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あなたのための物語

あなたのための物語

長谷敏司:著
ハヤカワ文庫JA


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いつもラノベばっかりな僕ですが、これはラノベではなく純粋なSFにジャンルされる作品です。
もともとはこの本を読もうと思っていたわけではなく、以前読んだ、この作者さんの作品である「BEATLESS」のスピンオフが「My Humanity」という短編集に収録されているということで、その「My Humanity」について調べてみたらこの作品のスピンオフも収録されていると説明されていました。スピンオフから入るのは嫌だったので、まずこの作品もよんでおきましょうということで手に取った作品となります。

壮絶な作品。
物語としてはなんらアクションもSFにありがちな戦闘もなく、淡々とした印象を持つ作品ですが、描かれた内容は壮絶としか言いようが無いです。
「死」というものとここまで丸々1冊向き合い続ける作品は珍しいと思います。
不治の難病に冒され34歳という若さで余命半年を宣告された科学者、サマンサ・ウォーカーが、死の恐怖におびえ、死の不条理に怒り、病の為に体中で炎症を起こして痛む身体と時に向き合い、時に逃げ、時に戦っていく姿を描いています。
主にその描写はサマンサの情動や思考に多くが割かれており、死を前にして人が何を思うのかを描いて居ます。
死というものの恐怖が科学者の倫理観とかすらを凌駕してしまう瞬間など、読んでいて胸が苦しい、再読するのは非常に苦痛に思えるほどの死への描写がそこにありました。

そのサマンサを救っていくのが彼女が研究していたITP人格という、いわば量子コンピュータ上に構築された人工知能。
「Wanna be」と名付けられたその人工知能は、実験として小説を書くことを役割として与えられていて数々の小説を書いていきます。最初はつたない小説だったのがだんだんに読めるものに成っていき、何時しかそれはサマンサの為の物語になっていきます。あるいは最初からそうだったのかも知れないですけれど、最初のそれと最後のそれは明らかに違ったモノとなったと思う。
「Wanna be」はずっとサマンサの苦しみや情動を見ていて、最後に彼女の為の彼女のためだけの物語を書き、そして彼女に人間とはなんなのか、ITP人格とはなにかとはを説いて消えていきます。

人と人工知能の両方から「死」を見つめる物語。
もの凄くSFでした。
ただ静かなすごく普通のSFとは一線を画す作品でした。
面白かったというのはすごく語弊があるけれど、読者である僕の激しく揺さぶり続けてくれました。
「死」と向き合う。
ちょっと正直すごく重かった。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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