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ドラゴンズ・ウィル 完全版

ドラゴンズ・ウィル 完全版

榊一郎:著
富士見書房


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富士見ファンタジア文庫の25周年の記念に復刊されたものです。
ファンタジア文庫の記念なのに文庫形式ではなくソフトカバーの単行本形式で、しかもイラストが付いてません。イラストが付いてないのはちょっと残念だなぁと思いました。
この作品ではドラゴンであるスピノザの表情などが重要な要素の1つでもあったので。
と書いて居ることから分かる通り、僕は元々刊行されていた文庫版を読んだ事があるので、実は再読です。
文庫版の刊行は1998年。それに2000年に発表された続編にあたる短編を追加しての刊行となっています。
25年とは言いませんが15年も前の作品なんだなぁとちょっとノスタルジックな思いにかられました。

元々このドラゴンズ・ウィルという作品はとっても好きな作品で、その作品がファンタジア文庫の記念作品に選ばれたのはとてもうれしい事でした。
裏事情的には単巻の作品が少ない中から選ばないといけないと言うのがあったのかも知れませんが、それでもうれしいことはうれしいです。本当にとても好きな作品ですので。

ドラゴンが恐怖の象徴ではなくなっていく時代。人間の科学力の発達によってかつての様にドラゴンは恐怖の象徴ではたり得なくなったけれども、やはりまだその強力な力でもって、その存在を誇示していた時代という、なかなかに微妙な背景を持たせた作品で、人の思いの優しさや素晴らしい勇気を描くと共に、醜さも描いて居る作品です。
人の敵が人に移り変わっていった時代の話しで、絶望がそこに見え隠れしながらも、主人公のエチカを初めとして勇気と優しさを持った人々の姿を描いています。
凄く完成度が高くてこれ新人賞作品でしかも大賞取れなかったんだなんて当時凄く信じられませんでした。
その印象は今読んでも変わらなかった。
本来、恐怖の対象であるドラゴンのスピノザがとても心優しくて、居場所、あり方などをどうしても求めてしまう年頃のエチカとの関わり方が凄く和む作品です。
そしてエチカの為、身を挺して悪に挑み、それでも自分のスタンスはけして曲げない強さなど、スピノザが凄く素敵な存在なのです。対比として描かれるアタラクシアの恐ろしさや敵軍の醜さなどがよりその印象を強くします。
今読んでも、人に安心して勧められるラノベだなぁと思います。

ドラゴン退治に来たエチカが、菜食主義平和主義のスピノザと出会って心を通わせていく。そしてエチカが求めていた自分の居場所、存在意義なんかを再確認していくと言うストーリー。エチカのドジっこっぷりや、スピノザのほんわかぶりなどが凄く楽しめます。
また、出てくる登場人物が一癖も二癖もあり、これ以降の話しとかも是非読んでみたいと言う気にもさせてくれる作品ですが、結局はこの完全版に収録された短編しか書かれなかったのかな?その他は読んだり見かけた記憶はありません。とても残念。

作中に休みと学校がある期間について言及があって、1週間で学校6日間、休み1日というサイクルであることが語られています。
確かにこの作品が書かれた時期って企業とかでもまだ週休2日が完全じゃなくて、学校は当然月から土曜まであると言う時期でした。
そんなところにもなんか時代を感じてしまいました。
物語自体が色あせてないので、変に意識してしまった。
とても良作です。

イラストが見たい方は元の文庫版は現在では絶版してると思われるので、電子書籍が良いかも。短編付いてないけど…。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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