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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

世界の終わり、素晴らしき日々より3

世界の終わり、素晴らしき日々より3

一二三スイ:著
七葉なば:イラスト
電撃文庫


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3巻目。最終巻となります。
1巻では旅の目的はチィの家を探す旅でした。2巻では目的を失った状態で立ち寄ったコミュニティで新たな旅の目的を得る話でした。そしてこの3巻目はコウの大切な人を探す旅となっています。
そして旅の終わりと別れ、そして再会を描くといったところとなっています。
今まで、1冊の中ではひとつの流れとして描かれていたのですが、この巻では冒頭2章はそれぞれ独立した短編として読めるつくりになっています。
でも、それぞれ、その話で得たものが関連付いていて、1つの大きな流れに組み込まれている。うまい書き方だなぁと思いました。
ただ、コウとコウの大切な人を結びつけるきっかけが、うまいこと残っていて、それがコウとチィの前に偶然でも折り重なって登場してくるのは、うまく行きすぎだろうと思わなくもないでしたが、これをやらないとなかなか目的の場所へたどり着かないですし、中だるみを生まないという面でこれでよかったんだと思います。読んでいてストレスは感じませんでした。むしろ、すっきりした。あぁこう繋がっていくんだ、という感覚があって、消えずに生き残った人の運命的なものってそれぞれにあって、コウの視点から見るとこうなるというだけの話だったのかなと感じました。

この巻のテーマは大きなところでは、旅の終わりと別れ、そして再会だったと思います。旅の終着点で起きた事件によって、コウはチィと別れる道を選び、チィは1人上野のコミュニティに帰ることになる。
それは結果的にコウが決意することで突然に発生した別れだけれど、たぶんその予感はコウの中にもチィの中にもあったのだと思います。
だから、約束を破ることになったけれど、ふたりの間にわだかまりはなくて、仕方ないこととして、それが受け入れられたのではないかと思いました。
後ろ向きではなくて、前向きにこの作品の過酷な世界で生きていくために。優しいコウが故国の人たちの妄執を放っておけなかったから、この別れは必然としてあったのだと思います。コウには逃げ出してきた責任があり、本当はそれを担うべき人は別にいたけれども、それをできるのは結果的にコウの役割だったから。
悲しいけれど、約束を守れなかったけれど、コウは前に進む道を選んだと思いました。そして、チィがそれをきちんと感じ取っているのが、悲しくも優しい感じがしました。

この巻はいろいろな愛のカタチを書いていました。
騏一郎家族の愛、華とシェンの愛、コウと王子の愛、チィと空の愛、そして、コウとチィの間の愛情。
コウとチィの愛情とは男女間の愛情ではないですけれど、普遍的な互いを思い合う心である以上、愛であると言っていいと思います。
いろいろな愛のカタチが一連の流れを作って最後に笑い合って再会を迎えることができた。離れ離れになってしまったけれど、立場も違ってしまったけれど、二人は確かに再会することができました。
本当に二人がまた旅に出たかはわからない(というか新婦が新郎を放っておいて出かけるということはさすがにないと思う…10年また待ってくれるとは言ってたけど)ですが、そう言った思いを口に出せる関係というのは素敵なものだと思いました。
10年たっても変わらない、相手を思いやる心というものはとても素敵だなぁと思いました。

3冊という手ごろな長さで満足のいくお話でした。
厳しくもあり、そして辛いこともあるという前提で語られていましたけれど、この話はとても素敵な話だった。人を思いやるという本当に大切なことを描いていた作品。
そう感じました。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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