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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

樹木葬 -死者の代弁者-

樹木葬 -死者の代弁者-

江波光則:著
くまおり純:イラスト
ガガガ文庫


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鳥葬、密葬ときて、樹木葬。3巻目。うたい文句には暗黒青春群像劇ここに完結とありますからひとまずここでシリーズ終了なのでしょう。
人を殺してしまった後悔から自分を殺して生きてきた陵司が大人になり、どういう生き方をしているかが描かれるのがこの巻となります。

鳥葬、密葬とがらっと印象が変わっています。
全体に流れる重苦しい、人間の生死観をキャラクターの目を通して描いて居るのは変わらないのですが、陵司自身が密葬を経て生きるという事と向かい合っているのに対して、彼を取り巻くキャラクターが今度は死を見つめているという逆の構図になっているため、印象的な違和感がそこにあります。
陵司がかつての瑛二の様な立場にあると言うのが違和感の元なのかも知れません。
ただその違和感は嫌な違和感ではなくて、陵司の姿が良い方向へ向かって変わったことによる違和感だと思います。陵司は間違いなく前を向くことを学びましたし、その中で今できることを色々やりながら人生というものを模索している。そういった人物へと変化しています。
そんな感じなのに桜香と気持ちが離れたわけじゃないのに疎遠になりつつあったりとか、まだ子供っぽい所もあったりして若いまだ若い人生を歩んでいるのがちょっと面白かった。

その陵司に今回絡んでくるキャラクターは、かつての陵司をさらに悪くしたようなキャラクターです。
流音という女の子は人の死を上手く理解出来なくて、陵司の中に何かを感じ取ったのか陵司にまとわりつき何かを探している様な感じでした。
ただ流音はその無邪気さと無知さで人を死へ追い込んでしまっているのにも関わらず、何も感じず何が悪いのか分からないと言い放ってしまうキャラクター。
現実にニュースで見かける犯罪を犯した子供達の映し鏡の様で、うすら寒いキャラクターでした。その流音の間違いを命がけで気づかせる陵司の姿が熱くなるものがありました。それは命の大切さを学んできた彼だから出来たことであったのだと思う。

ひっそりと樹木の元に葬られたのはなんだったのか。
流音の間違った心だったのか、陵司の中にまだ残っていた自分を責め続ける心だったのか。陵司の贖罪は決して終わることは無いと思うけれど、僕はひっそりと埋葬されたのは、陵司が自分自身を殺そうとしていたその心だと思って読み終えました。
流音が陵司によって救われた事で、これから良い方向へ向かってくれれば良いなぁというのが読み終わった後の感想でした。
桜香さんと陵司君はずっと上手くやっていけそうですしね。江波作品としては珍しく明るい未来が見えてた感じです。
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