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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

我もまたアルカディアにあり

我もまたアルカディアにあり

江波光則:著
loundraw:イラスト
ハヤカワ文庫JA


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江波さんの新作。といってもちょっと前に読んだボーパルバニーのが新しいのですが…。僕はこちらをあとに読みました。重そうだったので。
江波さんは基本的に現代劇をメインに書かれていて、SFやファンタジー色の強い作品はあまり出ていません。ボーパルバニーで若干のSF的要素、魔術師スカンクシリーズで若干のファンタジー要素はあったものの、どちらも現実にありそうな話であり、現在という時間の中でいささか派手な青春を生きる人たちを描いている作品がメインでした。
この作品は世界の終末期を生きる人々を描いたSF作品になっています。
あと、今までの作品が小学館のガガガ文庫から出版されていましたが、この作品はハヤカワ文庫JAからの刊行となっています。

終末期とはいうものの、それに備えている時期がメインとなっていて、実際の終末はどのような状態だったかは作品中で描かれていて、人間のしぶとさとかそういう面を心強く思ったりしました。
アルカディアは楽園伝説の1つの名前ですが、この作中では終末に備えてのシェルター施設としてのマンションの名前となっています。
作品は4編の短編とその短編を貫くように構成される軸としてのストーリーから構成されています。
4編の短編はそれぞれ、アルカディアマンションの中で楽園の中で生活する人の視点で、その時点のアルカディアの状態を描いています。
これらはそれぞれ時代がずれていて、主役になるのはある一族の一員となっています。軸のストーリーがこの一族の始祖となる人物で、彼がアルカディアマンションの建造時に入居するところから死ぬところまでで構成されています。

アルカディアマンションは実際のところディストピア。究極の管理社会であり、楽園であるかは少し疑問です。
住人達は完全に保護されており、生きるだけでよい。ただ生きているだけでよい。ニートだったら万歳な環境なのですが、描かれる人物たちはそれでは我慢できない人物たちで、その人達がどう考えて、どのようにその時代を生きたか。それが描かれています。
そして究極的に終末が起こったときにどういう行動を人間がとるかのテストケースとして描写されていた気がします。
安穏に檻の中で暮らしていけない人は終末期にどのように行動していくのか、すべてが与えられる環境は楽園であるのかという問いかけが常にそこにあったのだと感じました。
この物語は与えられて安穏には生きていけない人の物語。でもそれは人としてのあるべき姿を示しているように思いました。

よくあるディストピアものとはまた一風変わった作風ですごく面白かったです。
そして考えさせられた。
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