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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

.hack//Quantum 心ノ双子

.hack//Quantum 心ノ双子

浜崎達也:著
長谷部敦志:イラスト
角川スニーカー文庫


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.hackの小説群では最後に刊行された一作。
同名のOVAシリーズのノベライズになります。OVAの方には日本語の副題はついておらず、各巻英語のサブタイトルがついてました。OVAは全3巻で1巻が50分、2巻、3巻は30分のアニメ作品となっています。本小説版は1冊で完結となります。
OVA版は未見。
どれくらい、OVA版と乖離があるのかなと思って少しWikipediaなどでOVA版のあらすじなどを調べてみましたが、どうも、同じタイトルで書かれている、大筋は同じではあるけれども、かなりダイジェストな感じにまとめられたものであるようです。
ただ、一応はダイジェストではあるものの、それで話が破綻しないようにはなっており、この作品だけで、完結するように再構成されたものと考えるのがよさそうです。
ですので、OVA版とどっちが面白いかと聞かれたら、たぶん、OVA版なんだろうなと思います。

さて、この作品5年半ほど前に刊行された作品になっています。
.hackシリーズは一時代を作り上げた大規模プロジェクトで、かなり人気を誇ったシリーズだった。でもG.U.以降は尻つぼみとなっていった印象があります。
G.U.まではそれなりに人気あった記憶があるんだけどなぁ。
このQuantumの前に発売されているゲームLinkや、このQuantum自体があまり存在感を示していないこと、これの後に発表された映画「ドットハック セカイの向こうに」がノベライズもされていなかったこと、そしてそれを最後に、.hackの世界観を持った作品が発表されていないこと(一応スマホゲームとかあるらしい)から、あまり期待しないでいた作品でした。
OVAは高いからという理由でパスして、ストーリーは押さえたいので本だけ買ったけれど、期待度が低くなってしまい、そのまま積んでしまってました。
期待度が下がった理由の大きなところは、.hackという作品には興味があってその結末を知りたかったけれど、出てくる新作の情報を聞いてもその一番の大きな謎である、AURAが生まれたことやその先に何があるのか、何を目的としていたのかが語られるという触れ込みはなく、そのうち.hackという作品が発表されなくなったから。
そんなことから、.hackは未完のまま終わったという感じに僕は感じています。

今回、積み本の中からこれを読もうと思ったのは、区切りをつけるためであり、.hackはどこまで行きついたんだろうかというのを知りたいと思ったからでした。
そして、この本を読んだ結果、この先を知りたいという欲求が、この世界の話をもっと知りたかったという悲しみが湧きました。
「TheWorld」はどうなっていったのか、その結末はどうなったのか、それが知りたい。
でも、それはたぶん発表されることはないでしょうね。

さて、このQuantumですが、.hack世界のサイドストーリーという感じの物語でした。
AURAもでてこなければ、世界「TheWorld」の成り立ちや行く末にかかわる話ではないのです。まぁ、この作品で起きた事件によってこの先、何か「TheWorld」に影響は出てくるのでしょうけれど、この後のストーリーも発表されている以上、そんなに問題になることはなく存続しているのは分かっていますからね。
話の基本形である未帰還者が出る→その関係者(主人公)が未帰還者になったものを救うために行動を起こす→未帰還者帰還という流れは踏襲されており、この話もそのテンプレートに則ったものになっています。
そこに「TheWorld」がもつ危険性、特異性を絡ませた話になっていました。
主人公であるサクヤ/亜澄が、イリーガルなPCであるハーミットと出会うことで起こった、一連の事件にまつわる話。
そして、未帰還者の一形態で特殊な事例、未帰還になっている状態で本体である肉体が死亡した場合の事例を扱っていました。
この話で大きなカギになるのは情報セキュリティのはなし。現実でマイナンバーについてのセキュリティについて、問題点や危険性が指摘されてはいますが、それより進んだ情報化が行われている世界で、「TheWorld」という特異な場所ではそれが筒抜けになる可能性があるという話です。情報は洩れることがあるという危険性を改めてクローズアップしたような話でした。
また、逆に情報があれば数10万分の1という少ないドナーをレシピエントが探す鍵にもなるということ。個人情報を抜き取れればそういったこともできるという、情報化社会の未来図を描いていたようにも思いました。
まぁ、「TheWorld」内で行われた未帰還者の遺伝子情報を探査するってのは違法も違法なんですけれどね。怖い話ではあるものの、希望にもつながる話ではあるよねという話。
結果的に、ハーミットのリアルである田名神透葉が病気を抱えていて、ドナーを探していた。それが偶然出会った主人公のサクヤ/亜澄だったという話です。
田名神透葉は話が始まった時点ですでに死亡していて、ハーミットは「TheWorld」内
に取り残された意識でしかないけれど、田名神透葉の遺体は冷凍保存されている。だから、もしかしたら遺伝子情報が取り出せてクローン技術で肉体をよみがえらせられるかもしれないねとして、話が終わっていきます。
話の主軸が情報の漏洩にまつわることなので、.hackのもつ本来の主軸からはちょっとずれた感じでした。世界の成り立ちとかにはかかわらない。それが、サイドストーリーと感じた理由です。

話としては面白かったのだけれども、ちょっと話の作り方というか、書き方についてはどーなの?と文句を言いたいところが多かった。
まぁ、このQuantumからいきなり読む人はいないだろうけれど、「TheWorld」についてや、登場人物についての説明があまりにもなさすぎる。主人公パーティであるサクヤ/亜澄、トービアス/衣織、メアリ/衿とキーになるハーミット/透葉についてはそれなりの説明があるものの…。サブというか、彼らに状況を説明するキャラクターであるシャムロック=パイ/佐伯令子とかW.B.イェーツ/水原遥が突然出てくる。当然、話の流れで出てくるので、それに際して説明はあるんだけれど、彼女らがかつてどういったことをした人物であるのかとか分からないと、ちょっと話が急に展開していく感じを受けるんじゃないだろうかと思いました。
それくらい唐突に登場して場を説明していくんですよね。
というわけで、これを読むにあたっては、A.I.BusterやG.U.などの過去のシリーズを読んでいることが前提になっています。

さて、.hack。
一応はまだ面々と続いているシリーズではあります(スマホゲームで)。
世界の「TheWorld」のたどり着くところを描く作品は今後発表されることはあるのかな?僕としては先に書いた通り、「すでに未完で終わった作品」という認識でいますけれど。.hackのゲームの1作目までで終えていれば、こんな未完な雰囲気を味わうこともなかったのになぁ。
シリーズが広がったせいで、広げた風呂敷が畳めないという状態になっちゃったのはプロジェクトとして惜しい気がしますね。
できれば、この先を知りたい。「TheWorld」の行きつく先に何があるのか、知りたい。
そういう欲求を掻き立てられる作品でした。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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