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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット2

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット2

渡瀬草一郎:著
ぎん太:イラスト
川原礫:原案・監修
電撃文庫


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2巻目。
ガンゲイル・オンラインの方と違って続くとは思っていなかった、ソードアート・オンラインのスピンオフ作品、2作目。
1作目がスリーピング・ナイツに関係した長編作品だったのに対して、今回は連作短編という形になっています。
1巻目の話が、結果的にユウキたちスリーピング・ナイツにつながる形で、ソードアート・オンライン本編との関係性がかなり強い話であったのに対して、今回は、ガンゲイル・オンラインの方と同じく、ザ・シードで作られたVRMMOであるアスカ・エンパイアでの事件を扱っている物語となっていて、ソードアート・オンライン本編とはあまり関係性は内容になっています。

基本的な登場人物はナユタを主人公としてその相棒であるコヨミと、探偵クレーヴェルが前の巻からの引き続きで登場しています。あとサブキャラクターが何人か。これはアスカ・エンパイアの運営側の人間として登場していました。
短編は5章分あって、1章目はほぼ単独の話となっています。ただ、アスカ・エンパイアが割と無茶な運営をしていて、行き当たりばったりでイベントなどを実装したり、開発者が独自に実装したダンジョンやNPCとかが運営会社の上部には内緒でまかり通ってるという状態を説明する話となっています。
謎があってちょっとオカルトっぽい雰囲気はありますが、基本的にはナユタやクレーヴェル達のやり取りを楽しめる話となっています。

2章目からが連作の始まりとなります。
始めはカピバラが大量に出てくるという子供向けイベントみたいなノリから始まって、開発者が独自実装したアイテムを偶然ナユタ達が手に入れるという展開。
3章4章はそのアイテムである鬼動傀儡・鬼姫にそっくりなPCであるマヒロ(中身は小学生アイドル)が登場して、彼女とその失踪した父親をめぐる話となっています。
前半が割と軽く明るいノリできていたのですが、マヒロの父親が巻き込まれた事件とかそういうのは、きちんとしたサスペンス作品となっていて、(殺した殺されたという話ではありませんが)死人も出てるし、なかなかに重い話となっていました。
そして、リグレットというこの物語のタイトル通り、後悔につながる話で終わっています。
今回の場合はやり直しは効くでしょうし、それほど後味の悪い話ではありませんでしたが。

全体的に読みやすく、軽い気持ちで読んでいけるのですが、ガンゲイル・オンラインの話がほぼVRMMOの中だけで進んでいくのに対して、こちらは現実世界での出来事も深く事件にかかわりがあって、その分だけ本家のソードアート・オンラインのアリシゼーション編のような雰囲気がありました。
どれだけ、VRMMO内では死というのが無くても、現実世界では死が訪れることがあるということが話を適度に重くする要因になっていたような気がしますね。
人の入れ替わりトリックがあって、マヒロの父親が死んでいるのではないかとハラハラさせる展開がなかなかにドキドキさせられました。

あとがきによればまだ続くようです。
ソードアート・オンラインをあまり意識しない感じで物語が展開された方が面白いのかなぁと思いました。
ただ、気になったのはアスカ・エンパイアってソードアート・オンラインに近いキャラ構築するんですかね?登場人物の見た目がゲーム内と現実とでほぼ変わらないのが気になります。ナユタはゲーム内でも現実でも美人でグラマラスな人物として描かれていて、コヨミは同じく両世界で子供っぽいが意見をしています。今回登場したマヒロも小学生という設定がそのまま両世界で再現されていて、マヒロにそっくりな鬼動傀儡・鬼姫が出てくるということで、マヒロの容姿がPCとプレーヤーであまり差がないことを示唆してるんですよね。
ガンゲイル・オンラインでは逆にPCとプレーヤーの外見の違いが大きいように設定されているので、ちょっと違和感というか、どうなってるんだろうって思いました。
ソードアート・オンラインでリアルの姿をそのまま投影となっていましたから、技術的には可能なんでしょうけれど。

ナユタとクレーヴェルの関係はコヨミに内緒のまま、どこまで進展するんですかねぇ?
明らかにこれ、ナユタとクレーヴェルの恋物語に発展する展開だよね?

 

ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット

ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット

上遠野浩平:著
緒方剛志:イラスト
電撃文庫


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10年ぶりくらいに読むブギーポップ。
前の巻を読んだのがなんと2008年の6月です。新刊が出る度に購入していたのですが、あまり読む気にならずに積み本になってました。
前の巻の沈黙ピラミッドを読んだときは最新刊とか感想に書いているので、割とすぐに読んだんだと思いますが…。
まぁ、10年経ったとは言え、ブギーポップは一応連続した設定があるものの、時たま時系列が飛んだりする作品な上、基本は単巻読み切り作品の集合ですから、順番に読んでさえいれば特段、読むのに時間が空いてしまっても問題はありません。
この巻も普通にブギーポップだなと思って読めました。
10年経っても覚えてる設定って、すごくない?

ブギーポップだなと思って読んだのは確かなのですが、今回はいつものブギーポップに比べて、フォルテッシモが前面に出ている作品であり、また、MPLSであるスキャナー・ダークリーの能力がフォルテッシモを追いかけまわす(というか、街中いたるところに罠がはってあってそれが発動していく)という展開があって、「日常にまぎれた不思議なこと」が世界の敵たる行為となっていて、ブギーポップが登場するという見慣れた展開とはちょっと異質な感じを受けました。
いままでも統和機構のエージェント対世界の敵がクローズアップされた作品が無かったわけではないのですが、主流である日常を描きつつその裏に潜む違和感みたいなものをブギーポップが退治しに来るという展開と違うので、あ、ちょっといつもと違うって思いました。

今回の敵であるスキャナー・ダークリーはその発生から考えるとすごく悲しい存在。
思い出がベースになっていると言えて、その楽しかった思い出を守るために、その後を描き続けていたという能力であると言えます。
それが、どういった経緯で発生したのかは明確には描かれませんが、事故で幼馴染が死んでしまったことから、発生した能力だったように思えますね。
それが、ただその幼馴染を再現するだけなら、きっとブギーポップも見逃したような気がしますが、いつの間にかに自分にとって都合の悪い過去を人に押し付けるという特異性を町全体に及ぼした結果、統和機構に目を付けられるは、最後はブギーポップが登場してくるわという展開になりますが、登場人物の内、だれがスキャナー・ダークリーなのかは伏せられて話は展開されていきます。
日常パートがあまりに普通に進んでいくので、これがスキャナー・ダークリーにどうつながるんだろうと思ったのですが、フォルテッシモの行動や、ブギーポップによって割とあっさりと種明かしがされた印象。

登場人物のひとりである真駒以緒が書いていた絵本「化け猫ぶぎの寝坊」の断章が各章の冒頭に描かれるのと、輪堂進が見ることになるブギーポップの恰好をした猫。これが、ヒントになってるのですが、「化け猫ぶぎの寝坊」の作者は途中まで明かされないので、これがどう本編にかかわってくるのかは、読者にはわかりにくかったかなぁというか、そこが分かってしまうと興ざめになってしまうので、隠されていたのでしょうけれど、これがどうかかわってくるの?と疑問に思いながら読んでました。
結果的にはこれが真駒以緒の本当の思いの残滓だったのかなと思うと切ない感じがしました。
きっと、救いを求めてた。化け猫のぶぎが死神を待っていたのと同じく、真駒以緒も救いを求めていたんじゃないかなと思いました。
だから残った者、残されたものには悲しみがそこに残る結果になったのではないかなと思いました。
記憶はあいまいで変化してしまうもの、でも書き留められたそれは、変わらずに残っているものだったという感じの話なんですかね?
どうとでも取れる感じで、きっかけがきっかけであるが故に、スキャナー・ダークリーを憎む気にはなれず、ブギーポップはいつもどおり淡々とした感じで、処理していく。
残された人の思いがすごく切ない作品。そんな作品でした。

 

海の底

海の底

有川浩:著
角川文庫


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図書館戦争等で著名な有川さんの初期作品。
自衛隊三部作と呼ばれる作品群の3作目、海自メインに扱った作品となります。
自衛隊三部作の最終作にあたり、塩の街、空の中と陸自、空自を扱ってきたので今回は海自ということになるのですが…。
そもそもこの区分け、微妙だと僕は思っていて…。空の中は確かに空自の話でしたが、話のメインは地方に住む高校生でしたし、塩の街では陸自がメインといっても最終的に事を起こしているのが陸自の基地に集まった人員というだけで、主人公となるのは空自のパイロットでしたし…。今回も海自じゃないのではないかと思ってたら、案の定、発生した事態の一方のメインストーリーは海自の士官候補生が主人公になるのですが、大きな流れ的には警察と陸上自衛隊が活躍する話だった。
自衛隊三部作の陸海空の区分けは非常にあいまいです。(笑)

人類が黄昏の時代に急に突入させられてしまった塩の街や、未知との遭遇を描いた空の中にくらべて、本作の設定はかなり「現実にありそう」に近いところにあります。
巨大化した生物が押し寄せてきてパニックになるという、ちょっとした怪獣映画みたいな設定です。本作で巨大化するのはエビ。蜂や蟻のような社会性を持ち女王エビに従って動く群体としての脅威を描きます。もともとは2cm前後だったのが人間大に巨大化したという設定。
巨大化した理由づけとかも割とありそうで、あぁ、これは実際に起こったら怖いなぁとか思いながら読んでました。

春の桜まつりでにぎわう横須賀の自衛隊基地に突如として現れたこのエビによって、人が襲われて捕食されるという事態に。
逃げ惑う中、潜水艦きりしおの士官候補生である夏木さんと冬原さんが、逃げ遅れた少年少女をきりしお内に誘導して立てこもるメインストーリーと、警察の切れ者で切れ者すぎるゆえにはみ出し者になってる明石警部が独断専行で事態の対応にあたり、警察側の対応の中心人物になっていくサブストーリーで構成されています。
基本、メインストーリーの方は、きりしお内での立てこもりですので、状況はあまり動きません。人間関係が動きますが。サブストーリー側が、エビ=サガミ・レガリスと命名との戦いを描いていくということになります。
サブストーリー側が面白そうに思えますが、流れ的にゴジラなどの怪獣映画のセオリーに則ってる感じの展開で、敵対生物の正体を探る、対応策を考える、自衛隊出動へ政府を動かすという流れになっていて、割と淡々とした感じ。かなり熱い、男たちのドラマが展開されるものの、こちら側での見どころは米軍の空爆との時間的駆け引きがあるところですかね?
差し迫ってくる米軍のタイムリミットまでに、自衛隊を引っ張り出せるかで四苦八苦するという感じの展開でした。恥を忍んで壊走するのを演じる機動隊が熱かった。犠牲は何のためにとか、現在の日本の制度に対する疑問とかを投げかけている感じでした。
で、メインストーリーになるのは立てこもり組になるのですが、基本的には若手自衛官2名が12人の少年と1人の少女の面倒を見るという話し。
これこう書くとつまらなそうに思えるんですけれど、これがなかなか面白いのです。子供たちは上が高校生から下が小学生までそろってて、唯一の女子が一番上の高校3年生。その下は中学3年が一番上となっています。この子たちがひとつの町内会の子供たちなんですが、派閥とかあって、今はやりのモンスターペアレントの問題をはらんでいて、対立とかするのね。これが読んでいてなかなか面白いなと思いました。そこへ極限状態の立てこもりということで、いろいろな日頃の膿が出てきて、自衛官である夏木と冬原のコンビが対処していくという子守り物語であると同時に、夏木に惹かれていく少女の恋物語にもなっていて(夏木の方も少女をかなり意識している)面白かったです。
基本恋愛要素はさりげなく外さないのが有川さんらしいのかなと思いました。

自衛隊が出てきたら、あっという間に状況が終了するのですが、それまでの機動隊の頑張りとかすごく悲しい要素もあったりして、切ない部分も。
そして、少女=森生望の成長と夏木に対する感情の行方とか、見どころが結構あったなぁと感じました。
純粋に面白かった。

単行本では未収録だった前日譚も文庫版には収録されています。
こちらは夏木と冬原が冒頭で腕立て伏せをさせられてる原因になった「事件」を描いていますが、そら、怒られるわーって感じの話。
実際に潜水艦でサバゲーした自衛官っているのかなぁ?アメリカの空母では居るらしい(ツイッターで偶然タイミングよくそういう話を見ました)ですが…。
お堅い自衛隊だと無理だろうなぁ。(笑)

 

アルスラーン戦記16 天涯無限

アルスラーン戦記16 天涯無限

田中芳樹:著
丹野忍:イラスト
光文社カッパノベルズ


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16巻。完結です。
1巻の刊行が1986年。30年の時を経てやっとこ完結しました。
話題性はあるのですけれど、30年で16冊って遅筆すぎだろと思わないでもないです。
同じくらいの厚さというか長さの本でラノベだとさらっと30冊出てるとかあるので、これはちょっと時間かけすぎな気がします。
9巻と10巻の間、10巻と11巻の間、13巻と14巻の間で3~6年のブランクがあるのが原因だと思うんですけれど、作者さんのモチベーションとかどうだったんですかね。
作品が完結しないことで有名な田中芳樹さんだから、完結しただけでもすごいのかもしれないですけれど。
この長いブランクが開く作品をずっと1巻から保持して30年間、物語のラストを読むことを楽しみにして待っていた僕、ちょっとお人よしかもしれないとか思った。
第一部を読んでいた大半の読者さんはもう離れてしまっているような気がするし、今、アルスラーンを読んでいる人は光文社版からでそんなに時間経過しないで読めてる人なんじゃないだろうか。そんなことを思いながら迎えた最終巻でした。

さて。
冒頭。シンドゥラのラジェンドラの元へジャスワントを大使として、主要登場人物の夫人や子供が疎開するところから始まります。
ザッハークの眷属と戦うために必要な芸香の産地として、パルスがシンドゥラ国内の土地を購入していて、そこへパルス人を入植させる交渉事から。
この部分を当初読んだときには一時疎開みたいなもので、アルスラーンがザッハークを打倒したら戻ってくるんでしょというような感じに読んでいましたが、結果的にこの約束事がすごく重要な意味を持つということになっていきました。
これを考えていたということは、アルスラーンはこの結果をこの時点で予想していたということで、すごく読み終えたときに残念な気持ちになった。この時点でアルスラーンの中に達観というか、あきらめというかがあったということだし、保険としてもちょっとなぁという気がしました。
もちろん、戦場となるエクバターナに要人の夫人たちを残しておけないというのはあるのですけれど、結果を見たときに、残念に思ってしまったんですよね。ここがあったおかげで未来には繋がっていくのですけれど、これまで必死にやってきたことがここですでに瓦解することを見越していたんだと思うとすごく悲しい感じになりました。

そのくだりがあった以降はほぼずっと戦闘シーンです。
アンドラゴラス王=ザッハークが軍勢を用意する部分とかがあったりはするんですけれど、ほぼ力押しで軍勢を用意しちゃうので、さらっと流れて戦闘突入という感じ。
アンドラゴラス王=ザッハークが率いる蛇王軍とチュルク軍、少し遅れてマルヤム軍が参戦という感じでアルスラーンはエクバターナでの籠城戦を選択します。
ミスル軍も参戦に来るんですけれど、ギーヴがたった3本の矢で退けるというエピソードに花を添えただけであんまりにもな扱いでした。
籠城しているだけではなく、ちょこちょこと撃って出て戦果を挙げつつ、戦っているという感じではあったのですけれど、戦力の分散投入じゃね?って思いました。ナルサスだったらやらない手。
でも、ナルサスはもういないし、紙面の数も少ないしって感じで仕方がなかったのかもしれないですね。
特に紙面の関係でこうなったんじゃないかなぁという点は多かったように思いました。
というのも、これまで残っていた伏線を全部この巻で片を付けていますので、どうしても紙面は足りないんですよね。
ちょっと途中の12~14巻あたりで余計な話を突っ込みすぎたんじゃないかなぁと感じました。
戦闘は十六翼将の見せ場づくりであり、死に場所作りであったような感じで、一人の大物を倒すの確実に一人は失われるという展開。
戦争は生産性はなくて貴重な人材を失うだけの愚行というのは作者さんの他の作品でも描かれていたテーマではあるのですけれど、アルスラーン戦記のようにファンタジー要素のある作品でそれをやってしまってもなぁという気がしました。
人外の敵であるザッハークに対して、戦争をうんぬんを語っても仕方がないような気がしないでもなかったです。人外の敵で倒さざるを得ない人類の敵に対して、戦争は無益っていうテーマを持って描かれてもちょっとつらいものがある。戦いの悲惨さというものは十分に伝わってきますが。

そして、最後の戦いの前。ついに邂逅するザッハークとアルスラーン。
残った翼将は最初の5人に一人足りない人数という状況で、いざラストバトルかと思いきや、伏線回収。よみがえったアンドラゴラスの記憶とザッハークとしての記憶を語る敵の首魁。
割といい人だー!とか思ってしまいました。
疑問には答えるよー的な勢いですべての伏線を回収して語ったのち、一夜明けたら決戦としようということになり、一晩持ち越す展開ってどうなのさと。
伏線が回収されたのは、読者としてはうれしいのですけれど、こういうやられ方をするとちょっと盛り下がる感じはいなめないなぁと感じました。
そして最後の戦い。
その結果、失われたものは大きかったということで、冒頭のシンドゥラの荘園の話が生きてくるという展開になっていました。
そして時は経ち、アルスラーンの後継者が現れたところで話が幕となりました。

なんにせよこの巻、急ぎ足すぎるんですよ。
この巻で何が何でも終わらせないといけないという感じがあって、戦力分散しないで戦うべきところを各個で戦って相打ちっぽくなる展開とか、語るザッハークとか。
田中さんあんまりファンタジー向いてないと思いました。
ファンタジーで生かせる要素をあんまりうまく使えてなかったように思うんですよね。
宝剣ルクナバードは良かったんですけれど、じゃぁ、ザッハークはのこのこ出てくるなよと思うし、ファンタジーであるが故に「なんで?」というのが残ってしまった感じがありました。ルクナバードに近寄ると魔力が使えなくなる弱点があるならば、ルクナバードをどうにかするという方が先に思い立つでしょうし、正面から軍勢同士で戦う必要なんてさらさらないし。
その辺は架空歴史小説家であって、ファンタジー小説家じゃないなぁって思いました。
たぶん、第一部より第二部の方がかなり評価が低いのはそういう理由もあるんじゃないかなぁ?Amazonの評価とかみると散々書かれてて悲しくなっちゃうんですけれど。

いろいろ不満点とかはあるにはあったけれど、一人の王太子が王になり、国を守って戦っていくという物語として、アルスラーン戦記は十分面白かったと思います。
時間をかけすぎてしまって途中の構想が膨らんでしまった関係だと思うんだけれども、後ろが詰まってしまい、この巻に関していえばすごく不満要素がいっぱいあるんですけれど、これはこれで受け入れられないかといえば、そんなに受け入れられないほどじゃないという感想が僕の中ではあります。
何にせよ完結しないより100倍まし。と僕は思うんだけどなぁ。
それなりに楽しんだアルスラーンもこれで終わりですね。

時に。
田中芳樹さんの描く軍勢は必ず平面的にしか動かない。
銀河英雄伝説でも思ったのですけれど、あれ宇宙の話で艦隊とかを三次元的に動かせるのに平面的な戦術図で表すことができる。
今回もザッハーク軍は有翼猿鬼や鳥面人妖などの航空戦力があるのに有効に使ってない。
たぶん、田中さんの頭の中では古代中国の戦略とかをモデルにしてるからだと思うんだけど。すっごーく気になるんですよね。なんでそうしないんだろうって思う部分がすごくあるんですよ。(笑)

 

86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―

86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―<下>

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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3巻目です。
前巻で電磁加速砲型のレギオンの攻撃が始まったところで終了して、それに対抗するように人類側が動き出すというのがこの巻のストーリー。
基本的にギアーデ連邦での話を描いていますが、一応、他国の様子も若干ながら描かれるようになりました。
これまではサンマグノリア共和国とギアーデ連邦が描かれた国でしたが、この両国はレギオンの支配域を挟んで西と東に位置する国。互いに接してはおらず無線連絡なども届かないとされていました。ギアーデ連邦はレギオンと恒常的に戦いながら戦線を押し返してるので徐々に支配域が広がっている設定で、北と南にある国との連絡が取れているということで、今回の作戦は3国共同での電磁加速砲型破壊を目的とした作戦ということでスタートします。
いろいろ駆け引きみたいなのがあるようですが、上層部のそういったことはあまり描かれませんでした。
結果的に作戦としては3国共同でレギオンに対して陽動をかけること。シン達ノルトリヒト戦隊が電磁加速砲型に肉薄して打ち倒すこと。ノルトリヒト戦隊を回収するために連邦の戦線を電磁加速砲型が居るところまで押し上げることとなっています。
結果的に描かれるのはシン達の戦いであって、他は状況がこうなってますという感じに説明がある程度でした。
全体を描くと本が分厚くなるのは分かりますけれど、生存が1巻のおかげで明確になっているノルトリヒト戦隊よりも、他の部隊の戦闘とか描いた方が手に汗握る展開になったような気がします。
なんというかね、1巻目のラストにつながる話であるので、結局のところシン達は誰も欠けることなく生き残るのは保証されてしまっているんですよね。どんな強敵と戦っても彼らは死なない。
そして1巻のラストでレギオンの支配域が完全になくなったわけではないけれども、滅亡したサンマグノリアと連絡をとってレーナを迎え入れるようなことができている以上、電磁加速砲型も誰かが倒したということは分かる。じゃないとそんな余裕ないですからね。電磁加速砲型に首都やそれに次ぐ都市が狙われる事態で悠長なことはしてられないですから。
そこから逆算してしまったせいで、物語の流れ的なところは先読みができてしまい、ちょっと盛り上がりにかけてしまった感じは否めないかなぁと思いました。
といっても、作者さんこれ3作目。しかも1巻は完結することを前提に書かれた物語でそれの続編を無理やり書いているので仕方ないのかもしれないですね。

ストーリー的に読み応えが無い感じでしたが、その分、キャラクターの心情描写にはそれなりの力が入っていた感じでした。
シン以外の人物は、シンの心情を強調するための添え物的な扱いではありましたけれど、その分、主人公であるシンに集中はできる感じ。
86として、戦場で生きてきて、その人生は期間が限定されていた感じだった。その分、それが戦い一辺倒であったとしても色濃い人生を送っていたと言えるシンですが、連邦に救い出された結果、戦いの中に身を置いても未来というものを考えないといけないという事態に直面して困惑します。
未来、やりたいこと、長く続く人生、そういったものを考えられなくなっていたシンは、そういった会話になるたびに黙り込み、考え込み、今までの人生、生き方を否定することとして困惑します。
86の仲間たちとも思いを共有できずに孤立してしまう。
そのシンが戦いの結果、戦い終わって邂逅したレーナ(ただし、シンはレギンレイヴのコクピットからの音声のみなのでレーナはシンに気づいていない)の会話で目的というものをひとつ手に入れる。
その過程を丁寧に書いていた感じですね。
ぶっちゃけ、電磁加速砲型の脳になっていたキリヤとの戦いとか添え物でしかなかったような感じです。キリヤの台詞とか今後につながる重要な要素を割と含んでいるんですけれど、読み飛ばしちゃいそうなくらい。

本来はノリの良いバトルものを書こうとしたらしいですが、シンがこの巻のシンである限り、無理だったんじゃないのかなぁ。
未来見てないからなぁ。この巻を経てやっとそういうものが書けるようになったのではないかと考えました。
それと、決着がついたって感じてるのが、決着ついてないって突きつけられるの、読者としてはつらい。登場人物たちが気づいてない分つらい。
電磁加速砲型も今回苦労して撃退しましたが、また出てこないとは限らないですしねぇ…。

あ、ところで2巻の時に時間経過を僕気にしたんですが、ちょっと1巻を読み直してみて時間経過がどれくらいなのか判明してた。
1巻でスピアヘッド戦隊が最後の偵察任務にでて、最後にレーナとシン達が再会するまでに2年。
ということは2巻、3巻は士官学校時代を考えても1年かそこらしか経過してない感じですかね?
シンは年齢が高い感じの話し方をしますが、ふとした台詞が年相応に10代の口調になってるのが面白いですね。意図してるのかな?
まだ続巻はあるようです。あまり長くしないで綺麗な終わり方してほしい作品と感じています。
レギオンの生産ラインと基地を破壊して人類が地上の支配権を取り戻すのが綺麗な終わりなんでしょうけれど、そこまではまだ長いかな?
まずは1巻のラストを追い越すことですかね?

 

塩の街

塩の街

有川浩:著
白猫:イラスト
角川文庫


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図書館戦争等で著名な作家さんのデビュー作。
自衛隊三部作とよばれる作品の「陸」にあたる作品です。
もともとは第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作で電撃文庫から刊行されていたのですが、単行本化を経て再文庫化。その時には他の自衛隊三部作に合わせて角川文庫からの刊行となった作品です。
当初の電撃文庫版には「wish on my precious」というサブタイトルがつけられていました。また、単行本化されたときにかなり改稿されたようで、また後日談が付け加えられていて、単行本の文庫版である僕が読んだバージョンでは当初の電撃文庫版では出てない人物が居たり、逆に登場しない人物が居るみたいです。
でも話の大筋は変わらずで、また後日談が読める分だけ、電撃文庫版よりはお得かな?

宇宙から飛来した塩化ナトリウムの結晶の柱が東京湾に落着し、それ以降、「塩害」と呼ばれる人体の塩化が問題になっているという設定です。
塩化した人はソドムとゴモラの街から逃げ出したロトの妻のように塩の柱になってしまうというもの。急になるのではなく末端から徐々になっていくという設定。
これにより、日本では何百万人と被害がでていて社会が成り立たなくなっているという世界で物語が始まります。

ストーリーはラブストーリー。
荒んでしまった社会にはじき出されてしまい、暴漢に襲われていた女子高生真奈と彼女を助けた元自衛官秋庭のラブストーリー。
前半は二人の前を通り過ぎる人たちの恋愛模様等を描き、無意識にお互い惹かれあっていたというところに落ち着くというはなしです。
世界と恋人どちらが大切かという究極の問いに対して答えを選ぶ真奈。それを振り切って世界の為に行動する秋庭ですが、秋庭の行動はそんなものの上を行って必ず帰るのが男の役割といわんばかりの行動となっています。
ハッピーエンドで、気持ちの良い終わり方。

僕が読んだ角川文庫版では後日談がありますが、これらは各登場人物にスポット当てたうえで、世界が復興していく過程をえがいた短編集になっています。
これの最後で幸せに暮らしている真奈と秋庭の姿が見れて、すごくお得な感じがしました。
読んでみるとアッというまに終わってしまう、それでいて引き込まれる素敵な作品でした。

物語とは関係ないんですけれど、解説を読んで知ったのが、著者である有川浩さんが女性であるということ。ずっと男性だと思ってました。
女性であると知ると、この話を書いたというのにすごく納得がいくんですけれど、書いてる作品が自衛隊が絡むとか、何故だろう…。

後、イラストは1点のみで、戦闘機のイラストでした。(笑)

 

アクセル・ワールド22 -絶焔の太陽神-

アクセル・ワールド22 -絶焔の太陽神-

川原礫:著
HIMA:イラスト
電撃文庫


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22巻です。
この巻では、七王会議の場でオシラトリ・ユニヴァースに対して加速研究会の隠れ蓑であったというのを把握したという事実を突きつけるという一大イベントが用意されており、読者もそのつもりで読み始めることになります。
その結果どうなるのか?というところでストーリー展開に期待がもてる巻でした。

まずは、オシラトリ・ユニヴァースの一員ローズ・ミレディーが接触してくるところから。
前巻で戦ったバーストリンカーでしたが、その1人が神獣級ビーイングと懇意にしていて、コンタクトをとってくるという話。ハルユキがメタトロンと懇意にしているのが特別な状態じゃないというのがここで開示されますが、やっぱり特別感は否めないよなぁという感じ。
ここで、オシラトリ・ユニヴァースの中にも、ホワイト・コスモスに疑念を持つバーストリンカーが居るという状態が発覚していきます。
彼女はブラック・ロータス同様、恵=オーキッド・オラクルと友好関係にあって、全損した彼女をどうにかしたということに疑問を持っているようでした。
そしてサフラン・ブロッサムという、災禍の鎧の事件の切っ掛けになったバーストリンカーを復活させたいと願っていて、それゆえにオシラトリ・ユニヴァースに居る。ただ、それがホワイト・コスモスの甘言であるかどうかの確認に来たという感じでした。
ハルユキ達の言葉から、ローズ・ミレディーはサフラン・ブロッサムの件はホワイト・コスモスの甘言であると確信したようで、これで、オシラトリ・ユニヴァースは内部から崩壊する可能性が出てくるなぁと思ったのですが…。

七王会議を経て、正体をばらされたアイボリー・タワー=ブラック・バイスがしらを切りとおすかと思ったら、割とあっさり正体を認めて戦闘に突入。ウルフラム・サーベラスを隠していて、その中にオーキッド・オラクルを格納した状態で能力を発動させて、また危険な無制限中立フィールドでの戦いに持ち込んでいきます。
アルゴン・アレイとの連携なんかに苦しめられますが、最終的にはアルゴン・アレイを倒すことには成功。
その代わり、ブラック・バイスの罠の中に王たちが囚われてしまい、神獣級ビーンイングである太陽神インティを召喚したオシラトリ・ユニヴァースの幹部プラチナム・キャバリアーによってニコを除く王たちが無限EKに囚われてしまうという事態になって終了という流れになっています。
割と手に汗握る展開が連続して、ドキドキしながら読めました。次の展開がどうなるのかというのが分からないというのは久しぶりだった感じがします。
それにしても、準備をしても準備をしてもその上を行くオシラトリ・ユニヴァース=加速研究会って半端ないなぁと思いながら読んでました。
しかも今回、実質2人で七つの神器のひとつの力があったとは言え、6人の王と戦って勝ちを収めるというのはすごいなぁと感じました。まぁ、卑怯な手ではあるのですが。

プラチナム・キャバリアーがオシラトリ・ユニヴァースが総攻撃を受けたとしても、レギオンを抜けようとするメンバーは1人もいないと自信ありげに言うシーンがあるのですけれど、それが冒頭に書いたローズ・ミレディーの思惑とは矛盾するように感じ、疑問に思いました。プラチナム・キャバリアーの自信はどこから来るの?という感じで。なぜ、オシラトリ・ユニヴァースを抜けようと思うバーストリンカーが居ないと断言できるんだろうという疑問がわきます。実際、ローズ・ミレディーなんかは抜けそうな感じであるのにです。
プラチナム・キャバリアー自身は加速研究会というかブラック・バイスを良くは思っていなさそうですが、ホワイト・コスモスには絶対の忠誠心を持っていそうな人でした。
そして、なんか哀愁が漂ってるんですよね。あきらめみたいな。加速世界に対する恨みのようにも感じました。
それが、ホワイト・コスモスの人員を結び付けてるものなのかなぁとか考えているのですがどうなんですかね。
その辺が今後、どう展開していくのかがカギになっていきそうです。

次は、まず無限EKに囚われた王たちを助け出す話からですかね。
太陽神インティをどう討伐していくか、グラファイト・エッジでは手も足も出なかった相手に、王たち抜きでどう戦っていくのかが見どころなんですかね?
なかなか、話の終わりを見せてくれませんね。
ブラック・バイスの上を行かないとまずは無理だよなぁと思うのが、苦しいところ。攻略しようとしたら、出てきそうですし。ブラック・バイス。
いろいろ伏線は残ってますから、それを徐々に回収しながら戦っていくんですかね?
どうなるかが楽しみです。

 

Re:CREATORS NAKED2

Re:CREATORS NAKED2

広江礼威:著・イラスト
サンデーGXコミックススペシャル


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2巻です。

1巻を読んだときには気が付かなかったけれど、アニメ版と大きく流れが違うシーンがあった。
ちょうど、1巻のラストと2巻の冒頭が入れ替わっている感じ。
颯太がアルタイルの正体と創作者であるシマザキセツナを知っていたと皆に伝えるシーンは、アニメではメテオラのチャンバーフェスの提案の前に挿入されており、また主だった関係者全員の前で告白するというシーンになっていました。
対して、NAKEDではメテオラが1巻のラストでチャンバーフェスの提案を行った後、2巻の冒頭からチャンバーフェスの準備の最中に松原個人に対して行うという形になっていました。
颯太の心情を考えれば、皆の前で懺悔という形で話すよりは、話しやすい大人である松原に対して話をするというのは自然な感じではあるとは思いました。
ただ、話としての盛り上がりはアニメの方が盛り上がるでしょうし、颯太の覚悟というか懺悔を劇的に表現することができるなと感じました。反面、松原に対して懺悔の告白をするというのは、劇的ではないですけれど静かに物事を訴えるという意味あいで、重いものを感じさせるシーンとなっていた気がします。
アニメでは画面で劇的なシーンを作る必要があるでしょうし、小説や漫画なんかでは静かでも重いものを感じさせるシーンのが重用できる印象があります。広江さんは漫画家なので、この辺はそういったつくりの問題なのかなぁと感じたところでした。
シーンを何個も継ぎ足した跡があり、広江さんも迷いながら書いたシーン、重要なシーンなんだなと再確認しました。
このシーンの順番が違うことによって颯太がシリウスとシマザキセツナを被造物として現界させるという案を出す重みも変わってきています。
アニメ版では松原達の創作者たちに触発されて、自分も何かしなければという思いから案を思いついたという感じになっています。ですが、NAKEDではチャンバーフェスの準備中に松原に懺悔の言葉を聞いてもらった流れで切り出されています。そのため、シマザキセツナへの思いによって、考えついた案であるように取れます。
なので、シリウスとシマザキセツナに対する重みというのがアニメとNAKEDで異なっているんですよね。
狂言回しであると颯太自身はモノローグで語ってますが、主人公はやっぱり颯太なんですよね。彼の眼を通してみた世界、それがRe:CREATORSの世界であったわけですから。
そんな重要なシーンから2巻は始まっていました。

また、颯太が用意しているシリウスとシマザキセツナについて、実際に登場上するまでどんな登場人物なのかは明確には明かされないものの、用意しているというのが作中で語られるのが印象に残りました。アニメ版では登場するまで、颯太が何をチャンバーフェスで行ったのかは触れられずにいたので、この辺はアニメ制作時に登場まで語らない方がインパクトがあるという判断がされたんでしょうね。
また、逆にセレジアの恋人であるカロンについてはNAKEDではずっとひた隠しにされていて、印象がずいぶん違うなという感じを抱きました。カロンとアルタイルがしゃべっているシーンもないため、ロボットを伴った存在が現界しているという情報があるだけで、唐突に出てきて、セレジアに対してわからず屋な雰囲気をぶちかます男という印象が残ってしまい、アルタイルの甘言に乗せられている印象が無かったですね。NAKEDではカロンは貧乏くじを引いてかっこ悪いというか悪役然とした感じになってしまっていました。

そしてアニメ版と大きく違うのはメテオラが現実世界に残る理由。
アニメ版では作品世界へ帰還するのに門を開いて安定させている必要があり、誰かひとりはその門を維持するために残らないといけないから、その役目をメテオラが買って出たという流れになっています。
NAKEDではそういった制約はなしで、メテオラは現実世界へ残ることを選択して残ります。
ここは大きく印象が違うシーンとなっていました。
アニメ版でも別段戻れないことに後悔や残念な気持ちがあるというよりは、現実世界で創作活動をしてみたいという気持ちがある様な事は伝わってきましたが、現実的に戻る手段がないから選んだのと、あるのだけれども選んだのと、そのウェイトって違うと思うんですよね。
どちらがストーリー的に良かったかは判断が難しいところですが、メテオラの様に残ることが許されるのであれば、残ると言い出しそうな人物がほかにもいたような気がしないでもないです。(ブリッツね)

1巻、2巻と全2巻で広江さんが構築したRe:CREATORSの原石を読んでみたわけですが、前半を描いた1巻に比べて、2巻は広江さんが書き足した跡が多くみられ、また、アニメ版との相違も多く見られたなと感じました。
特にチャンバーフェスが始まってからの描写は、アニメ版の方がアクションの連続性がありシーン的には少なくなっている印象があります。
NAKEDではカットインしてイメージがいろいろ挿入されていた印象があります。
どちらがスピード感があるかというのが問題になるのだろうけれど、文章で見たときとアニメで見たときの印象の差から、制作時に取捨選択して作られていったんだろうなと感じました。
この違いを見てるの結構面白かったです。
こうして、原作というか原型を見れるアニメ作品って少ないので、貴重ですよね。
物語を作るということで、ストーリー的にもそうなんですけれど、かなり参考になる作品だなと感じました。

 

Re:CREATORS NAKED1

Re:CREATORS NAKED1

広江礼威:著・イラスト
サンデーGXコミックススペシャル


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アニメRe:CREATORSの原作テキストと銘打たれた本です。
本のブランドはGXコミックスになってますので、本屋さんが扱うときはコミックとして扱われます。が、内容は漫画ではなくて文章が書き連ねてある小説のような作品となっています。
本屋さんによってはコミックコーナーにおいてあったり、小説コーナーにおいてあったりでまちまち。本屋さんで探すときに少し苦労するかもしれません。
原作テキストというのは果たしてどんなものかというと、帯にはシナリオのもとになったありのまま(NAKED)な原作テキストとあります。一見して小説のように読める作品ですが、実際は脚本に近いものです。シェークスピアの作品みたいな感じになっていて、登場人物の台詞の前には誰がそれを言っているかの名前が振ってあります。また、シーン毎に章分けされていて、短い章がいくつも連なっているという形になっています。
まさに脚本と言ったらそうなんですけれど、脚本と違うのは場面の状況が小説の様にに描かれていること。脚本の様に場面がト書きだけということはありません。
なので、読んでみると小説と脚本の中間のような印象を受ける作品となっています。
本の説明を読んでみるとこの辺はどういったものなのかが書かれていますので、納得はいくと思います。
アニメを作る際にコンテというものを作りますが、これは絵の代わりに字を使って書かれたコンテなんですよね。字コンテ。
かつて発表された作品で字コンテとされる作品は何個か読んだことがあるので、あまり違和感は無く読めました。
また、アニメを作る際のコンテ、脚本に先立つものという性格上からか、キャラクターの心情は台詞以外では基本外面描写にとどまっていて、小説のように内面を描写するというのはこの作品では行われていません。何か所か例外的に描かれている分もあるのですが、基本は心理描写は外面で表れている描写の実となっているのが特徴です。

シーン毎にナンバリングがされており、制作過程で後から挿入したり、順番を入れ替えたりした跡が分かるようになっているとされています。
が、僕はさらっと読んでしまい、挿入された箇所や順番を入れ替えた形跡ってなかったように思いました。あったのかな?
2巻をパラパラとめくってみた感じ、2巻には挿入した跡というのが見て取れるのですが、この1巻にはなかったように思えました。

基本的にストーリーはアニメと同じですが、アニメ本編と比べてみればいくらでも違う描写がされているところとかあると思うのですが、それをほとんど感じさせないほど完成度高い感じがしました。
これが原作として作者の広江さんから提示されたものだとすると、すごい熱量というか、細かく作りこんだうえで原作として提示しているんだなぁと感じました。
1巻のストーリーはチャンバーフェスについて、メテオラが提案をするところまでなのですが、ほとんどアニメ本編と変わりがないように感じました。
ただ、ストーリーに直接関係しないコミカルなパートとかは減ったかなと思いましたし、全体的にアクションシーンなどの描写はアニメ本編より少なくなっているなというよりも簡素に書かれている感じがしました。そして、アニメとは違う描写になってる部分もなくはないです。
その辺は、まだ原石である感じは否めない感じがしますね。
ここからもっと肉付けをされてアニメ本編が作られていったんだなぁという感じです。
でも、前述したとおりほとんどアニメ本編と違いを感じさせないほど、作りこまれた作品となっていました。
これを原作として提示した広江さん、さすがプロなんだなぁって思いました。

感想となるとアニメと同じになってしまうので、ストーリーの感想は割愛しますが、作品としてはやっぱりRe:CREATORS面白いなと感じました。
あの面白かったアニメがどうやって作られていったか、それの原石がここにあるという感じのものがこの本。
2巻で完結ですが、この1巻と違った印象を受けるんですかね?

 

されど罪人は竜と踊る11 Waiting Here to Stop the Noisy Heart

されど罪人は竜と踊る11 Waiting Here to Stop the Noisy Heart

浅井ラボ:著
宮城:イラスト
ガガガ文庫


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11巻です。
今回は10巻を読んでから間をおかずに読みました。
まず、思ったこと。表紙だれこれ?ということ。
過去の巻を引っ張りだして名前が書いてある口絵を確認したり、ネットで調べたりしたところ、モルディーン十二翼将の大賢者ヨーカーンらしいです。
ヨーカーンさん、この巻では出番がそれほどあるわけじゃないというか最後2ページに満たない部分で出てきて思わせぶりなことのたまうだけなのに、表紙を独占ですよ。
いやはや。
確かに、この巻で表紙を飾るのはだれかとなると、困るっちゃ困るのですけれど…。
アンヘリオはこの先の12巻だかで表紙を飾っていますし、カジフチやロレンゾじゃ華がありませんし、パンハイマは10巻で表紙を飾ってますし。
そうなるとガユスが一番この巻では表紙に相応しい人物だったと思うんですけれどね…。
いろいろあったし。
なぜかヨーカーンでした。なぜ?(笑)

ザッハドの使徒編はこの巻では終わらず、何人かの使徒が退場したものの、状況はますます悪化の一途をたどっているという感じの巻でした。
唯一の救いはガユスたちの連携がうまく回り始めていること。ただ、それでも被害がでて徐々に欠員が出て戦力が減っていくのは悲しい感じがしました。
途中にチェレシアvsジヴーニャのやりあいがあったり、ガユスたちが事務所を連合化した結果、どう回していくかの話し合いのシーンがあったり、ザッハドを閉じ込めている場所でザッハドと会話するなどのこまごまとした戦闘以外のシーンはあるものの、分厚いこの本の大半を占めるのは戦闘描写となっています。
頭から、最後までずっと戦ってる。そんな印象を受けました。

前半は個人で人外の戦闘能力を持つ者たちの激戦。
ギギナvsカジフチ、アンヘリオvsロレンゾvsカジフチとなんかもう戦闘能力がおかしい人たちの戦いを描いています。
基本、場面場面で戦ってる相手は変わるものの1対1の構図で戦っているのにその被害で地形が変わるっておかしすぎでしょ。
あのギギナが単体でほとんどかなわずに敗北して重傷を負うようなカジフチ相手に、タイマンで戦えるアンヘリオとかロレンゾとかどうなってるの?しかも騙しあいもそこに入れ込んでくるし。
目まぐるしく戦っている中で、ペトレリカの所有権(人権無視)は次々に移り変わって、この巻で最後にペトレリカを連れてるのはカジフチとなります。
その事でアンヘリオが人間らしい怒りをあらわにしているのは印象的でしたが、子供っぽい感じがする意外でした。でも、これは意図的な描写だと思う。アンヘリオは感情というものがわからないから、自分の玩具だとみなしていたペトレリカを奪われた上に奪還に失敗して切れるしかない。周りに苛立ちをまき散らし喚き散らすしかない。彼自身も悲しい人なのかもと思いました。ペトレリカによって救われる可能性があったのかもしれない。それを奪われてしまって彼自身がどうして良いか分からなくなっている、そんな印象を持ちました。
でも、切れたアンヘリオに異貌のものどもが怯えるってどーなの?単体でもアンヘリオのが強いのがビビりました。

後半はチーム戦。
基本は使徒対ガユスたちが戦うという感じになりますが、ガユスたちが知恵を絞ってぎりぎりの策略をもって使徒とやりあうのが印象的でした。
結果的に使徒を倒すキーになっているのはガユスで、他人の肉体と同化する使徒には、自分に同化させて自分ごと巻き込んで咒式を使って倒したり、前巻で出てきた心筋梗塞を起こさせる心臓の音を感知するエミレオの書の能力に対抗するために、心臓を止めるという暴挙に出たりします。
そのせいでチームの若手にビビられて、使徒と同じだとか言われているのが印象的でした。
これロレンゾと同じだなぁと感じて読んでました。復讐心が半端じゃない状態になっていて使徒と比べても変わりがないくらい恐ろしい存在になり果ててる、そういう感じです。
戦いへの恐怖心から抜けたいと言った若手を留める策略を実行したりして、人としてどうなのというレベルに足を突っ込んでいる。でも、一人でも抜けられると全体の士気に関わるし、戦力的にも問題っていうことで心を鬼にしているのがわかるんですよね。
また、9巻でガユスに生命維持装置を止めてくれと依頼してきた老人、彼が実は使徒で血の祭典にガユスを巻き込むためにそういうことしたというのが分かってしまい、ガユスの精神がどんどん追い詰まってるように見えました。いつもの事ではあるのですが。かなりきつい感じです。

最後は、一人の使徒の策略によりパンハイマ咒式警備会社が崩壊していく戦いで締めという感じです。パンハイマも精神を敵に乗っ取られてしまったりして、この先どうなるのという感じ。
なんだかんだいって、ガユス、ギギナ組が残った使徒を倒していくのでしょうけれど、まだ大物が残ってる状態です。
最終目標はアンヘリオなんでしょうけれど、パンハイマがもとに戻ってくれないと、さすがにきつい気がするんですよね。それにペトレリカの話もあるしパンハイマが正常化してもらわないと困るという感じなんだけれど…。
どうなっちゃうのという感じで次巻へ続くでした。

分厚い本なのにずーっと戦いっぱなしの熱量は半端じゃなかったです。
使徒編、まだ続くのかよ…。

 

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