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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

天地明察

天地明察(上)

冲方丁:著
角川文庫

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天地明察(下)

冲方丁:著
角川文庫


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冲方さんの吉川英治文学新人賞を取って直木賞の候補となった作品。
文庫落ちしたので読んでみた。
文庫は上下巻の2分冊。このたび映画化もされることになった。

いままで冲方さんの作品はSFであるかファンタジーであるかのどちらかだった。(少なくとも僕の読んだものは)
そのため、僕にとって冲方さんはそういったジャンルの作品を書く人であるという認識があったのは否めないのだが…。何でも書ける天才なんだなこの人と思った。
時代小説であり、しかも実在の人物、出来事を描いている作品。

渋川春海による改暦を扱って居るのだけれども、改暦ってのはいわば国家事業。
今でこそかなり正確な暦で世界共通で動いているけれど、江戸時代にはそんな精度の物は無かった訳で…。
今まで使っていた暦法がずれているから作り直しましょうと言うお話。
ただ、はじめから春海がそれに興味を持っていた訳ではなくて、彼が興味を持っていたのは算術=数学であって、暦法については幕府の偉い人に言われて参加した測量事業を通じてのめり込んでいくと言う流れになっている。
そして、彼が生涯をかけてその事業に挑むと言うこと、その心境が細かく描写されている。
算術勝負や碁の勝負(元々春海は碁打ち)などで、命をかける様な勝負を描いた上で、彼の改暦という勝負が描かれる。
実際にそれで命を失う訳では無いけれど、命が掛かっているような勝負を描くのはマルドゥック・スクランブルのカジノシーンに通じるものが有ったように思う。そして命が掛かってないのに命がけな勝負を描くのが本当に冲方さんは巧い。すごくのめり込める。
恐らくそれは冲方さんが文学という勝負を命がけでやっているから何だろうと感じた。

春海の様な人は幸せなんだろうと思う。
生涯を通じて挑める勝負。そして自分を認め支えてくれる人達。そういった人生はすごく豊かなものだろうと思う。
春海の様な人生を送れる自身があるかと言われると、すこし引いてしまうけれど、そう言う人生にあこがれは感じる。
才能である訳では無いと思う。春海をそうさせたのは彼の才能ではなくて、彼の姿勢、彼の生き様がそうさせたのだと思う。
少なくとも春海の真摯さと言うのは誰もが見習うべきものだと感じた。

クランチ文体が出てこない冲方さんの作品、久しぶりに読んだ。新鮮に感じた。
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STEINS;GATE 比翼連理のアンダーリン③

STEINS;GATE 比翼連理のアンダーリン③

5pb.×ニトロプラス:原作
海羽超史郎:著
huke、池田靖宏:イラスト
富士見ドラゴンブック


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比翼連理のアンダーリンとしては最終巻。
原作ゲームの方は本編しか知らないのでこの話がどういった位置づけなのかはよく知らなかったのですが、こういうオチを付けてきたかとひとしきり感心した。
元々シュタインズ・ゲートという作品は幾つもの世界線が存在していると言う設定が有る以上、無数のスピンオフを全て、オカリンが本編作中に経験したある世界線の内容だとすることが出来る、二次作品に対して懐が広い面があるのだけれど、その反面、そのルールに縛られると言う面があると言う事。
一般ユーザーが作った二次作品はそういった面は考慮外にするだろうけど、公式に近ければ近いほど、スピンオフは最後が固定される様な気がします。すなわち何かが起こってオカリンがタイムリープによって世界線を移動すると言う結末です。(実際にそういったスピンオフが多いかは別として)
この作品ではそういったルールを少し破壊した感じがあったのでそこに感心した。
あぁ、そういう事なんだという感心。そこに戻るんだっていう感心。タブーを犯して巧くまとめるってのはそれだけで巧いと感じさせるものがあると思った。

シュタインズ・ゲート本編のトゥルーエンドは結果的にはまゆりも紅莉栖も見捨てること無く2人とも救うエンドだった。でもストーリーの流れ的にヒロインとして存在するのはやはり紅莉栖であってまゆりでは無いんですよね。
このアンダーリンでは最終的にはまゆりをヒロインとした描き方をされていて、それがとてもしっくりくるというか、素敵な感じがした。
不器用でシャイなオカリンだけれども、普段の行動は厨二病だけれども、彼はすごくいい人で人の為に動ける人。だからこそ彼の頼みがあればラボメンは協力するし味方で居てくれる。それを再確認しつつ、まゆりに良い目を見させてあげられたのはすごく素敵だと思いました。本編だとまゆりは割と悲惨なので。

だが…このエンディングだと…。
本編の先も気になるじゃないか。結局オカリンはどっちを選んだんだろう?
ロボティクス・ノーツやると分かるとか有るのかしら。

 

僕の学校の暗殺部

僕の学校の暗殺部

深見真:著
ふゆの春秋:イラスト
ファミ通文庫


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ボーイミートガールものなのですが、話のネタとしては人の主権を侵す得体の知れない謎の存在が人間に紛れ込んでいて、それと主人公である少年が戦うと言う話になっています。
直近でそんなの読んだ気がすると思ったのですが、西尾維新の悲鳴伝と設定が類似していました。たまたまっぽいですけれど。

主人公である零士君は身長が低い事がコンプレックスの普通の高校生なのですが、ひょんなことから学校の暗殺部に勧誘されて才能を開花させます。
その才能って要は戦士としてやっていけるかと言うもので、一般的な普通の日本人ではあまり養えない精神的な構造で突出しているタイプです。
その辺も含めて悲鳴伝と似てるなと思いました。

悲鳴伝と違って、異常者が敵側だけで、少し特殊な面があるにせよ主人公サイドは至って普通の感性を持っているのですごく読みやすかった。
普通に女の子に一目惚れして、彼女の気を惹きたいと思いつつ、生き残る術として暗殺部に所属して、戦いの中で彼女を失ってと言う流れで、1人の男の子の初恋とその終わりを描いています。
ストーリーというか舞台設定は深見さんの作品ですので、銃器いっぱい、その描写細かめですが、本質はそこじゃ無いのであんまり気にしないで読んだ方が良いのかも。

喪失のショックの描写がすごくて、呆然としている零士の姿というのが目に浮かぶ感じでした。そして復讐を果たすのですが、それでも彼女は帰ってこないと言う悲しい結末が何とも言えず寂しい。
1つの映画としたら面白いかも知れないです。
映画のネタも相変わらず仕込まれていますし、そういった尺を意識して描かれている感じです。
続きを描きたい様なことが後書きに書かれてましたが、これはこれで完結なんじゃ無いのかしらと言う感じ。描かれるとしたらどう書くのかしら?
ネタばれちゃうけどヒロイン死んでますしねぇ…。

 

ブラック・ブレット3 炎による世界の破滅

ブラック・ブレット3 炎による世界の破滅

神崎紫電:著
鵜飼沙樹:イラスト
電撃文庫


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前2巻で人類がな陥っている絶滅の危機とその状況で自分のことしか考えていない偏執狂の恐怖を描いて置いて、この巻はひとまず箸休めのような内容になっています。
まあ、もちろん上げて落とすんですけど。

ガストレアも強さに段階があって最上位のゾディアックは一度、一巻で主役の蓮太郎がぎりぎりながら倒しています。蓮太郎だけの力ではなく固定武装の力でもってですが。そのゾディアックはタイプとしては単純で、おそってくるだけのタイプ。
今回、そして次の巻であたるアルデバランはゾディアックに続くステージⅣにも関わらず東京を壊滅の危機にさらすという、ガストレア。力の見せ方がうまいなと思いました。
東京を守る結界であるモノリスを一つ溶かしにかかるとか、中の人間にはさぞかし恐怖でしょう。猶予があるだけ特に。

で、人類側(東京側)は、モノリス溶かしにかかってる奴倒しつつ、新たなものリス建造と言う二面作戦を強いられます。二面作戦って格好良いけど必ず負けてる側の作戦だよね。で、プロモーター、イニシエーターペアは軍の最小単位、アジュバンドを組むために行動ということで。蓮太郎たちも活動するのですがなかなか最小人数も足りないと言う感じに進みます。
そんな戦時状況下で呪われた子たちがどういう扱いを受けるかが描かれたのがこの巻で、本格的な戦闘や盛り上がりは全部次の巻に持ち越しに成っていますので、ご注意。
読むなら4巻までを一気に読むのが、良いと思います。

呪われた子の扱いってのはもの凄く惨いものです。彼女らは何も悪いことはないのに、未来に思いをはせることも赦されず、今日の命すら簡単に蹂躙するかのように、奪われる。さもそれが当然のように。
この世界観では仕方ないのかもしない。確かに延珠のようにティナのように運のよい子もいる。生きながらえる可能性を模索してもらえる子も中には居る。でも殆どは運が悪く、人権も与えられずに扱われるかなしみが今回、描かれていた。

今回は本当に東京地区に迫った崩壊の序曲と、その中にあっても夢や希望を持つことを蓮太郎に教えてもらえた子たちの悲劇をゆっくりと迫ってくる危機と悲劇を書いていました。
蓮太郎はつよいな。と思います。延珠が居るからと言う強さだとは思いますが、ふつうはその力を別のことに使うのではないかなと。彼女たちの復習に。その場の人々を殺戮する事に使うのではないかと。僕は感じたし、なぜにそうしてやらないとまで、感じた。そんなことは看護婦やスチュワーデスといったふつうの職業を夢見た彼女たちは望まない。鬼神のような蓮太郎を彼女たちは消して望まないだろうから彼は踏みとどまるけれど、僕は踏みとどまれないだろうと思う。

悲劇的状況ではある。
でもだからといってやって良いことダメなこと。それを明確に明瞭に描いていたのだと思います。
蓮太郎には止めてくれる仲間が居てよかったと思う。ほぼフリーランスの孤独な人物かと思ってたら意外と人脈あったのが面白かった。

この後の戦いが絶望で終わらなければいいのに。

 

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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
購入して読んだ活字媒体と購入したCDのレビューやってます。
オタなので、ジャンルはオタ方向に傾倒。

チベタン・スパニエルという珍しい犬種の愛犬記事もありまする。

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