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ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

東浩紀:著
講談社現代新書


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僕が読む本としては珍しくラノベではく評論本です。
とはいえ、ラノベ界やオタク関係の評論であってオタ界隈から離れてないのはまぁ僕らしいと言う事で納得しよう。
本書は東氏が2001年に発表した「動物化するポストモダン」の続編で2007年に発表された評論本となっています。
一応、冒頭に「動物化するポストモダン」は読んでなくても大丈夫と書かれてはいるのですが、読んでないとダメっぽい印象を受けた。
と言うのも評論を展開するに当たり、評論の評論と化す部分があり、幾つかの評論本を読んでいる事前提な書き方をされていて読みにくいったらこの上無い感じだったのです。
本書を読むなら最低限、「動物化するポストモダン」と、大塚英志氏の「キャラクター小説の作り方」くらいは読んでおく必要がある。幸いにして僕は両方とも読んだ事があり(ずいぶん前のことだけれど)薄ぼんやりとだけれどもその内容は憶えていたので、東氏の展開する評論をなんとか読み解けたんではないかと思っている。

前作はポストモダンが動物化していくと言う論理から、オタクの生態を論じていた本であったけれども、本書はそのオタクの好むライトノベルに着目し、文学がどのように遷移して言っているか論じている。
曰く、ゲーム的な視点をもった構造をライトノベルは持たざるを得なくなっており、その読み解き方も従来の純文学などの自然主義的読解とは違った読み解き方があることを示唆している。その上で、ライトノベルを子供の読む本と切り捨てずにマジメに論じていると言う評論になっています。

この本を読んでいる間に色々な事を思った。
例えば、東氏の言うゲーム的リアリズム的な読解が必要なのは何もラノベだけには限らないのでは無いかと言うこと。またその様な記述の最初は、一人称で描写された純文学にも言えるのではないかと思ったと言う事。ゲーム的リアリズムは読者をいかにして物語の構造的に本の中に取り込むか、又は、逆に本の中のリアリズムで読者を包み込んでしまうかと言う点にあると思われるが、そういった試みは文学の最初期でもやられていたのではないかと言うこと。そして、また逆に普通のキャラクター小説であるラノベのほとんどはそのような構造的な読解を必要とせず、ただ純粋に自然主義的な読解で読み解けるものがほとんどなのではないだろうか?と思った事。
ライトノベルで東氏の言うようなレベルに達しているのは、間違い無くベストセラーになったものだけのような気がするし、それらは逆にライトノベルとしての面は薄い作品(氏の言うキャラクター小説ではないのではないかと言う意味で)なのではないかと思ったりもした事。
東氏の理論の展開からすれば、ライトノベルはキャラクター小説であり、その登場人物はキャラクターデータベースから想像されたキャラクターである。また、物語はそのキャラクターを動かす舞台であって、キャラクターより下方に配置されたものであるというのが、前著から通しての氏の理論であるけれど、本書で例として取り上げられた桜坂洋氏の「All You Need Is Kill」は初めに物語りが構築されてその上にその物語を語る上で必要なキャラクターを配置した作品なのではないか?と思った事など、氏の展開に否定を投げかける考えが浮かんでは過ぎていった。
それでも、東氏の展開するゲーム的リアリズムを持った作品ってのが増えているのは理解できたし、そういった読解が今後必要とされる、またはそうやって物語りの構造を読解する事で楽しむ事が出来ることは否定しようがない事実だなぁと思った。

このゲーム的リアリズムを説明するのに、凄く回り道をして多くの造語を生み出しつつ語られたのがこの本書と言う事だった。
読んでみるとなんとなく普通にそう言う作品に出会えばやってるなぁと思えることだし、そこまでやらなくても物語はまだ十分楽しいよ?と言いたくもなる評論だった。
2007年に書かれた本だけれど、未だこの本に書かれた内容は2014年の現在も通用する内容だと思う。
東氏は2007年にこれを書いてから現在までも色々な作品を読んだりしていると思うけれど、それらについてはどう思ったのかしらと思わないでもない。
進歩がないと思ったのだろうか?それともまた別の流れを感じ取っているのだろうか?そう言う所が気になった。
僕の感想としては、まだラノベ界は2007年からはあまり進化はしていないかなと言うところ。ただ、東氏が感じたであろう、いわゆるゼロ年代のラノベの進化、変化は僕も思い返してみて凄い転換期だったんだななんて思いもした。
たまにはこう言った評論本を読むのも悪くないですね。
(というよりもっと読まないとね)
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