ以外の主要登場人物がその時、どんなことを考えていたかが垣間見えるようになっています。
アニメだと一言で終わってしまう感情表現が数行説明されるだけで、何とも変わるものだと思いました。
また、アニメでは終始、忌ブキが中心にいて彼の心情の描写は多かったですが、重要な登場人物であるスアローや婁の心情表現が少なかった。
彼らの背景が明確になることで、話にこれだけ魅力がでるんだなぁと感心しました。
やっぱり面白いんだよ。この話。ちゃんと語られれば。
エィハの心情の掘り下げがまだ少ないのがちょっと気になるところですけれど、彼女がこれから忌ブキにとって大切な人物になっていく過程をこれから描いていくんだろうなぁっていう期待感がもてます。

アニメがこけた理由は尺だなぁって思いました。
レッドドラゴンの話をぎゅっと要素を取り出して再構築するにしても、語るべきところってのはある程度いっぱいあって、それがアニメ12話では描き切れなかった。話を追うだけで精一杯であるボリュームだった。
それがこのノベライズでは3冊使って表現できるのだから、期待ができますね。
もう一回、あの世界の物語を楽しませてもらおうと思います。

 

やっぱり、へぇな会社 やる気と能力を引き出す意外な方法42

やっぱり、へぇな会社
やる気と能力を引き出す意外な方法42


朝日新聞「へぇな会社」取材班+よしたに:著
朝日新聞出版


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世の中にある一風変わった会社を紹介する本の2冊目です。
基本的には一風変わった社風を持った会社の成功事例を紹介してる本文と、よしたにさんのちゃかし漫画によって構成されている本です。
前は39社を紹介していて今回は42社を紹介しています。

読んでいて面白い。
こういった考えで成功する事例があるのかと思ったり、単純にこういう制度いいなぁと思ったりしながら、読むことができます。
ひとつひとつの記事は短いので読みやすく、するっと読んでいけます。
ただ、1冊目に比べて驚きは少なくなりましたね。
慣れたというのもあるのでしょうし、極端な会社から紹介していったこともあって、今回はすこし普通の人でも考えつくアイディアな感じの会社が多く紹介されていたという印象があったからかもしれません。

前は会社が成功するためには、儲けるためにはというのに特化して書かれていた気がしますが、今回は人材をどう生かしていくか、どう経営することで顧客とどうつながっていくのかをテーマに取材された会社かな?という印象を持ちました。
この本、2015年の6月に出ている本です。前の巻は2014年の刊行でした。毎週連載ですから、2016年に3冊目が出てもよさそうなのに、この続きは出てませんね。
厳選してるのかな?
新聞に掲載されることで反響が大きすぎて、本にまとめる時には掲載を辞退する会社とかもあるらしいので、そのせいで、本にするだけの数がそろってないのかな?
何にせよ、次が出たら、次も読もうと思います。
この本に載った会社へ転職する気はありませんが、自分の所属する会社と見比べるというのも自分の糧になるとは思うので。

普段、ラノベをメインとした小説ばかりですから、新鮮ですね。
こういうビジネス書籍を読むのは。

 

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅥ ―ワン・サマー・デイ―

ソードアート・オンライン オルタナティブ
ガンゲイル・オンラインⅥ
―ワン・サマー・デイ―


時雨沢恵一:著
黒星紅白:イラスト
川原礫:原案・監修
電撃文庫


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やたらとタイトルの長い作品6巻目。順調に巻を重ねていっています。
さすがに、タイトルを長くし続けるのは無理だったのか、今回は前回ほどは長くはありません。
また、上下巻構成が2回続きましたが、今回はこの1冊で完結するお話となっています。
とはいえ、この巻だけ読めるかという訳にはさすがに6巻ですからね。
そういう訳にはいかず、きちんと前の巻は読んでいる必要があります。そう考えるとへヴィーオブジェクトはかなり頑張ってるんだなぁって思いました。

さて、一貫してスクワッド・ジャムというGGO内のプチ大会を舞台に展開してきた本作ですが、今回はスクワッド・ジャムではなく…。
スクワッド・ジャムの上位入賞者に声掛けされたテストプレイというお題目になっています。
新型のNPCが守る陣地を攻略するというテストプレイという内容で、上位入賞者だけに声掛けされていますから、序盤から今まで名前が出てたようなチームばかりが出てくることになります。
レンは前回と同じくLPFMで参加。目的はボスたちと決着をつけることです。
テストプレイの攻略が二の次になっているのがレンらしいと言えばレンらしい状況です。

序盤こそ全日本マシンガンラバーズと戦ったりしますが、結果的に新型NPCへの興味という理由と時間的制約からテストプレイを攻略するという形になります。
そしてぶち当たる恐ろしく連携がとれていて高度な技術を持ったNPCのチームの防壁。
この時点で、僕はある可能性に気が付いて、実際それがこの話の肝だったのですが、分かりやすいと言えばわかりやすかったかもしれません。
本編であるソードアート・オンラインでもVRMMOの医療目的での利用ってのがちらほらネタにされていましたが、GGOも例にもれずというところでしょうか。
レン達と戦うこととなったNPCが実はという話ですが、彼らはそれで救われていった。
それがなかなかいい話だったと思います。
レン達もゲームと思って楽しめたのでしょうし、一挙両得だったかな。
ただ、NPCの首領であったジェイコブの意識にレンが戦いを楽しむ悪魔のような小娘という印象で残ったのはちょっと笑える感じでした。
レンとしてはゲームだからという意識があってのセリフだったのですが、現実と境目がなかったらレンがジェイコブに放った台詞は怖い台詞だなぁと思います。

しかし、やっぱりGGOってゲームなんだなぁと思いました。
GGOでいかに強さを発揮してもいかにピトフーイが悪魔のような能力を誇っていても、それはゲーム内での話。
実際になったら、実際にリアルに近い戦場での戦いになったら。
というのが、この巻で見られたような気がしました。
それに対して、レンが早さに特化しているとは言え、いかに強いかというのを垣間見たようにも思えました。
結果的にボスたちとの決着はまたつかず、レンとピトフーイの直接対決もありませんでしたから、まだ続くことでしょう。
ただ、ここで終わっても良い感じの話でした。今回は。

続くかなー?続くだろうなぁ。

 

甲鉄城のカバネリ 追憶の邑

甲鉄城のカバネリ 追憶の邑

笠岡淳平:著
甲鉄城のカバネリ:原作
美樹本晴彦、たまきまさひろ、柏木仁:イラスト
マッグガーデンノベルズ


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甲鉄城のカバネリのスピンオフ小説第2弾。
前の暁は前日譚でしたが、アニメの作中の出来事で描かれなかったエピソードというスタイルで書かれた作品となっています。
時系列としては八代駅で黒けぶりと戦った直後という話になっています。
視点は何人かの登場人物の間を渡り歩くことになりますが、生駒が視点を持つシーンが短いのが新鮮でした。その結果、他の人物が視点を持っていることが多くなるのですが、他人の視点から見ると生駒ってこんな感じに見られてるんだというのはなかなかに面白い要素でした。だいたいが、バカという印象を持たれていてそれゆえに心の芯の強さを持っているというのが他人から見た生駒像というところでしょうか。

本作で主役的な立場になるのは郁那、無名、巣刈といったところです。あとはこの作品のみの登場人物である若乃という女性を中心に、アニメでは描かれなかった人間模様が描かれていきます。
特に、郁那と無名の過去にかかわる話であり、設定的に重要な要素である狩方衆がカバネ研究を行っていた場所(アニメでは克城の中で研究していたように描かれていましたが当然、それだけでは足りないし不便なので拠点を持っていた)についての話になっています。
カバネに飲み込まれて不幸にも滅びてしまったひとつの村。そこを後に狩方衆が拠点としたことでさらなる不幸が起こっていくという話。
昔話として語られて、食料補給に立ち寄った甲鉄城の面々がその村に残された資材によって助かるという話なのですが、重要になってくるのは過去にこの村にいたことがある人物がいるということになります。
狩方衆の一員である無名はもちろんとして、郁那がこの村の出身者ということになっていて、かつてあった悲劇を思い出していく。また、郁那、無名の両名に若乃がかかわっており、悲劇の連鎖がそこで起きるという話になっています。
結果的にその悲劇は生駒や無名の活躍によって断ち切られましたが、少し悲しい終わり方でした。
この作品の世界で生きていく、生き残っていくことの意味を今一度、読者でありアニメの視聴者であった人たちに伝えるといった内容になっていました。
悲しい終わりだったけれど、未来が無いわけではない。そんなエンディングでアニメのエンディングにも重なるような感じがしました。

よくまとまっていた作品だったと思うんですけれど、それ故か、ちょっと偶然が重なりすぎてないかな?って思う部分もありました。
立ち寄る村である弥津村の出身者である郁那や若乃が甲鉄城に乗り合わせるとか、そこに狩方衆のひとりとして、かつての若乃と面識のある無名がいるなど、ちょっと偶然が多いなぁと読んでいた間は思っていました。
でも、カバネリの世界って、駿城の数は限られているし、世界も駅と駅を結ぶ線路に限られているので、人の数も少ないことが想像できます。
そう考えれば、こういった偶然の比率も高いかなと思えて納得できました。

あと気になる点としては、話がものすごく甲鉄城のカバネリという作品の核に近いところを絡めてきているため、どうしても、この時点でそれを知っちゃいけない人物が知識を得てしまうということが起こっています。
それが、ちょっと気になりました。
ただ、このエピソードを入れるとしたらこの位置しかないですし、仕方ないところでしょうか。
あとから書かれたスピンオフであるつらさといったところが見えてしまう作品でもありました。

内容的には3つの時系列がひとつの村で語られるという、なかなか読み応えがある作品でした。
そして、無名などのセリフから甲鉄城のカバネリの世界観が広がる感じがして面白かったです。

 

BLOOD#

BLOOD#

藤咲淳一:著
Production I.G、Aniplex:原作
箸井地図:イラスト
マッグガーデンノベルズ


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2005年から2006年にかけてTVで放送されたアニメBLOOD+の続編小説。
放送から10年経過したことを記念して監督自ら書かれた作品となります。挿絵イラストは放送当時のノベライズ作品のイラストを担当されていた方で、本編とのつながりを感じさせる作家陣となっています。

BLOOD+のラストでは、主人公小夜が眠りにつき、義兄であるカイが小夜の敵であり妹であったディーヴァの遺児の双子を連れて小夜の眠る墓所へ墓参りにいくというシーンで終了していました。
本作の主人公はこの双子の姉妹。ディーヴァの残した遺児である響と奏の姉妹です。
本作では響が姉で、奏が妹となっていましたが、なんとなく当時の記憶をさかのぼってみると逆じゃなかったかなぁと思ったりもしました。
ただ、名前の響きから、作中の役割を考えて変えたのかもしれませんね。些細なことかなと思います。

本作ですが、当然といえば当然ですが最低限、BLOOD+を知っていることが前提となっています。最低限の説明は作中でされているのですが、作品を楽しむという面ではやっぱり足りなくて、特に登場人物について事前に知っている必要があります。
小夜やディーヴァは当然知っている必要がありますし、カイ、デヴィッドやルイス、ジュリア、真央、ルルゥといった人物を知っている必要があります。
これらの人物がどういった人物なのか知っていないと、出てきたときに誰?ってなります。
ぶっちゃけて、主要な登場人物で響と奏を除くと、あと二人しか新規の登場人物がいません。それだけ、元のアニメを意識して書かれた小説となっています。

10周年記念作品ですが、作中の時間はもう少し流れていて15年くらい経っている計算になっています。響や奏は高校生になっており、進学するかなど将来を考える時期となっている。
自分自身を確固たるものとして求め進学を希望する響や、自分自身を見つけられず希望はあるもののその日を暮らしていく奏を巻き込む形で事件が起こっていきます。
彼女たちが幼い頃からその芽はあって、あの沖縄の地から各地を転々として移動して成長してきた二人の生い立ちが語られ、そして物語が始まります。
突如として居場所を奪われ、そしてそれぞれ救い出される響と奏。それぞれデヴィッドとアダムという人物に救われます。
ここで、BLOOD+を知っている人なら、あれ?と思うんですよね。アダムは赤い盾として奏を救ったように語ります。デヴィッドは響を連れて赤い盾から逃げるのですが、デヴィッドはもともと赤い盾のエージェントの名前です。赤い盾という組織がどうなってるの?というところがカギになって話が進行していきます。
よくよく考えれば、デヴィッドかアダムかどちらが怪しいかはすぐわかるんですけれど、なかなか面白い内容でした。
あの戦いを経てもまだ、暗躍する人物がいるしなかなか奥が深い話だなぁと思いました。
しかし、カイ、全然、響と奏に「語り継いで」ないじゃん!
「語り継ぐこと」って曲で終わったんだからさ、あの二人の戦いと思いをちゃんと語り継いでおこうよ!
まぁ、結果的に響と奏がその役目を負っていくような終わり方でしたけれど。

しかし、10年前の作品の続きってずいぶん思い切ったことするなぁと思いました。
僕はBLOOD+は好きだったのでありがたい作品だったのですが。
これ、売れてるのかな?売れてほしいなぁ。

 

暗極の星に道を問え

暗極の星に道を問え

エドワード・スミス:著
クレタ:イラスト
電撃文庫


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久しぶりに表紙買いした本。
電撃文庫の新刊の書影を電撃のサイトで見ていた時に、あ、なんか面白そうと思って購入を決めた本です。その時点で王道的なファンタジー作品でありそうという情報だけでの購入でした。
購入にあたって勘違いしていたことがいくつかあって、まず、新人賞の受賞作であると思ってました。ちょうど86という新人賞の大賞受賞作が出たのと同時だったので、これも新人賞関係の作品だと思ってました。作者さんを知らなかったので。
そしたら、すでに何作か作品を発表されている作家さんでした。
なお、この外人ぽいペンネームの作者さん、純然たる日本人だそうです。幼女戦記の作者さんといい、外人ぽいペンネームを付けるの流行ってるんですかね?
ちょっと困惑する。
新人賞作じゃないと気が付いたときに、あぁじゃあこれ外国の作品の翻訳本なのかな?って思っちゃいました。電撃文庫でも一時、翻訳ものを出していたことがあったので…(「ある日、どこかのダンジョンで」という作品です)。あとがき読んだら違ったですよ。騙されましたですよ。

ちょっと、面白い世界設定になっています。
ファンタジーにしては宇宙を感じさせる設定で、宇宙を渡る竜の骸が星になりという風にな感じになっています。竜以外にも大地の上で死んだ巨人などの骸が各地の地形を作り出したという設定です。これが、後々に信仰やなんかの元になっているというのが面白い設定だなぁと思いました。
ファンタジーだとその舞台が魅力的であるかというのは基本的に素晴らしいことだとおもいます。最近のファンタジーはそれがないがしろにされた、量産型の世界観が多い気がしてなりません。その点、この作品は舞台に魅力がある点で一歩リードしていた感じがありました。

内容的には、僕は初めて読んだ感じの作品だったのですが、魔王を退治するために選ばれた勇者が魔王討伐の後に裏切られて、人類の敵になるというストーリー。
先に書いた通り、僕は初めて読んだパターンなのですが、どうやら、最近の作品ではこのパターン、多いらしいです。
勇者であったトウカは、凱旋した後に仲間であった、王子であるアズハールに裏切られ、命を狙われて、逃げることになります。
そして、その逃げる過程でかつての仲間は皆殺しにされ、自らも重症を負うのですが、それを助けたのが結果的に敵であった魔族。
そのことから、魔族が憎むべき敵、下等な種族などではなく、人間的な情緒をもった存在だと知り、魔族や森の民を味方につけて、自らと持ち出された神剣を狙って追ってくる王家の兵と戦っていくという物語になっていました。
魔族たちを差別している図というのができていましたが、人種差別的なところがあって、現実世界の問題点、ある一定の民族へのヘイトなどを皮肉っている感じに受け取れました。
1巻でアズハールとの戦いは決着がついてしまいます。
トウカが新たな力に目覚めて、アズハールを倒して終わるという感じですが、詰め込んだ感じがありますね。
いろいろ詰め込んであるのですが、展開が面白いので、読みにくい感じはありません。良いペースで読むことができました。

ただ、残念な点が1点。
登場人物のセリフが、現代日本の口語であること。しかも若者言葉。(笑)
ファンタジーで登場人物が「イケメン」とかのたまうとは思わなかったですよ。
それさえなければ最高だったのになぁ。
まぁ、目をつぶれないの残念度合ではないですが。
続きがありそうなので、続きを期待したいと思いたいと思います。

 

86―エイティシックス―

86―エイティシックス―

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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第23回電撃小説大賞受賞作。
新人賞の受賞作って読み切りであることが多いことや、その作家さんがまさに本気で取り組んで書き上げた作品であることが多いので、前はよくチョイスして読んでいました。ただ、ここのところ、登場する作品の多くにやたら長いタイトルがついていて、どうも似たような作品が多い気がしていました。ハーレムものが多くて、異世界召喚ものが多くてという印象。それが売れ筋なのでそういった作品が多く選ばれるのは仕方ないとしても、あまりに似た印象を持つことが多かったので、しばらく新人賞の作品を手に取っていませんでした。
この作品は、そんな表紙やタイトルから受ける印象とは無縁で、ごくシンプルな印象を与えるタイトルがついていたので気になった作品でした。また、関係作家さんの名前の中にメカニックデザイナーとしてI-Ⅳ氏の名前が。I-Ⅳ氏の描くメカは好きだったので、読んでみるかなとなった作品です。この時点で持っていた情報はメカもので新人賞大賞受賞作であるということだけでした。

さて、購入する段階になって、帯を目にします。キノの旅の時雨沢さんが大絶賛したという金色の帯が付いていました。表紙の折り返しの説明文では、どうやら差別された人たちが無人とされている兵器に乗り込まされており、戦争は無人で行われていると公表されている世界観。そんな世界で出会うひとりの青年兵と特殊通信で安全なところから指揮管制を行う少女。というところから始まるストーリーということのようでした。
ここ、無人機とされている戦争兵器に実は人が乗っているという厳しい現実、無人機とされているということは乗っている人は明らかに差別を受けている人物である、戦闘指揮官は安全な場所にいるいわば特権階級、という情報がつかめました。
そのうえで、あぁこれは好みの作品だなと直感しました。
そしてその直感は正しかったです。

架空の国家であるサンマグノリア共和国とギアーデ帝国の戦いを描いている本作ですが、どうも地図上ではフランスとドイツをモデルにしている感じでした。共和国側が主人公であるシンやヒロインであるレーナが暮らす国で、攻め込まれている側となります。ギアーデ帝国は戦闘に無人の多脚戦車を導入しており、それに対抗するために共和国側でも無人機を作って戦争をしているという物語。ですが、共和国側は完全に無人機にするのはできなくて、有人機を無人機と公表して使っている。乗り込んでいるのは共和国にある85の区の外で暮らすことを強いられた人々。その人たちに兵役に出れば、家族は85区の中に入れてもらえると嘘をついて徴兵し使っているという内容です。86というタイトルは、この85の区に含まれない、共和国の86番目の区域の人々という意味が込められていたようです。
対するギアーデ帝国は無人機の暴走により滅びちゃってると言われており、あと2年戦い抜けばギアーデ帝国の無人機の稼働限界を迎えて勝てるという希望的観測の中、話が進んでいきます。

共和国の敷いてる政策は異常なまでの人種差別。各人種の色が事細かく設定されており、共和国では銀色の人種(白い肌と銀色の髪と瞳を持つ人種)以外は、豚としてさげすまれ、85区の外に追いやられているという事実が説明されます。
そして、戦闘指揮管制官であるレーナは「事実」を知っており、差別をよしとせず、86区の人、多脚兵器であるジャガーノートに乗り込む兵士たちと対等に接しようとする人物です。そのレーナが「名持ち」の集団であるスピアヘッド戦隊の戦闘指揮管制官に就任したことで物語が大きく動いていくという感じになっています。
シンたちスピアヘッド戦隊の面々とすれ違ったり、意見をぶつけ合いながらレーナが成長していき、互いに認め合ったのに…直面する無体な命令。従うしかない現実や、死んで来いと言われて無期限出撃することが初めて「自由」であることを認められたという86の面々の置かれた厳しい現実を見せつけたりと、なかなかに重いストーリーでした。
その中に、ちょっと精神世界的な人の繋がりを描いていたりもして、かなりいろいろな要素が詰め込まれた作品となっています。

読み終わってみて大満足。
充実した作品を読んだ感じがしました。単巻で終わっていてこれ以上の話は外伝とかでしかありえなさそうですが、描かれた要素すべてに満足が行く感じがしました。
口絵に描かれたスピアヘッド戦隊の面々が次々と減っていったり、無常な命令に達観した感じで従うスピアヘッドの面々や彼らの絆的なものや、レーナの頑張りやシンとの心のふれあいや、盛沢山なのですが、それが全部、きちんとつながって余計なものは一切ない。そんな感じに受け取れる作品でした。
ものすごく充実した感じを読後に感じました。こんなに満足したの久しぶりだなぁと思いました。

 

ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル

ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル

川原礫:著
abec:イラスト
電撃文庫


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19巻です。
18巻でソードアート・オンラインはいったん終幕した「はず」なんですが、予告通り続巻が普通に刊行されました。
アンダーワールドで200年という時間を過ごしたキリトとアスナを描くのは、いろいろ問題があるからか、時系列的には18巻でキリトとアスナがアンダーワールドに残ってものすごく加速された時間の中に取り残されたほぼ直後といっていい感じの時間を扱っています。つまり、ストーリーの舞台はアンダーワールドになっており、アリシゼーション編の続きといった感じの物語となっています。
アンダーワールドに閉じ込められたキリトとアスナはこういったことをしていたんだよといった感じの物語です。

アリシゼーション編で語られた大戦の後、アンダーワールドがどう変わったかをまず説明。人界とダークテリトリーがどう変わっていったのかを説明しつつ、キリトとアスナの日常を描いていました。
なかなかいろいろな問題がありつつも、なんとなくのんびりやっている感じを受けました。少なくともキリトやアスナに悲壮感がなかったのは救いですね。
というよりも、彼らにとってはログアウト不能の仮想世界に閉じ込められるのは2度目ですし、最愛の伴侶が一緒にいるということであまり緊迫感はないのかもしれません。
少なくとも、彼らにはアンダーワールド内での死はありませんし、待っていれば、外側からいつか助けが来るという感じで過ごしていたのかも。
その辺の心情は描かれていませんでしたが、安心している感じがしました。ただ、その与えられた時間をアンダーワールドのために使おうと奔走している感じを受けました。特にキリトが機竜(つまり飛行機)を実用化しようとしているのも、アンダーワールドのためというのが分かりましたし、普通の学生だったわりにいい王様やってるじゃないかと思いました。
しかも、人界のためではなく、ダークテリトリーを含めたアンダーワールド全体のことを考えて行動している。経験が彼を大きくしたんだなぁと思いました。

そんな中、絶対あり得ないはずの殺人事件が起こります。
犯人とされたのはダークテリトリーで貧しい暮らしを強いられているゴブリン。死亡したのは比較的豊かな人界で暮らしている一般人。
これで、下手をすると戦争になってしまうということで、ダークテリトリーの王となったイスカーンの元に連絡を取りに行きます。
そこで、新たな火種を起こそうとする魔導士と戦うという展開。赤ん坊を人質に取られたため、キリトは一時、自らを犠牲にしようとしますが、結果的にはロニエの活躍によって赤ん坊を救い出すことに成功して、事なきを得るという話になっています。
ただ、問題の魔導士には逃げられていて、この巻としてはつづくで終わっています。
こういった問題を200年にわたって解決し続けていくんだろうなぁと感じさせる話となっていました。

アンダーワールドは200年の間にとんでもない技術革新をしてることは18巻のエピローグで描かれたのですが、まだ、この段階では技術的には普通なファンタジー世界な感じです。キリトは割とオープンにアンダーワールドの成り立ちをロニエや整合騎士たちに話しているようですし、技術革新が続いていくのも受け入れられる土台作りはしていったのかなぁとか思いつつ読んでました。
展開が人気作故に許されるペース、つまりとてもゆっくりなので、そういったことに思いをはせる余裕も読んでる側にも生まれる余地があるなぁと感じます。
18巻で終了とされているので、アリシゼーション編よりあとリアルワールドでの展開は今後書かれないのかなぁと思いつつ、この巻を読んでました。
アンダーワールドで話がいくら展開しようと200年ありますし、現実世界ではほんの数日ということになりますからねぇ。
あ、あと、プログレッシブの方のエピソードが実際にあったものとしてアスナが語るシーンがありました。
プログレッシブともともとの本編だと一部、齟齬が出るのですが、その祖語はうまく読者側で処理してねということで、プログレッシブのエピソードも「あったこと」として組み込まれているようでした。
せっかく書かれた話なんだから、そっちを正史にしたいというのは分かります。
そして、劇場版の公開が直前だけれども、劇場版の話ってどこに入るんですかね?キリトたちがリアルワールドに帰ってからなのか、それともアリシゼーションの前なのか…。
劇場版が公開間近ということでその辺も気になってしまいました。

 

世界の終わり、素晴らしき日々より3

世界の終わり、素晴らしき日々より3

一二三スイ:著
七葉なば:イラスト
電撃文庫


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3巻目。最終巻となります。
1巻では旅の目的はチィの家を探す旅でした。2巻では目的を失った状態で立ち寄ったコミュニティで新たな旅の目的を得る話でした。そしてこの3巻目はコウの大切な人を探す旅となっています。
そして旅の終わりと別れ、そして再会を描くといったところとなっています。
今まで、1冊の中ではひとつの流れとして描かれていたのですが、この巻では冒頭2章はそれぞれ独立した短編として読めるつくりになっています。
でも、それぞれ、その話で得たものが関連付いていて、1つの大きな流れに組み込まれている。うまい書き方だなぁと思いました。
ただ、コウとコウの大切な人を結びつけるきっかけが、うまいこと残っていて、それがコウとチィの前に偶然でも折り重なって登場してくるのは、うまく行きすぎだろうと思わなくもないでしたが、これをやらないとなかなか目的の場所へたどり着かないですし、中だるみを生まないという面でこれでよかったんだと思います。読んでいてストレスは感じませんでした。むしろ、すっきりした。あぁこう繋がっていくんだ、という感覚があって、消えずに生き残った人の運命的なものってそれぞれにあって、コウの視点から見るとこうなるというだけの話だったのかなと感じました。

この巻のテーマは大きなところでは、旅の終わりと別れ、そして再会だったと思います。旅の終着点で起きた事件によって、コウはチィと別れる道を選び、チィは1人上野のコミュニティに帰ることになる。
それは結果的にコウが決意することで突然に発生した別れだけれど、たぶんその予感はコウの中にもチィの中にもあったのだと思います。
だから、約束を破ることになったけれど、ふたりの間にわだかまりはなくて、仕方ないこととして、それが受け入れられたのではないかと思いました。
後ろ向きではなくて、前向きにこの作品の過酷な世界で生きていくために。優しいコウが故国の人たちの妄執を放っておけなかったから、この別れは必然としてあったのだと思います。コウには逃げ出してきた責任があり、本当はそれを担うべき人は別にいたけれども、それをできるのは結果的にコウの役割だったから。
悲しいけれど、約束を守れなかったけれど、コウは前に進む道を選んだと思いました。そして、チィがそれをきちんと感じ取っているのが、悲しくも優しい感じがしました。

この巻はいろいろな愛のカタチを書いていました。
騏一郎家族の愛、華とシェンの愛、コウと王子の愛、チィと空の愛、そして、コウとチィの間の愛情。
コウとチィの愛情とは男女間の愛情ではないですけれど、普遍的な互いを思い合う心である以上、愛であると言っていいと思います。
いろいろな愛のカタチが一連の流れを作って最後に笑い合って再会を迎えることができた。離れ離れになってしまったけれど、立場も違ってしまったけれど、二人は確かに再会することができました。
本当に二人がまた旅に出たかはわからない(というか新婦が新郎を放っておいて出かけるということはさすがにないと思う…10年また待ってくれるとは言ってたけど)ですが、そう言った思いを口に出せる関係というのは素敵なものだと思いました。
10年たっても変わらない、相手を思いやる心というものはとても素敵だなぁと思いました。

3冊という手ごろな長さで満足のいくお話でした。
厳しくもあり、そして辛いこともあるという前提で語られていましたけれど、この話はとても素敵な話だった。人を思いやるという本当に大切なことを描いていた作品。
そう感じました。

 

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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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