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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

テスタメント・シュピーゲル3 下

テスタメント・シュピーゲル3 下

冲方丁:著
島田フミカネ:イラスト
角川スニーカー文庫


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とうとうたどりつきました最終巻です。
テスタメント・シュピーゲル3巻下巻。通巻では5巻目になります。
前シリーズのスプライト・シュピーゲル、オイレン・シュピーゲルから数えれば13巻目という形になります。
テスタメント・シュピーゲルは一冊一冊が厚いので、スプライト、オイレンの前シリーズから見ると倍くらいの分量はあった感じですね。
長かった物語もこれで最後、終局を迎えることになります。

もうなんかね、これだけ分厚い本小説なのですが、3/4はひたすら戦っている印象です。基本は上巻と同じく列車を守りながら待ち伏せる敵と対峙していくという展開ですが、その時その時でそれぞれの因縁が絡み合ってきていて、各人の見せ場があってひたすら燃える展開が続く。
まずは、鳳の救出に成功したのちは、情報汚染に対抗するための拠点確保のために児童福祉局の羴までたどり着く戦い。そして、情報汚染に対抗する手段を確保したのちは、都市機能を復活させ、テロを主導した者たちを追うために行政局を確保する戦いと、目まぐるしく戦場が文字通り移動してく。だって列車で移動しているから。
読んでいて安心できるのは涼月の戦いでしたが、その涼月ですら特甲レベル3やらレベル4やらから受けるフロー状態と戦いながら、それでも前へ進み続けるという信念とガラテア・コンプレックスによって救われて何とかという感じだったのがハラハラさせられます。他のメンバーはそれぞれに何等かの不安を抱えているので、涼月よりは不安感がぬぐえないんですよね。結局は皆、克服していくのですけれど。

そして、狂ってしまった特甲猟兵たちを退け、キャラバンのホイテロートとロートヴィルトを退け、裏で事態を操っていた3台のトレーラーにたどり着いて、それぞれの場所でそれぞれの人物を逮捕または倒していく。
理想は全員逮捕なんでしょうけれど、ぎりぎりの戦いの中でのことなので、結果的に救えない人物ってのもいて何人かは倒すという終末でした。
一通りの戦闘に方が付いたときに、おぼろげになぜこのような事態が発生したのか、数々のテロ事件のトリガーは何であったのかがわかってきます。
そして静かなパートへ。
戦闘ではなく事件に関わった重要参考人や犯人を逮捕していくというフェーズがこの作品にはあり、あぁさすが冲方さんだなぁと思いました。
ラノベだとさ、最後の戦闘のドタバタの中でさ、何から何まで片がつけられて、最終的な大物の犯人もこのドタバタの中で処理されることが多いんですよね。この作品はそうじゃない。ドタバタしてるところには決して出てこない、裏から手を引いている人物ってのがいて、そこへたどり着いてすべての決着がつくという状態になっている。
その方が話としてはリアルだし、盛り上がりには多少欠けるところがあるかもしれないけれど、納得がいく終わり方だと感じました。

結局、雛が事件が終了して水無月が迎えに行くまで、姿を隠したままというのは面白かった。自分だけなんか城を作り上げてるし、まさに蜂か!とか思いました。
でも、その雛もその自分の城から出てくることを選んで自分の道を進み始めるのは感動的でした。ただ、どこで雛が例の犯罪者になってしまうという恐怖感を克服したのかが描かれてなかった。たぶん、皇や螢と行動するうちに、また迎えに来てくれた水無月と話し、ガラテア・コンプレックス的に皆とつながったことで克服したんだろうけれど、描写がなかったのが残念だったなぁと思いました。

それぞれの道をそれぞれが、選び、歩みだすというラストシーンは感動もの。
最後まで記憶が完全に戻っていなかった鳳の記憶も戻り、冬真との絆を確認しあえたラストはグッとくるものがありました。

長かった物語。冲方さんの最後のラノベ作品。
すごく堪能できた。
でも、ラノベももっと書いてほしいなと思わなくもないですね。
まぁ、シュピーゲルシリーズはラノベブランドから出てただけで、早川とかから出ててもおかしくない内容でしたけれど。
数秘術とか難解すぎて何を言ってるか理解できないよ。(笑)

刊行に時間がかかってしまって物語の設定年を現実が追い越してしまったのはSFとしては残念だった。
ただ、そのことによって用語とかは変えられることはなく初志貫徹で書かれてましたね。
たとえば作品が始まった当時はスマホとかなくて個人用の携帯多機能デバイスはPDAと呼ばれていたのですが、作品中で皆が持っている通話デバイスはPDAです。スマホじゃないんですよね。この辺のこだわりというか整合性を最後まで保ってくれたのはうれしかったです。漫画やラノベだと平気で現実の表現に合わせてきてしまうことがあるので。
こだわりを持って書かれているなと感じた一面でもありました。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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