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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

86―エイティシックス―

86―エイティシックス―

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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第23回電撃小説大賞受賞作。
新人賞の受賞作って読み切りであることが多いことや、その作家さんがまさに本気で取り組んで書き上げた作品であることが多いので、前はよくチョイスして読んでいました。ただ、ここのところ、登場する作品の多くにやたら長いタイトルがついていて、どうも似たような作品が多い気がしていました。ハーレムものが多くて、異世界召喚ものが多くてという印象。それが売れ筋なのでそういった作品が多く選ばれるのは仕方ないとしても、あまりに似た印象を持つことが多かったので、しばらく新人賞の作品を手に取っていませんでした。
この作品は、そんな表紙やタイトルから受ける印象とは無縁で、ごくシンプルな印象を与えるタイトルがついていたので気になった作品でした。また、関係作家さんの名前の中にメカニックデザイナーとしてI-Ⅳ氏の名前が。I-Ⅳ氏の描くメカは好きだったので、読んでみるかなとなった作品です。この時点で持っていた情報はメカもので新人賞大賞受賞作であるということだけでした。

さて、購入する段階になって、帯を目にします。キノの旅の時雨沢さんが大絶賛したという金色の帯が付いていました。表紙の折り返しの説明文では、どうやら差別された人たちが無人とされている兵器に乗り込まされており、戦争は無人で行われていると公表されている世界観。そんな世界で出会うひとりの青年兵と特殊通信で安全なところから指揮管制を行う少女。というところから始まるストーリーということのようでした。
ここ、無人機とされている戦争兵器に実は人が乗っているという厳しい現実、無人機とされているということは乗っている人は明らかに差別を受けている人物である、戦闘指揮官は安全な場所にいるいわば特権階級、という情報がつかめました。
そのうえで、あぁこれは好みの作品だなと直感しました。
そしてその直感は正しかったです。

架空の国家であるサンマグノリア共和国とギアーデ帝国の戦いを描いている本作ですが、どうも地図上ではフランスとドイツをモデルにしている感じでした。共和国側が主人公であるシンやヒロインであるレーナが暮らす国で、攻め込まれている側となります。ギアーデ帝国は戦闘に無人の多脚戦車を導入しており、それに対抗するために共和国側でも無人機を作って戦争をしているという物語。ですが、共和国側は完全に無人機にするのはできなくて、有人機を無人機と公表して使っている。乗り込んでいるのは共和国にある85の区の外で暮らすことを強いられた人々。その人たちに兵役に出れば、家族は85区の中に入れてもらえると嘘をついて徴兵し使っているという内容です。86というタイトルは、この85の区に含まれない、共和国の86番目の区域の人々という意味が込められていたようです。
対するギアーデ帝国は無人機の暴走により滅びちゃってると言われており、あと2年戦い抜けばギアーデ帝国の無人機の稼働限界を迎えて勝てるという希望的観測の中、話が進んでいきます。

共和国の敷いてる政策は異常なまでの人種差別。各人種の色が事細かく設定されており、共和国では銀色の人種(白い肌と銀色の髪と瞳を持つ人種)以外は、豚としてさげすまれ、85区の外に追いやられているという事実が説明されます。
そして、戦闘指揮管制官であるレーナは「事実」を知っており、差別をよしとせず、86区の人、多脚兵器であるジャガーノートに乗り込む兵士たちと対等に接しようとする人物です。そのレーナが「名持ち」の集団であるスピアヘッド戦隊の戦闘指揮管制官に就任したことで物語が大きく動いていくという感じになっています。
シンたちスピアヘッド戦隊の面々とすれ違ったり、意見をぶつけ合いながらレーナが成長していき、互いに認め合ったのに…直面する無体な命令。従うしかない現実や、死んで来いと言われて無期限出撃することが初めて「自由」であることを認められたという86の面々の置かれた厳しい現実を見せつけたりと、なかなかに重いストーリーでした。
その中に、ちょっと精神世界的な人の繋がりを描いていたりもして、かなりいろいろな要素が詰め込まれた作品となっています。

読み終わってみて大満足。
充実した作品を読んだ感じがしました。単巻で終わっていてこれ以上の話は外伝とかでしかありえなさそうですが、描かれた要素すべてに満足が行く感じがしました。
口絵に描かれたスピアヘッド戦隊の面々が次々と減っていったり、無常な命令に達観した感じで従うスピアヘッドの面々や彼らの絆的なものや、レーナの頑張りやシンとの心のふれあいや、盛沢山なのですが、それが全部、きちんとつながって余計なものは一切ない。そんな感じに受け取れる作品でした。
ものすごく充実した感じを読後に感じました。こんなに満足したの久しぶりだなぁと思いました。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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