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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

鳥葬 -まだ人間じゃない-

鳥葬 -まだ人間じゃない-

江波光則:著
くまおり純:イラスト
ガガガ文庫


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ガガガ文庫での江波光則さんの最新作。
最近は星海社Fictionsで魔術師スカンクシリーズとか書いててラノベらしい要素が入ってる作品も書くんだなぁと思ったら、この作品は全くの純文学と言っていいような青春小説でした。ちょっと普通じゃない境遇を描いているからか、ラノベブランドとして作品が世に出てますけれど、作品のスタンスとか語っている内容とかテーマとか、そういった面は純文学と変わりがありません。読後、直木賞で有名になった田中慎弥さんの共喰いに似た読後感だと感じました。
絶対、ラノベブランドで刊行されていることで損をしていると思います。
確かに、売り上げ的にはラノベブランドの方が売れるのかも知れないけれど。

タイトルの付け方がすごく秀逸。
主人公が作中で感じる印象をそのままタイトルにしているのですが、とてもこの作品のテーマとかそう言うものにマッチしていると思います。
一見してなんだか分からない、内容が想像付かないタイトルですが、これは読めば納得のひと言。

幼い頃の悪戯で死亡事故を起こしてしまった主人公陵司。彼と彼の仲間はそのことで苦しい少年時代を送ることになりますが、それぞれの性格と立場によっていじめを受けたり孤独の中で生活する事になったりとそれなりの罰を受けます。
ただ、ただその罰が罪の意識の希薄な子供時代には辛すぎて、仲間の1人である八尋は立場を入れ替えてくれと陵司と取引します。
事故で人を殺してしまったのは誰か。陵司ではなく八尋だったと言う事にして、彼らはその辛さを少し緩和させて生きてきた。
そして、八尋が謎の死、他殺にも自殺にも見える状況で死亡したことから、陵司は他殺を疑い調べ始めると言うストーリー。

人はいつ人間と呼べる存在になるのかと言う深いテーマと、インターネットという個人情報、自分自身を切り売りするような人間関係を舞台にして話が進んでいきます。
少しミステリ、サスペンスといった雰囲気を持たせたいつもの江波テイストの流れで、最後にどんでん返しがあって幕。
探偵ごっこみたいな陵司の行動の中で、陵司は知らないと行けない事を知っていき、人間であるべき条件を知って、一歩を踏み出していく。そういった話です。

登場人物は極力抑えられていてほんの少しの登場人物しか出てこない。
ただ、その1人1人がとても生々しく描かれて居て読んでいてぞくっとくる。
10年という時間経過や人の考えの変化、変わらない事、そういった「人」を描くことがとても秀逸で、それがまた魅力なんだと思います。
人というものを、深く考えさせられる。
そういった作品でした。
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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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