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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

秒速5センチメートル

先日地上波で放送されたものを視聴しました。「君の名は。」の新海監督の3作目の劇場用アニメーション作品となります。
「君の名は。」がヒットしたことによる新海監督特集として放送されたもので、先日の「言の葉の庭」に続いての放送となりました。
地上波放送なのにCMが一切途中に入らないという視聴者にありがたい放送でした。

3作の短編アニメーションの連作で構成される一時間強の作品です。
「言の葉の庭」に比べれば長いですが、「君の名は。」に比べると半分とまだまだ短い印象がありますね。
そして、「言の葉の庭」同様にSFの要素を廃した現実にありそうな物語で、他の新海監督の作品にあるSFやファンタジーのモチーフやガジェットが出てきません。
そういった意味で、この作品は「言の葉の庭」と似ていて、純文学な作品であるなぁと感じました。
最後の歯切れの悪さ、がっちりとした終局が描かれないのも、エンターテイメント作品とは一線を画す作品であったと思います。

小学校の時の恋心から、高校時代、成人した後の思いの行方を描き、主人公である貴樹の心情の移り変わりを描いていく作品となっています。
3作のうち、貴樹が明確に主人公であるのは1本目である「桜花抄」と3本目である「秒速5センチメートル」。2本目の「コスモナウト」は主人公は貴樹に恋をする花苗という少女になっていますが、終始、貴樹がどこを見ているかというのに視点が当てられており、花苗は告白するという決意を果たせないまま話が終わってしまいます。貴樹の心が自分の方を向いていないというのが分かっているから言い出せない、そんな悲しい恋を描いていました。
1本目の「桜花抄」では幼い恋の始まりと貴樹と両想いの相手である明里との距離の遠さを描いていました。心は近いけれど、物理的に離れ離れになってしまう二人。二人の間に存在する物理的な距離は逆に、貴樹を呪縛する結果になってしまう。その呪縛の始まりの物語がこの「桜花抄」だったと思います。
この話があるからこそ、「コスモナウト」では一見、関係がよさそうな貴樹と花苗の間に大きな溝があることを感じさせています。
そして3本目の「秒速5センチメートル」は貴樹が歩んできた心の成長の速度を描いていたように思えます。
山崎まさよしの「One more time, One more chance」の曲に乗せて描かれる、「桜花抄」での別れから現在までの貴樹の閉塞と明里の中に流れた時間の差を描いています。
距離が離れてしまったことによって、心の距離も遠くなっていくという切ない結末の描写が、そして明里は前に進んでいたけれど、貴樹の方は呪縛に囚われたまま進めていない様子を描いているのがとても切なかったです。
そして偶然の再会と何も言葉を交わすこともなく離れていく貴樹と明里。そのことが、呪縛されていた貴樹を解放へと導いていく。
最後に振り向いたときの貴樹の表情がすごく印象的でした。

「君の名は。」のような爆発的なヒットは望めないけれど、描いている内容や描写、そして相変わらずの絵の美しさはさすがといったところ。
この作品も含め、新海監督の作品は繊細だなぁって思うんですよね。
「君の名は。」が異質で、本来の新海監督の作品を見たければ、「言の葉の庭」や本作といった「君の名は。」以前の作品を見た方がいいかなぁって感じました。

秒速5センチメートル
コミックス・ウェーブ・フィルム


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