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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

暗極の星に道を問え

暗極の星に道を問え

エドワード・スミス:著
クレタ:イラスト
電撃文庫


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久しぶりに表紙買いした本。
電撃文庫の新刊の書影を電撃のサイトで見ていた時に、あ、なんか面白そうと思って購入を決めた本です。その時点で王道的なファンタジー作品でありそうという情報だけでの購入でした。
購入にあたって勘違いしていたことがいくつかあって、まず、新人賞の受賞作であると思ってました。ちょうど86という新人賞の大賞受賞作が出たのと同時だったので、これも新人賞関係の作品だと思ってました。作者さんを知らなかったので。
そしたら、すでに何作か作品を発表されている作家さんでした。
なお、この外人ぽいペンネームの作者さん、純然たる日本人だそうです。幼女戦記の作者さんといい、外人ぽいペンネームを付けるの流行ってるんですかね?
ちょっと困惑する。
新人賞作じゃないと気が付いたときに、あぁじゃあこれ外国の作品の翻訳本なのかな?って思っちゃいました。電撃文庫でも一時、翻訳ものを出していたことがあったので…(「ある日、どこかのダンジョンで」という作品です)。あとがき読んだら違ったですよ。騙されましたですよ。

ちょっと、面白い世界設定になっています。
ファンタジーにしては宇宙を感じさせる設定で、宇宙を渡る竜の骸が星になりという風にな感じになっています。竜以外にも大地の上で死んだ巨人などの骸が各地の地形を作り出したという設定です。これが、後々に信仰やなんかの元になっているというのが面白い設定だなぁと思いました。
ファンタジーだとその舞台が魅力的であるかというのは基本的に素晴らしいことだとおもいます。最近のファンタジーはそれがないがしろにされた、量産型の世界観が多い気がしてなりません。その点、この作品は舞台に魅力がある点で一歩リードしていた感じがありました。

内容的には、僕は初めて読んだ感じの作品だったのですが、魔王を退治するために選ばれた勇者が魔王討伐の後に裏切られて、人類の敵になるというストーリー。
先に書いた通り、僕は初めて読んだパターンなのですが、どうやら、最近の作品ではこのパターン、多いらしいです。
勇者であったトウカは、凱旋した後に仲間であった、王子であるアズハールに裏切られ、命を狙われて、逃げることになります。
そして、その逃げる過程でかつての仲間は皆殺しにされ、自らも重症を負うのですが、それを助けたのが結果的に敵であった魔族。
そのことから、魔族が憎むべき敵、下等な種族などではなく、人間的な情緒をもった存在だと知り、魔族や森の民を味方につけて、自らと持ち出された神剣を狙って追ってくる王家の兵と戦っていくという物語になっていました。
魔族たちを差別している図というのができていましたが、人種差別的なところがあって、現実世界の問題点、ある一定の民族へのヘイトなどを皮肉っている感じに受け取れました。
1巻でアズハールとの戦いは決着がついてしまいます。
トウカが新たな力に目覚めて、アズハールを倒して終わるという感じですが、詰め込んだ感じがありますね。
いろいろ詰め込んであるのですが、展開が面白いので、読みにくい感じはありません。良いペースで読むことができました。

ただ、残念な点が1点。
登場人物のセリフが、現代日本の口語であること。しかも若者言葉。(笑)
ファンタジーで登場人物が「イケメン」とかのたまうとは思わなかったですよ。
それさえなければ最高だったのになぁ。
まぁ、目をつぶれないの残念度合ではないですが。
続きがありそうなので、続きを期待したいと思いたいと思います。

 

86―エイティシックス―

86―エイティシックス―

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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第23回電撃小説大賞受賞作。
新人賞の受賞作って読み切りであることが多いことや、その作家さんがまさに本気で取り組んで書き上げた作品であることが多いので、前はよくチョイスして読んでいました。ただ、ここのところ、登場する作品の多くにやたら長いタイトルがついていて、どうも似たような作品が多い気がしていました。ハーレムものが多くて、異世界召喚ものが多くてという印象。それが売れ筋なのでそういった作品が多く選ばれるのは仕方ないとしても、あまりに似た印象を持つことが多かったので、しばらく新人賞の作品を手に取っていませんでした。
この作品は、そんな表紙やタイトルから受ける印象とは無縁で、ごくシンプルな印象を与えるタイトルがついていたので気になった作品でした。また、関係作家さんの名前の中にメカニックデザイナーとしてI-Ⅳ氏の名前が。I-Ⅳ氏の描くメカは好きだったので、読んでみるかなとなった作品です。この時点で持っていた情報はメカもので新人賞大賞受賞作であるということだけでした。

さて、購入する段階になって、帯を目にします。キノの旅の時雨沢さんが大絶賛したという金色の帯が付いていました。表紙の折り返しの説明文では、どうやら差別された人たちが無人とされている兵器に乗り込まされており、戦争は無人で行われていると公表されている世界観。そんな世界で出会うひとりの青年兵と特殊通信で安全なところから指揮管制を行う少女。というところから始まるストーリーということのようでした。
ここ、無人機とされている戦争兵器に実は人が乗っているという厳しい現実、無人機とされているということは乗っている人は明らかに差別を受けている人物である、戦闘指揮官は安全な場所にいるいわば特権階級、という情報がつかめました。
そのうえで、あぁこれは好みの作品だなと直感しました。
そしてその直感は正しかったです。

架空の国家であるサンマグノリア共和国とギアーデ帝国の戦いを描いている本作ですが、どうも地図上ではフランスとドイツをモデルにしている感じでした。共和国側が主人公であるシンやヒロインであるレーナが暮らす国で、攻め込まれている側となります。ギアーデ帝国は戦闘に無人の多脚戦車を導入しており、それに対抗するために共和国側でも無人機を作って戦争をしているという物語。ですが、共和国側は完全に無人機にするのはできなくて、有人機を無人機と公表して使っている。乗り込んでいるのは共和国にある85の区の外で暮らすことを強いられた人々。その人たちに兵役に出れば、家族は85区の中に入れてもらえると嘘をついて徴兵し使っているという内容です。86というタイトルは、この85の区に含まれない、共和国の86番目の区域の人々という意味が込められていたようです。
対するギアーデ帝国は無人機の暴走により滅びちゃってると言われており、あと2年戦い抜けばギアーデ帝国の無人機の稼働限界を迎えて勝てるという希望的観測の中、話が進んでいきます。

共和国の敷いてる政策は異常なまでの人種差別。各人種の色が事細かく設定されており、共和国では銀色の人種(白い肌と銀色の髪と瞳を持つ人種)以外は、豚としてさげすまれ、85区の外に追いやられているという事実が説明されます。
そして、戦闘指揮管制官であるレーナは「事実」を知っており、差別をよしとせず、86区の人、多脚兵器であるジャガーノートに乗り込む兵士たちと対等に接しようとする人物です。そのレーナが「名持ち」の集団であるスピアヘッド戦隊の戦闘指揮管制官に就任したことで物語が大きく動いていくという感じになっています。
シンたちスピアヘッド戦隊の面々とすれ違ったり、意見をぶつけ合いながらレーナが成長していき、互いに認め合ったのに…直面する無体な命令。従うしかない現実や、死んで来いと言われて無期限出撃することが初めて「自由」であることを認められたという86の面々の置かれた厳しい現実を見せつけたりと、なかなかに重いストーリーでした。
その中に、ちょっと精神世界的な人の繋がりを描いていたりもして、かなりいろいろな要素が詰め込まれた作品となっています。

読み終わってみて大満足。
充実した作品を読んだ感じがしました。単巻で終わっていてこれ以上の話は外伝とかでしかありえなさそうですが、描かれた要素すべてに満足が行く感じがしました。
口絵に描かれたスピアヘッド戦隊の面々が次々と減っていったり、無常な命令に達観した感じで従うスピアヘッドの面々や彼らの絆的なものや、レーナの頑張りやシンとの心のふれあいや、盛沢山なのですが、それが全部、きちんとつながって余計なものは一切ない。そんな感じに受け取れる作品でした。
ものすごく充実した感じを読後に感じました。こんなに満足したの久しぶりだなぁと思いました。

 

ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル

ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル

川原礫:著
abec:イラスト
電撃文庫


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19巻です。
18巻でソードアート・オンラインはいったん終幕した「はず」なんですが、予告通り続巻が普通に刊行されました。
アンダーワールドで200年という時間を過ごしたキリトとアスナを描くのは、いろいろ問題があるからか、時系列的には18巻でキリトとアスナがアンダーワールドに残ってものすごく加速された時間の中に取り残されたほぼ直後といっていい感じの時間を扱っています。つまり、ストーリーの舞台はアンダーワールドになっており、アリシゼーション編の続きといった感じの物語となっています。
アンダーワールドに閉じ込められたキリトとアスナはこういったことをしていたんだよといった感じの物語です。

アリシゼーション編で語られた大戦の後、アンダーワールドがどう変わったかをまず説明。人界とダークテリトリーがどう変わっていったのかを説明しつつ、キリトとアスナの日常を描いていました。
なかなかいろいろな問題がありつつも、なんとなくのんびりやっている感じを受けました。少なくともキリトやアスナに悲壮感がなかったのは救いですね。
というよりも、彼らにとってはログアウト不能の仮想世界に閉じ込められるのは2度目ですし、最愛の伴侶が一緒にいるということであまり緊迫感はないのかもしれません。
少なくとも、彼らにはアンダーワールド内での死はありませんし、待っていれば、外側からいつか助けが来るという感じで過ごしていたのかも。
その辺の心情は描かれていませんでしたが、安心している感じがしました。ただ、その与えられた時間をアンダーワールドのために使おうと奔走している感じを受けました。特にキリトが機竜(つまり飛行機)を実用化しようとしているのも、アンダーワールドのためというのが分かりましたし、普通の学生だったわりにいい王様やってるじゃないかと思いました。
しかも、人界のためではなく、ダークテリトリーを含めたアンダーワールド全体のことを考えて行動している。経験が彼を大きくしたんだなぁと思いました。

そんな中、絶対あり得ないはずの殺人事件が起こります。
犯人とされたのはダークテリトリーで貧しい暮らしを強いられているゴブリン。死亡したのは比較的豊かな人界で暮らしている一般人。
これで、下手をすると戦争になってしまうということで、ダークテリトリーの王となったイスカーンの元に連絡を取りに行きます。
そこで、新たな火種を起こそうとする魔導士と戦うという展開。赤ん坊を人質に取られたため、キリトは一時、自らを犠牲にしようとしますが、結果的にはロニエの活躍によって赤ん坊を救い出すことに成功して、事なきを得るという話になっています。
ただ、問題の魔導士には逃げられていて、この巻としてはつづくで終わっています。
こういった問題を200年にわたって解決し続けていくんだろうなぁと感じさせる話となっていました。

アンダーワールドは200年の間にとんでもない技術革新をしてることは18巻のエピローグで描かれたのですが、まだ、この段階では技術的には普通なファンタジー世界な感じです。キリトは割とオープンにアンダーワールドの成り立ちをロニエや整合騎士たちに話しているようですし、技術革新が続いていくのも受け入れられる土台作りはしていったのかなぁとか思いつつ読んでました。
展開が人気作故に許されるペース、つまりとてもゆっくりなので、そういったことに思いをはせる余裕も読んでる側にも生まれる余地があるなぁと感じます。
18巻で終了とされているので、アリシゼーション編よりあとリアルワールドでの展開は今後書かれないのかなぁと思いつつ、この巻を読んでました。
アンダーワールドで話がいくら展開しようと200年ありますし、現実世界ではほんの数日ということになりますからねぇ。
あ、あと、プログレッシブの方のエピソードが実際にあったものとしてアスナが語るシーンがありました。
プログレッシブともともとの本編だと一部、齟齬が出るのですが、その祖語はうまく読者側で処理してねということで、プログレッシブのエピソードも「あったこと」として組み込まれているようでした。
せっかく書かれた話なんだから、そっちを正史にしたいというのは分かります。
そして、劇場版の公開が直前だけれども、劇場版の話ってどこに入るんですかね?キリトたちがリアルワールドに帰ってからなのか、それともアリシゼーションの前なのか…。
劇場版が公開間近ということでその辺も気になってしまいました。

 

世界の終わり、素晴らしき日々より3

世界の終わり、素晴らしき日々より3

一二三スイ:著
七葉なば:イラスト
電撃文庫


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3巻目。最終巻となります。
1巻では旅の目的はチィの家を探す旅でした。2巻では目的を失った状態で立ち寄ったコミュニティで新たな旅の目的を得る話でした。そしてこの3巻目はコウの大切な人を探す旅となっています。
そして旅の終わりと別れ、そして再会を描くといったところとなっています。
今まで、1冊の中ではひとつの流れとして描かれていたのですが、この巻では冒頭2章はそれぞれ独立した短編として読めるつくりになっています。
でも、それぞれ、その話で得たものが関連付いていて、1つの大きな流れに組み込まれている。うまい書き方だなぁと思いました。
ただ、コウとコウの大切な人を結びつけるきっかけが、うまいこと残っていて、それがコウとチィの前に偶然でも折り重なって登場してくるのは、うまく行きすぎだろうと思わなくもないでしたが、これをやらないとなかなか目的の場所へたどり着かないですし、中だるみを生まないという面でこれでよかったんだと思います。読んでいてストレスは感じませんでした。むしろ、すっきりした。あぁこう繋がっていくんだ、という感覚があって、消えずに生き残った人の運命的なものってそれぞれにあって、コウの視点から見るとこうなるというだけの話だったのかなと感じました。

この巻のテーマは大きなところでは、旅の終わりと別れ、そして再会だったと思います。旅の終着点で起きた事件によって、コウはチィと別れる道を選び、チィは1人上野のコミュニティに帰ることになる。
それは結果的にコウが決意することで突然に発生した別れだけれど、たぶんその予感はコウの中にもチィの中にもあったのだと思います。
だから、約束を破ることになったけれど、ふたりの間にわだかまりはなくて、仕方ないこととして、それが受け入れられたのではないかと思いました。
後ろ向きではなくて、前向きにこの作品の過酷な世界で生きていくために。優しいコウが故国の人たちの妄執を放っておけなかったから、この別れは必然としてあったのだと思います。コウには逃げ出してきた責任があり、本当はそれを担うべき人は別にいたけれども、それをできるのは結果的にコウの役割だったから。
悲しいけれど、約束を守れなかったけれど、コウは前に進む道を選んだと思いました。そして、チィがそれをきちんと感じ取っているのが、悲しくも優しい感じがしました。

この巻はいろいろな愛のカタチを書いていました。
騏一郎家族の愛、華とシェンの愛、コウと王子の愛、チィと空の愛、そして、コウとチィの間の愛情。
コウとチィの愛情とは男女間の愛情ではないですけれど、普遍的な互いを思い合う心である以上、愛であると言っていいと思います。
いろいろな愛のカタチが一連の流れを作って最後に笑い合って再会を迎えることができた。離れ離れになってしまったけれど、立場も違ってしまったけれど、二人は確かに再会することができました。
本当に二人がまた旅に出たかはわからない(というか新婦が新郎を放っておいて出かけるということはさすがにないと思う…10年また待ってくれるとは言ってたけど)ですが、そう言った思いを口に出せる関係というのは素敵なものだと思いました。
10年たっても変わらない、相手を思いやる心というものはとても素敵だなぁと思いました。

3冊という手ごろな長さで満足のいくお話でした。
厳しくもあり、そして辛いこともあるという前提で語られていましたけれど、この話はとても素敵な話だった。人を思いやるという本当に大切なことを描いていた作品。
そう感じました。

 

世界の終わり、素晴らしき日々より2

世界の終わり、素晴らしき日々より2

一二三スイ:著
七葉なば:イラスト
電撃文庫


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2巻目。
1巻目でコウとチィの2人のすれ違いと絆を描いていましたが、この巻では2人にこれから関係していく人たちとしていろいろな人物が登場してきます。
1巻にも登場していた上野のコミュニティを訪れた2人はそこで、人が激減してしまったこの世界でも力強く生きる人たちを見ることになります。
変わってしまった世界の中で、変わっていない平凡な人々の暮らし、そういったものに2人がかかわっていくというストーリーとなっています。
こう書くと何か平和なコミュニティにコウとチィという異分子が紛れ込むことで、重大な事件が起こり、平和だった日常が崩れていくような予感がしてしまいますが、実際にはそんなことはなく。平凡な人の集まりはどこまでも平和に、たった2人でつらい旅を続けてきたコウとチィに一時の幸せな時間というものを与えてくれます。
その過程を淡々と描いたのがこの2巻でした。

平和なコミュニティには大人もいて、子供もいて、具体的な人数は書いてなかったのですが、数百単位くらいでは人がいる印象を受けました。
これだけの人数が集まっているというか、生き残っているというのが、この作品ではびっくりな状況です。
1巻ではほとんど人が存在していないかのように描かれていたので、人が集まって学校運営やお祭りが開催できるレベルに人が残っているというのは印象的でびっくりしました。
この上野のコミュニティに人が集まっている分、他の場所は人がいないという状況にはなっていそうですけれど。
それと、展開から考えると、1つの街で数人レベルの生き残りはいるようです。
この巻で出てきた、実花、翔、空という少年少女は幼馴染のようでしたし、コミュニティ自体が彼らの住んでいた町に形成されているようでしたので、少なくともその人数は生き残っているということですからね。
集まれば、それなりの人数は生き残っていそう。

さて、この巻でメインで描かれるのはコウとチィを中心とした若者たちの恋模様です。
チィに恋した空、コウに恋してしまった翔の兄弟や、翔のことが好きである実花という人物が絡み合ってひと時の青春的な淡い時間をコウに過ごさせてくれます。
それと同時にコウの出自を知っている人物がこのコミュニティにはいて、コウがどういった人物だったのかが描かれていきました。
コウ、背負っているものが重い感じがしていましたが、そういうことだったのねという感じです。コウが「高国」の言葉もこの国の言葉も流暢に使う理由とかも、この巻で開示されています。
コウは背負ったものの大きさから、これ以上、このコミュニティに留まるべきではないと判断し、最後にはチィとともにまた去っていくことになりますが、置いていかれた人達それぞれの思惑も今後どうなるのか気になるところですね。
コウの出自を知ってなお、付き合おうとしてくれるかというところですが、あんまり障害になりそうにないかなぁって思いました。
なぜかというと、コウの出自の問題はあるものの、コウという人物をきちんと知っている人たちだから。過去のコウがどうあれ、今のコウがどういう人物かを知ったうえで翔などはコウに惹かれたわけですしね。

たぶん、このコミュニティはコウとチィが帰ってくる場所になる。
そう感じました。
やさしさがあふれてる。そんな雰囲気を感じられる。
こういった場所があるっていうのは人ととして幸せだと思うんですよね。
苦難の時代を描いている作品ですけれど、この巻では希望っていうものが見えていた、そんな気がしました。

 

世界の終わり、素晴らしき日々より

世界の終わり、素晴らしき日々より

一二三スイ:著
七葉なば:イラスト
電撃文庫


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4年半ほど前に刊行された本です。
表紙買いしましたが、その後、優先して読むべき本(シリーズものの続巻)が立て続けに出たせいで放置してしまい、ずーっと積んであった本です。
ここのところ積み本消化月刊で、積んでたのを優先して読んでいるので、引っ張りだして読み始めました。
なお、本作は当初、1冊で完結するものと思って購入したのですが、続巻が出ています。1巻を読んでから続巻を購入しようと思っていたのですが、今回1巻目を読み始めるにあたり続巻の巻数を確認し、一気に購入しました。全3冊で終了する作品となっています。
今回はその1冊目。

現実世界に似た世界だけれども、ちょっぴり違う設定の世界設定。
まず舞台が日本であることは確実なんだけれど、日本の近辺に他の「高国」という別の島国があるという設定になっています。
その国と日本が開戦した当日、世界から大半の9割以上の人が突然消失するという事件が起こります。その約10ヶ月後のお話となっています。
日本なのは確実なんだけれど、作中では日本とは明記されていません。ですが、それを明示するものがいくつか出てきます。東京タワー(作中ではオリエンタルタワー)や、軍の艦艇の名称が「鳥海」や「赤城」であることから、舞台が日本であることが類推できるんですよね。あと登場人物の苗字が「上野」であったり「近川」であったりと日本人らしき名前になっています。
ただ、大きく日本とは違っているのは先にも書いた「高国」という国が近隣にあること。自衛隊ではなく国防軍となっていて、非戦を掲げた国ではないことですかね。「高国」に対して米軍と組んで戦争を仕掛けているので。
そんな世界で物語は語られますが、このベース設定どこまで重要なのかというと、ほとんど重要じゃないです。
人が消えたが全員ではなく、生き残った人は各所でコミュニティを作って生活と化しているケースがある、戦争があって「高国」の軍人と遭遇戦になることがあるので、旅をするには自衛手段が必要くらいのことを覚えておけばいい感じでした。

この話は終始、2人の少女のお話となっています。
人が消えた世界を旅する2人の少女。1人は12歳くらいで人見知りな感じの性質をもったチィ。1人は17歳くらいで戦闘テクニックをもった皮肉屋のコウ。この2人がチィの故郷を探して旅をしているという話です。
物語が進む中で、コウについていくつか疑問がわくんですよね。戦闘テクニックが軍隊系のコミュニティに居たとはいえ高すぎること、「高国」語を流暢に使うことが、ちょっとした謎として浮かんできますが解決はされません。話の本筋じゃないので。また、その刹那的な思考はどこからくるものだろうと思ったりしますが、今回はそれについても多くは語られませんでした。
どちらかといえばチィの話をメインに話が進みます。
心情描写はコウの方が多いのですけれど。

大きな事件があって、すれ違ったコウとチィの心。
でも、それでも、真実を知れば、すれ違いであったと分かれば、分からなくてもおそらくは、2人の心は離れがたい絆で結びついており、事件の中で揺れ動く2人の心情を描いていく物語となっています。
コウの背負ったものと覚悟がなんとも悲しすぎる感じがします。
彼女には救われて欲しいと思いますし、彼女は確かに本当に優しい人なのだと思います。彼女自身はそれを否定しますが…。
チィはきっとそれを肌でわかっている人物で、たぶん、コウにとってとても大切で必要な人物なのだと思いました。
すれ違いにより分かれ分かれになるところでしたが、何とか、その絆を確認しあったところで幕が下りて、ほっと胸をなでおろす。そんな作品でした。

たぶん、人気が出なければ、これで終わりだったんだろうね。
たぶん、1巻はそれなりに売れたので、2巻、3巻と続きが書かれるようになった。
今後、世界設定とか結構魅力的なので、そちらにもフィーチャーして話を展開していってほしいなぁと思います。
1巻は2人の話として完成しているので。
ここまで、人の心に重きをおいてる作品て少ないよなぁと感じた作品でした。

 

クロクロクロック結

クロクロクロック結

入間人間:著
深崎暮人:イラスト
電撃文庫


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3巻目。
最終巻となります。6冊予定だったのが3冊で終了したのかは本作のあとがきとかでは言及されず、最終巻になりますと1文だけのあとがきでした。
作者のサイト上で理由について言及があり、力量不足が原因だったとのこと。モチベーションが下がったりしたのかな?なんとも残念ではありますが、きちんとお話を終息させてるあたり読者としてはありがたいです。

1日当たり1冊の計算で物語が進んでますのでこの巻では事が起こり始めてから3日目の出来事が描かれています。
そしてラストは4日目の朝という感じになってました。
話の中心がカナちゃんに集まり始めた感じがあって意外でした。彼女、自発的に動いていないのに。(笑)
登場人物がそれぞれの思惑を持って、行動した結果、ほぼすべての登場人物が緑川さんの家に集まってしまうという異常事態。そのカギになったのがカナちゃん、前の巻からキーとして動いていた裕貴。あとは緑川さんのところで弟子をしていた新城という感じでしょうか。新庄雅を殺害しようとして拳銃を売った男と裕貴の組みが緑川さん宅をめざし、裕貴に対して復讐しようと黒田と小泉明日香がそれを追い結果的に緑川さん宅へ。カナちゃんは拉致監禁から唐突に表れた祖父に助けられて、緑川さんに保護を求め緑川さん宅へ到着、木曽川と美鈴は丸い犬に導かれてカナちゃんを追うことで緑川さん宅へ、花咲太郎と二条さんはカナちゃんを探しに結果的にたどり着いたのが緑川さん宅。
本当にほぼすべての人物が緑川さん宅に一度に集まるという事態。しかも中には人殺しやその元締め?らしき人物も交じってるし、互いに追い追われる立場である裕貴や明日香なんてのも交じってる。
そら騒々しくて、緑川さんも閉口するってもんですよね。

ひとところに集まったことで、あるものは逃亡し、あるものは用事が済み去りという形で再度ばらけていく。その糸が一度寄り集まっていく過程と、そしてバラバラにほどけていくような感覚はとても面白かったです。
結果的にそれぞれの平穏に帰って行った感じ。
6人の登場人物の中で立場がものすごく変わったのはカナちゃんと裕貴。
やっぱり裕貴が発砲して人がひとり亡くなったというのは大きくて、それに伴う事態はどうしようもなく重く関係者にのしかかっていったというかんじでした。
裕貴は職業殺人者としてしか生きる道を失ってしまい、これから黒田(や木曽川)のように生きれるかというところでしょうか。彼には贖罪して更生する道を進んでほしかったけれど、それも彼の選択なのでしょうね。そしてパトロンを失ったカナちゃんは大学をやめ、何を思ったか緑川さんのところへ押しかけ弟子をやることに。
すげぇ行動力。動けなかった人間が追い詰まって動くとこうなるのかと思いました。こちらは平穏にやっていってほしいなぁと思いました。

6丁の拳銃が導く6人の運命というふれこみの作品でしたけれど。
実際に人を動かした拳銃は裕貴の持っていたものだけだったように思えます。
実際に3冊の作中で6丁+1丁(モデルガンが代わりに売られたため売人の手元に残った1丁)が登場しますが、新城雅が持っていたものと、カナちゃんを誘拐した女性が持っていたものがこの売人が売ったもので同型のモデルだったのかは言及されてないです。
雅が持っていたものは、なんか違いそうな気がするんですがだとすると1丁出てないことになるからなぁ…。職業的に雅やカナちゃんを誘拐した女性が本物かどうか気づかないということはなさそうなので、モデルガンだったのは美鈴の持っていたものがそうだったのかな?実際に発砲されてない中で、持ち主が気づかなそうなのがそれしかないので。
という感じであんまり、拳銃が振り回したという感じのストーリーではなかったなぁ。
まぁ、裕貴の運命を変えたという面では確かに話の引き金を引いたのは拳銃でしたけれど。

あと読後に調べて知ったのですが、ほぼすべての登場人物が他作に関係がある人物らしいです。僕は作者の作品を「電波女と青春男」と「トカゲの王」しか読んでないので気づかなかったのですが、相関図みたいのがネットにあって線がいっぱい引いてありました。
この作品で登場した人物で他作に全く関係がないのって緑川さん、裕貴と明日香、美鈴くらいなのかな?殺し屋関係はほぼ他作に出てるようでし、二条さんとかギャッピーなんかは「電波女と青春男」に出てたかもしくは言及のある人物。カナちゃんもおじいさんが別作品の登場人物と、それぞれなんかしらの関係を持った人物のようでした。
作品ごとの登場人物をひとまとめにして、各作品が同一世界の話なんだよってのを書きたかったんだろうなぁと推測しています。
ただ、他の作品の登場人物であるが故に、本作内であまり自由度が高くなかったのかなと思いました。

ちょっと3巻の展開に詰め込みすぎなところを感じましたけれど。
群像劇の1つとしてはなかなか面白かった。
もっとダイナミックにいろんな人が絡み合ったらもっと良かったんだけどな。
あ、あと丸い犬が人語を完璧に理解するどころか文字を書き始めたのには笑いました。「電波女と青春男」にあったちょっと不思議を感じられてよかった。
丸い犬かわいいですな。

 

クロクロクロック2/6

クロクロクロック2/6

入間人間:著
深崎暮人:イラスト
電撃文庫


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2巻目です。
1巻目では群像劇の始まりの1日目を描いていました。この2巻目では予想通り2日目の出来事を描いています。
話の中心にいるのは目下のところ、平凡な高校生である首藤裕貴。1巻では彼が一時の心の迷いから引いた引き金は、拳銃に弾を発射させ、彼の守りたかった人の恋人を殺してしまうということが描かれました。その結果、事件の中心に彼が据えられた感じになります。
木曽川という新たな登場人物が彼を嘲笑するように、何を思っているのか、彼を操るような形で行動を促していく流れになっています。それに引きずられるように周りの状況も変化していく。彼の他にも何人かのサブキャラクターが登場しますが、なんか、メインキャラクターを操っているというか、大きな影響を与えていっている印象を受けました。
サブキャラクターに影響を大きく受けてるのは今のところ、裕貴をはじめとして、ダメ女子大生である岩谷カナちゃん、陶芸家の緑川円子さん、小学生の時本美鈴がサブキャラクターに振り回されている印象をもちました。緑川さんは保護されている感じで、美鈴は自分からサブキャラクターに振り回される道を選んでる感じ。カナちゃんは自発的行動をしないので友人に引っ張ってもらっている感じですね。
カナちゃんの友人であるギャッピーを除くと、なんとなく、関係してくる登場人物が皆、きな臭い感じ。
状況がどんどん混迷としていく巻でした。

そんな中でもやっぱり印象に残るのは裕貴の感じている後悔や恐怖であって、そしてそんな状況の中でも彼がまだ助かると考えているのが、印象的でした。
木曽川の行動はさり気なく、彼に絶望を教えていくように動いているように思えました。
その結果、裕貴は絶望して、どん底の状態を経験して、でも少し立ち直りつつある感じを受けました。彼はいけない方向へ進み始めてしまった感じがして不安になりますね。
なんとなく、彼は行き詰ってしまった結果、悪い方向へ解放を望んでしまった感じがしました。

裕貴の話は裕貴の話として進むのですが、それ以外にもいくつか、キーになる話があります。殺し屋である黒田が、陶芸家である緑川の殺害を依頼されている話。それが今回キーになっていた印象を受けました。そして再び発砲される拳銃。
それによって大きく立場を変えることになったのが殺し屋の黒田でした。
彼は殺すはずだった緑川さんをとっさに救ってしまった上に、拳銃を発砲してしまうというミスを犯してしまいます。人が良くて殺し屋に向いてない。(笑)

そしてカナちゃんが誘拐されるというラスト。
その性格から拳銃を所持していながらも、事件の蚊帳の外にいた感じの彼女もとうとう巻き込まれてしまった感じです。
なんで彼女が狙われたのか現状謎のままです。
なんで一番危険から縁遠いところに居そうな彼女が狙われたんだろう。すごく気になる終わり方で終わりました。

そういえば、この作品、「電波女と青春男」などの入間さんの他作品ともリンクしてますね。明確に明言されているのは探偵の花咲太郎が主人公の別作品があること。これはその別作品のタイトルからわかります。だって名前が明示されてますからね。あと、「電波女と青春男」のエリオのお父さんが出てる。こちらは明言されてませんが、描写からすぐにわかります。入間さんの作品を多く読んでる人ならもっといっぱいリンクしてるのに気づくのかもしれないなぁと思いながら読んでました。
他の登場人物も他作品に関係してるのかな?そうだとすると面白いですね。そういう縛りの中で作品を書くって大変だろうにと思いました。でも、世界が広がる感じがして面白いと思いました。この作品が終わっても、別作品でまたこの作品の登場人物に会えるというのは面白いと思います。

さて、次はラストになります。
本来6冊出るはずだった作品が半分の長さで完結となりますが、事件はどのように解決していくんですかね?

 

クロクロクロック1/6

クロクロクロック1/6

入間人間:著
深崎暮人:イラスト
電撃文庫


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「電波女と青春男」を読み、「トカゲの王」を読み始めたころに本屋さんで見かけて1巻であるこの本を手に取ったのはいつだっただろうか。
「電波女と青春男」で入間さんの作品が好きになり、いろいろ読んでみようと思ったのがきっかけでした。「トカゲの王」は「電波女と青春男」とは全く毛色が違うストーリーで困惑しながらも、なんか「電波女と青春男」のような雰囲気のが読みたいなぁと思いながら購入した本です。その後、他の本を優先して読んでいたら、気が付けばシリーズが完結してた。しかも1巻を買ったっきり2巻以降を購入してなかったので、今回読み始めるにあたって2巻と最終巻である3巻を購入しました。
大き目の本屋さんでも置いてなかったのでAmazonさんで購入。便利。
もしかしたらアニメイトとか行けば置いてあったかもしれないなぁと今更ながらに思っています。

本の内容以外に気になるところから。
タイトルが1/6となっていることから分かりやすいのですが、本来この作品は全6巻予定で書かれるはずだった作品です。あとがきにも6冊予定ですと書かれていました。ところが出たのは3冊なんですよ。2/6の次が結となって終わってる。
何があったんだろう。
人気が出なかったのか、書き飽きたのか、とりあえず手頃な冊数である3冊で終了する作品となっています。
たぶん、6冊書かれなかった理由なんかは結のあとがきにでも書いてあるのだと思って読み始めてます。

6人の登場人物による群像劇となります。
そのほかにキーとなるアイテムとして6丁の拳銃というのがあることが、本の紹介文やらなにやらでわかるようになっている作品です。
ジャンルとしてはサスペンスになるのかな。ミステリという感じではないです。謎解きを楽しむというより、そこで起こっている事件をハラハラしながら楽しむといった趣の作品です。
通販その他で拳銃を手に入れた登場人物たちがそれぞれの思惑で動いていくのですが、それぞれが近い場所にいて、互いに関係していくような事件に巻き込まれていくという流れになっています。
気になるのは現状登場してる拳銃が4丁しかないこと。あと2丁はだれが持っているのだか明らかになっていません。また、主要な登場人物、つまり文中で視点を持っているのは6人だけれども、名前があるキャラクターは全員が重要な感じです。
現状で10人チョイくらい出てるのかな?6人以外のキャラクターの誰かが残りの拳銃を持っているのだと推測しているのですけれど。

拳銃は実際に1発発砲されて、1人の高校生の人生が狂った。
それを間近で見ていた残り5人の動きはそれぞれで、自分には関係ないとスルーする登場人物もいれば、自分の持っている拳銃や、探している拳銃(モデルガンを探していることになっている)にかかわるかもと発砲した高校生にアクセスしようと試みる者もあり、さまざまな思惑でキャラクターが動いていく。
まだまだ序盤でこの後、どのようにこれらの人物たちの関係が変わっていくのかが楽しみです。結構、ハラハラする感じが楽しめてる。
まぁ、当初の目的であった「電波女と青春男」似た作品とは言えない、雰囲気全く違う作品だったんですけれどね。キャラクターの持つ感じは似てるけれど。
それぞれ一癖二癖あるキャラクターが何とも魅力的。大体、こういうケースの場合、平凡さがにじみ出てるキャラクターから犠牲になるのだけれど。これもそのパターンに合致してる。
探偵、殺し屋、平凡な高校生、常識が通じない小学生、ダメ人間な女子大生、人嫌いな陶芸家というのが主要6人。探偵さんは他作品の主人公のようですので、絶対死ぬことはないと思うけれど、他の人物はわからないなぁ。最悪の事態ってのはありうるかもしれないと思って読んでます。
なんとなくダメ人間な女子大生がかわいいので、彼女には生き残ってほしいです。
「トカゲの王」読んだから入間さんの作品で割とあっさり人が死ぬこともあると認識した。「電波女と青春男」では人死にからは遠かったけれど、これはもうすでに死人が出てる作品だしなぁ。主要登場人物でも危ないかもしれないなぁと思っています。

 

新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ13 無言の賛歌

新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ13 無言の賛歌

隅沢克之:著
矢立肇、富野由悠季:原案
あさぎ桜、カトキハジメ、MOGUGA:イラスト
角川書店


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13巻目。最終巻です。
無言の賛歌というサブタイトルが付いてますけれど、半分以上は前の巻からの続きでゼクスファイルの内容になっており邂逅の協奏曲となっています。
ゼクスファイルと名前はついていますが、視点はゼクスのものではなく、三人称視点で物語が進んでいきます。
メインになるのはTV版のEVEウォーの直前の前日譚となる、第2次月面戦争を描く話になっていました。
ここで活躍するのが、結局若き日のガンダムパイロットたちでした。というか幼き日といった方がいいのかもしれないですけれど。10歳前後なはずなんですけれど、普通にMS乗ってるし、暴れまくりです。読んでいて受ける印象はTVのオペレーション・メテオ時の彼らとほぼ変わらない印象です。それはほかの登場人物にも言えるのですけれど。
年齢的にトレーズだって若いし、ゼクス達だって未成年です。それが、1線級の兵士や士官として動いているというのは読んでるときは気にならないのですが、ふと息をついたときとかに設定や時代背景を思い出してみると、ものすごい違和感を感じました。
でもこれくらいの時期に設定しないと、彼らを活躍させられないというのはあるのでしょうけれど。
あと、ものすごい違和感を感じたのが、五飛の妻の父、ロン・タウヤーの行動。彼は連合軍に対する対抗組織の一員として、魔法使いとかを使って戦っているのですが、それに娘を巻き込んでいること。いくらなんでもさ、10歳前後の娘を戦争に巻き込みたがる親がいるかなぁって違和感を感じました。そうするしか生きる術がないって感じでもないし、事実、五飛の一族関係は普通に暮らしてたわけですし。今回、五飛も戦いに参加していたのですが、それも違和感がありました。そのころの五飛って戦闘は嫌いで学問の道を目指していたころです。なんだかんだ理由をつけていますが、彼を戦いへいざなったのはやっぱり妻の死であってほしかったなぁと思うんですよね。だからそれ以前に戦いに参加するようなことはしないような気がして違和感を感じました。

後半は、やっとゼクスファイルのローディングも終わって、リリーナの記憶が完全な状態に復活し、クライマックスへ突き進んでいきます。
戦争を巻き起こした張本人として、戦争裁判の場へ駆り出されるリリーナ。そして言い渡される死刑判決。
周りではガンダムパイロットたちと、ラナグリン共和国側の戦いが繰り広げられていて、クライマックスを盛り上げるのですけれど、いまいち盛り上がりに欠けるんだよなぁ…。予定調和的に、ヒイロがリリーナを救うための時間稼ぎをしているだけに思えてしまうのと、ガンダムパイロットたちが、あからさまな勝者側にいるのが、盛り上がらない理由だと思いました。これまでのガンダムWではガンダムパイロットは最終的に勝ちを手に入れるけれど、いつも敗者側の人間であり続けたから。
勝者として誰かを追い詰めていくという展開が、ガンダムWにはあってないような気がしました。

結末は、リリーナを救うこともでき、戦争も集結させることに成功し、ガンダムパイロットたちはそれぞれの道へ進んでいき…。やっとヒイロがリリーナときちんとくっついた!という展開でした。
登場人物が多すぎて、全員の行く末は書いてなかったけれど、デュオ(小さい方)、名無し、カトリーヌはたぶん、五飛の元でプリベンターとして活躍していくんだろうね。ヴァンも。ゼクス一家は平和に暮らしたという記述がありました。デュオは火星の2代目大統領に選ばれたということでヒルデと言い合いながら暮らしているという感じらしいです。ヒルデといえば、ちょっとおかしくなってましたが、それが治ったのかとかは描かれてなかった。
ラストシーンはよかったのですが、いろいろ紙面の関係で語られぬままに終わってしまったことも多かったと思いました。

総括。
ガンダムWのエンドレス・ワルツに続く物語として始まった本作ですが、TV版以前の話が大半を占めていて、それにかかわってくる人物がいちいちガンダム・パイロットや、ゼクス、トレーズ、ドクターたちといったTV版の主要人物にまとめられていて、戦争が小さくこじんまりしたものに感じられてしまった感がありました。
ものすごく大きな事件を扱っているのに、かかわってくる人物が常に同じ枠内に入る人物たちだけで、拍子抜けしてしまう。世界はこの人達だけで動いてるのかよと言いたくなっちゃうのね。
ピースクラフト王家が、地球圏の戦争にかかわってきてしまったという歴史を描きたかったというのはあるのだろうけれど、それにかかわる人物がいつも同じである必要はないと思えました。ひとつの戦いが終わったら、また別の人物がかかわってくるという方が自然だし、物語が広いものになったような気がしました。
また、無理にトレーズ以下の年齢の人物をかかわらせるべきじゃなかったと思いました。
トレーズですらまだ若輩と呼べる年齢ですし、ちょっと子供が世界の命運を変えすぎてる。特にゼクス。
火星編では結果的に活躍するのがTV版時代のガンダム・パイロットたちであるならば、2代目達は不要だったように思えました。その方が登場人物が無理に増えすぎずに綺麗に収まったんじゃないかと感じました。
過去編が大きいのですが、それが火星編を描くのにどこまで必要だったのだろうかとちょっと考えてしまいます。半分以上は不要に思える。でもガンダムWというストーリーで明かされていない部分に答えを付けようとしたらこうなったというのは分かるきがしました。それが楽しかったか面白かったかというのは別としてですけれど。
ガンダムWが好きだからこそ、ちょっと違和感などに苦しみながらも、設定がどうなっていたかを知りたいという欲求に任せて読破したという感じの作品でした。
設定に対する知識欲は満たされた感じはあるけれど、それが面白かったかというと、また別の話かなぁという気がします。
ちょっと余剰部分が多すぎる感があって、食傷気味な感じの読後感。
人によってはこれを読んで、ガンダムWはエンドレス・ワルツまで!と割り切る人もいるんじゃないかなぁ。ちょっと蛇足感のある作品でした。
まぁ、それなりに僕は楽しみはしたけれど。やっぱりガンダムというメカが持つ魅力ってあるんだよね…。小説媒体でデザイン画が出てなくても、ガンダムというものの魅力が放つものって大きいなと思いました。

 

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