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ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り

ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り

森アーツセンターギャラリーで公開中のミュシャ展を見てきました。
ゴールデンウィーク中で、「貴婦人と一角獣」展も六本木の国立新美術館と近隣でやっていたので同じ日に見たと言う強行軍でした。
このミュシャ展。今まで僕が見た美術展では一番混んでいたのが印象的でした。そして混んでたせいか作品目録が配ってなかったんですよ。そのおかげで今自分が見ているのが展示物の中でどれくらいの位置のものなのか確認出来ないのが辛かったです。
あと、展示の仕方の問題でどの順が、展覧会側が意図した順番を知りたいと思ったんですけれど、それが目録がなくて分からないのが辛かったです。

ミュシャは1900年前後に活躍した画家ですので、いつも見ている1500年、1600年代の絵画とはかなり違う時代の画家さんです。テクニックや題材なども100年ほどしか経っていないので今とそう変わらない時代の画家さん。特に意識したのは僕が好きなバロック、ルネサンス期の画家との画材の違いでした。
バロック、ルネサンス期の作品は油彩が殆どです。スケッチのようなので木炭などが使われたりしますが、画材の選択肢は少ない印象。それに対して今回のミュシャ展に出品されていた作品はリトグラフを中心にペンやインクを使ったもの、油彩、水彩、パステルなど様々。カンバスより紙に描かれた絵が多いのも特徴的でした。
流石近代だなぁと思いましたね。
昔は紙の質が悪いから使えなかったけど、ミュシャの時代には使えたんだと感じました。
あと、写真の利用も近代ならではだなぁと思いました。そら、ずっとモデルさんに同じポーズ取らせるよりは写真撮った方が楽だもんね。

大衆向けのポスターなどを芸術の域まで引き上げて、有名になったミュシャですが、やはり特徴的なのはミュシャ様式と呼ばれるアール・ヌーヴォーを代表するあの独特のデザイン様式の絵でした。
その殆どはリトグラフと言うのも特徴的と感じました。今の画家ならインクと水彩を組み合わせるのでは無いかと思うのですが、ポスターという性質上、リトグラフをチョイスしてたのかな?とも思いながら鑑賞しました。
そして、ミュシャは生前から名声を得ていた画家ですが、その作風が後年になっていって変わっていくのが面白い感じでした。
最初は大衆美術を目指したのもありポスターや、商品のボックスアートなどを主にしていたようです。勿論画家ですので、きちんとした作品も残しているのですが、目に行くのはそれらのミュシャ様式で描かれたポスターや、その流れを汲む作品群です。
それが、後年になっていくと、今回の展覧会では実物はなくパネル展示でしたがスラヴ叙事詩に代表されるようなミュシャ様式に当てはまらない絵画へと変遷していく。
それがミュシャの思想的なものに根ざしているのが興味深かったです。
出来れば1枚でもいいからスラヴ叙事詩の作品の本物が見たかった。

全体の流れで見ていて気になったのは青があまり使われていない事。
特にミュシャ様式の絵では殆ど無いと言って良いほどです。有ったとしても緑との中間色を利用した感じで「青」という色をとんと目にしない印象を持ちました。
後年の作品には逆に青が多く使われて居るのですが、あまり良いテーマの絵では無い事が多いのです。どうもミュシャは「青」という色に嫌悪感や悲劇的なもの、冷たいものと言った負のイメージを持っていたのでは無いかなと感じました。
実際どうだったかは想像の範疇を出ませんが。

大変展示作品数が多くてすごい絵と絵の間隔が狭く配置されていた展覧会。ちょっと規模と場所がマッチしてない印象です。もっと広い美術館でやればよかったのにと思ったりもしましました。
展示作品の半分くらいは完成品ではなく習作です。これも近代の画家であることから習作が残っていると言う好例だと思います。
習作と完成品が対で展示されているものもあり大変、印象深かったです。描かれた人物が習作で取っていたポーズと違うポーズを完成品で取っていたり、服装が違ったりと完成までに色々試行錯誤した後が分かるのは面白い。
中には何描いたんだかわけ分からない習作もあったりして。ほぼ真っ黒とか。

やはりミュシャの絵としては4連作である四芸術や四季といった4枚綴りの連作や、図録の表紙にもなっている(この展覧会のポスターにもなっている)夢想といった作品が印象に残るのですが、一番の印象に残ったのは百合の聖母という大型の作品でした。
この百合の聖母にはミュシャ様式は使われて居なくて、油彩であり、どちらかというと後年のスラヴ叙事詩に近い作品になるかと思います。
でも、描かれた百合の聖女とその傍らに座る少女を見るとミュシャの絵だとはっきり分かるんですよね。ポスターアーティストとしてのミュシャと、普通の絵画アーティストとしてのミュシャの両方の要素がこの作品に込められている様な気がして、すごく印象に残りました。

ミュシャと言えばミュシャ様式でしたが、この展覧会で視野が広がった感じです。
そういえば、本当にミュシャに関係するものしか展示してませんでしたね。今までのフェルメール展とかだと同時代ってだけの繋がり敷かないものが多く含まれていたのですが、今回は本気でミュシャオンリーって感じ。
一度で良いから今度はスラヴ叙事詩を見てみたいと思いましたね。
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