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この世界の片隅に

この世界の片隅に 公式サイト

絶賛上映中のアニメ映画。片渕監督作品でクラウドファンディングで資金を集めて制作資金(出資企業を募るためのパイロットフィルムを作るための資金)を集めたことでも、公開前から話題になっていた作品です。
小規模劇場での上映が多い、上映館がけっして多くないのが特徴ですが、この作品の前評判からすれば、もっと大きな劇場で、上映館ももっと増やしてもよかったのではないでしょうかと疑問に思っちゃう。
今、戦後70年という節目を超え、戦中の話とかを見直す動きとか結構あるので、この小規模公開はちょっとどうなの?と思えます。それを裏付けるように立ち見がでるような盛況ぶり。僕が見た回も劇場の座席はほとんど埋まっていました。(僕が見たのは大手のシネコンの割と大きめなスクリーンでした)

さてストーリーは昭和19年~20年にかけて、広島、呉で暮らした一人の女性の物語となっています。序盤は幼少時から描いているのでもっと前から描かれていますが、メインとなるストーリーはこの2年の間に起こった出来事を描いている作品です。
昭和19年から20年といえば、太平洋戦争末期。日本が戦争で苦しんでいる時代。その時代の人々の営みがどんなものであったか、軍人視点ではなく、一般のごく普通の女性であるすずさんの目から見た世界を描いていました。

普通の人の普通の暮らし(戦時中の)を描いた作品で、戦中を描いた作品では珍しい視点を持っているかな?と思いました。
戦争の悲劇を描くのではなく、戦争の時代に生きた人の弱さも強さもひっくるめた、日常を描くということに終始していました。
戦争が末期に近づくにつれ、その日常に戦争が重なってくるのがすごく切なかったです。そして失われる命。大切なもの。
そして生きることを優先していて戦争に対して、不平不満を表さなかったすずさんが敗戦の玉音放送聞いたことで、感情を爆発させて怒るその姿がすごく切ないものがありました。日常に入り込んできた戦争という異物に対しても我慢して我慢して日常を送っていたのに、負けたとかなんだそれという感情がそこにあって、初めてそこで戦争というものがすずさんにとってどんなものだったかが描かれていました。
それまでは姪を失ったことも、右手を失ったことにも飲み込んできてたのに、吐き出されたすずさんの言葉の重さがとても胸を締め付けるようでした。

この物語は戦中の普通の人の日常を描く作品でありましたが、テーマとしては1人の女性が居場所を探す物語だったと思いました。
すずさんは実家では厳しい兄の存在に自分の居場所というものに疑問を持っており、嫁いだ北條家では義姉の存在に自分の居場所というものがここでよいかと迷います。また、幼馴染の哲が訪ねてきたときの夫周作の態度にさらにその疑問が強くなっていく。居場所を求めているすずさんは、姪を失ったことと兄が戦死したことで実家へ帰ることを決意したりします。それは原爆の投下でお流れになるのですが、その後、終戦という流れになります。
そして終戦を迎えたことで、夫である周作との愛情を苦しい生活の中ででも確認しあえた。居場所をくれてありがとうという台詞がそのことを物語っているのかなと思いました。
そして、彼女は最後に孤児を引き取って居場所を作ってあげる。
そのことが居場所を探していた彼女が、居場所を見つけた象徴であるように僕には思えました。

戦中の人々の営みを描いた珠玉の作品。そんな作品に出会えたと思いました。
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