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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅢ

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅢ

野宮有:著
マシマサキ:イラスト
電撃文庫


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3巻です。
帯と口絵でひどいネタバレがあってですね。
読む前からえー…?ってなった感じでした。ラルフとリザが決別するって展開があるよっていうのがこの巻のメインのストーリーなんですけれど、それが帯に書かれてるわ、口絵にはその決定的なシーンが描かれてるわちょっとひどくないですか?これ。
って思いながら読み始めました。
まぁ、妥当なストーリー展開でした。細かいところは別として、帯と口絵でネタバレした決別シーンを転として、普通に予想できる結末が待っていたという感じで、ストーリー的な盛り上がりはかなり帯と口絵が台無しにしてくれた感じです。
まぁ、こういう決別がってのはバディものにはありがちな展開ですよね。
ちょっとリザの立ち位置(普通の銀使いである)とラルフの立ち位置(普通の銀使いではなく悪魔からの精神汚染を受けていない)というのがあるので、決別した後どうなるのかしら?とは思ったけれど、順当な感じに話は進みましたね。
リザはそこまで汚染されてないよって話で終わりな感じで、一安心といったところ。
ラルフとリザの関係に焦点を当ててると一安心なんですけれど、起こってる事件ではやばい局面を迎えて、それにあえて立ち向かっていく二人というところで幕が下りてます。
今回もTo be continued.な終わり方です。

今回、リザが銀の弾丸からの悪魔の干渉によって暴走しているというか、今まで銀使いが闘争に明け暮れるようになるという表現が盛んにされてきましたが、それがリザの身に顕著に出てくるというのが今回の肝になります。
ただね。
この影響の出方がひどくてですね。読んでいていちいちリザがラルフに突っかかるんですよ。言葉だけならまだしも、ラルフが危機に陥る可能性を考慮しないで闘争を招き入れたりするし、なんか他の今まで出てきた銀使いに比べてもひどい状態になっていました。
他の銀使いでも最終的には闘争を優先するかもしれないけれど、そこに至るまでにはファミリーなど自分の所属している組織や上役になる人物の指示に従っている感じがしていました。リザにとってはそれはラルフであって彼との関係って、対等ではなくて若干だけれどもラルフのが上位なんですよね。それは年長者であることも含め、武器の提供者であることや、依頼などの処理をラルフがやっていてリザはそれに従って動くという形態をとっているからです。
それがうまく行ってたのに、そして悪魔に操られるという嫌な未来図とは別の未来図をラルフとシエナによって提示されていたのに、ある人物との出会いをきっかけに反旗を翻すというか、ラルフやシエナと決別するような言動をとるようになっていきます。
それがあまりに過剰だったので、リザに対する嫌悪感ってのが読んでて途中ありました。ちょっと、それはあまりにもって思ったのね。
もちろん、リザの過去とか今回描写されて、それにまつわる過去の因縁ってやつがあるということは描かれるんですけれど、それにしてもというのが今回抱いた印象でした。

結果的にはリザは悪魔の誘惑を振り切って、敵対者からは弱さだといわれるけれど、「まとも」な道へ立ち返ってくれますが、そこまではちょっとリザに対して嫌な感情ってのが先行しちゃう展開でしたね。
また、先にも書いたネタバレによって、きっかけになる敵対者が出てくる以前でも、いつものようにリザがちょっと突っかかるシーンがいつものように思えないっていう感じがありました。
前の巻までは普通に悪態ついてるだけに思えてた何気ないセリフとかが、決別に向けて発せられてるように感じられちゃうっていう印象になるという感じでした。これは口絵が悪いよ…。

ストーリー展開はフィルミナードとハイルのシエナの取り合いの中から、どうやってシエナを救う手立てを考えるかという話になっています。
ラルフとしては現状のフェルミナードにいれば一応はまだましということで、フェルミナードの意向とも合致する魔女の関係者を追う為にハイルを捕えようとするが失敗続き、逆にハイルの配下の銀使いであるラーズがリザを闘争の道へ誘惑しリザが暴走するという話になってます。
イレッダ全体がハイルの手の内で動いていく中、フェルミナードは崩壊してしまい、シエナが安全でいられる場所がなくなってしまいます。逆を返せばフェルミナードからシエナを取り戻すチャンスと見たラルフはシエナと合流して連れて逃げるけれど…。
という展開でしたね。
結果的にはずーっとラルフ達は負けっぱなし、リザは闇に沈んでいくし…。読んでてつらい話ではありました。
ここから逆転ってなってほしいですわほんと。
じゃないとハッピーエンドじゃないですからねぇ。こういう話でもハッピーエンドになるのがいいじゃないですか。というか課程がかなり厳しい話なので、ラストはハッピーエンドであってほしい。
そう思いながら次を待ちたいと思います。

もしかしたら次か、その次当たりで完結かな?
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へヴィーオブジェクト 純白のカウントダウン

へヴィーオブジェクト 純白のカウントダウン

鎌池和也:著
凪良:イラスト
電撃文庫


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17巻目です。
今回の巻は珍しくカレンダーの日付が分かる巻になってます。
これを起点に時系列に並べていくことってできるんじゃないかなぁ。というかへヴィーオブジェクトはどっから読んでも良いとなっていますけれど、その実、順番に読んでいくのが一番いい感じです。
特にミョンリの存在がはじめは何もできない子だったのに、今や何でもできる子になってるというのがあってですね。
一応、たぶん、今もヘヴィーオブジェクトは1巻を読んだら後はどこから読んでも大丈夫ですよっていうのはあるんだと思うんですけれど、ミョンリとか説明無しに出てきますしねぇ…。
今回のゲストキャラであるエリーゼも説明無しに出てくるといえば出てくるんですけれどね。

今回のネタは健康法に盾突いてますよ。(笑)
それもあれです。似非健康法に当たるあれです。水素水とかはやったりするじゃないですか。ああいう感じのもののヘヴィーオブジェクト版という感じです。
イモータノイドという放射性物質がラジウム温泉的も体に良い理論で金の200倍の価値がつくということから情報同盟やら資本企業やらと取り合いするという話が展開されて行きます。
天然イモータノイドが話の鍵になっていますが、これが実は存在しないというオチもあったりして、なかなか皮肉な話だなぁと思いました。
イモータノイドは93番目以降の人口元素なので、人口的に作るしかない、なのに天然モノがあるとか鉱床があるとかいう話に振り回されて戦うという形になっています。
取り合いの為に犠牲になった子供たちとかの話もあって全体的にこれを取り合う人たちを冷めた目で見るとともに、振り回される人達の悲しい現実ってのも見えてちょっと辛い話ではありました。

で。
それが今回の話の種かと思ってたら。
正統王国での貴族、王族と平民の在り方の違い。存在のアイデンティティの違いというところに話が持って行かれてびっくりしました。
結果的に裏で手を引いてたのが、正統王国の王族、貴族だったという話になって、その理由ってのも悲しい理由でした。
不安、恐怖ってのは貴族様、王族様になってもあるもので、本来だったら人々を導く存在であってほしい人達だったのに、それが逆転してしまう可能性、王族、貴族のアイデンティティを失ってしまうかもしれない可能性に恐怖を感じてという話になってました。
こういう恐怖ってのは正統王国ならではなのかなと思いますけれど、実際問題、いろいろな血が現在の王族、貴族についても平民とだいぶ混血が進んでいっていると思うので、この話の時代の王族、貴族がそんなにとんがった血統を誇ってるとは思えないんですけれど、そこはそれという事ですかね。
王族、貴族故に平民と交わらないから逆に特定の病気やなんかで絶滅する可能性というのが今回のネタになってました。
確かに、平民は混血が進んでいる分、平均化がされているので病気とかには強いですけれどね…。
でもこれ人間の進化の話ですよね。ABO型の血液型も確か、病気によって絶滅する危機に陥ったときに出てきた突然変異から分かれて行ったっていうはなしでしたよね。
ヘイヴィアがあそこまで取り乱すとは思わなかったけれど、貴族であるってことは彼にとってはアイデンティティなんですね。
改めてその辺はキャラクターを見直すきっかけになりました。
ヘイヴィア、普段あんまり貴族っぽくないですからねぇ。
今回、ヘイヴィアがなんだかんだで話の切っ掛けというか物語の肝になってるのが特徴的でした。
1章では子供たちの為の騎士様として、3章では貴族の代表としてヘイヴィアに視点が当たった感じでした。普段、クウェンサーが話を引っ張っていく形になってることが多いのでちょっと新鮮でした。
まぁ、事件を解決したり、オブジェクトを撃破する方法を考えつくのはクウェンサーなんですけれどね。

で。
最初に書いたカレンダーが特定されてるという話。
この巻の話はクリスマスから年明けまでにかけての話になっています。
年末10月に出た本ですが、今読んだのが、丁度良かった感じでした。
作中では血みどろのクリスマスだしニューイヤーなのが悲しいですね。
なんでも戦争の種になってしまうのが悲しいかなと思いました。

 

ソードアート・オンライン23 ユナイタル・リングⅡ

ソードアート・オンライン23 ユナイタル・リングⅡ

川原礫:著
abec:イラスト
電撃文庫


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ユナイタル・リング編2巻目。
前の巻が短編集だったのでユナイタル・リングとしては1年以上開いてしまっているのが残念。
人気作家さんで遅筆ではない作家さんだけれども、アクセル・ワールドや絶対なる孤独者なんかも書きながらなのでソードアート・オンラインに回ってくる順番の関係で1年開いちゃうことがあるのがちょっと残念に思います。
とある魔術の禁書目録の鎌池さんくらい速筆な著者だったらいいのかもしれませんが、読者としてはなるべく早く続きが読みたいという気持ちはあるので、なるべく早い刊行をお願いしたいかな?という感じ。
あとがきによると、アニメのソードアート・オンライン アリシゼーション WoUの開始時期に書きあげてたみたいで、刊行が12月になったというのが諸事情ありそうな感じかなぁ。
たぶん絵が遅れたとかいうんじゃなくて、ただ単に刊行までに踏む段階の問題でこれくらいラグがあるんですよ?という話だとは思いますが。
うーん。
川原さんの作品では絶対なる孤独者やソードアート・オンライン プログレッシブが始まってなければなぁと思わないでもない。でもこれらが面白くないわけではないので難しいところだなぁ。
人気作家さんのジレンマかね。

前のユナイタル・リングⅠではAOLで遊んでいた面々がいきなりユナイタル・リングに強制キャラコンバートされて、サバイバル・ゲーム(って書くと銃で撃ちあうゲームを思い出しちゃうけれど、生存を目的としたゲーム)に強制的に参加させられて、手探り状態で現状とゲームの内容を把握するという巻でした。
この巻では、いつもの面々の残りのメンバーとの合流が主なストーリーの流れになっています。
具体的には問題の時間にGGOにログインしてたシノンと、ゲームにログインしてなかったエギルとクラインが合流する話。
GGO側から見たユナイタル・リングの開始の話が、AOL側とはまた違った印象を持っていて装備とかの選択がユナイタル・リングにおける生存にかなり依存しているなぁと感じました。これ、シノンはヘカートⅡという超重武器をメインに使っていたことやサブウェポンも割と重めの武器だったことから、使える武器が無くなるという事態に直面しましたが、対峙したプレーヤーグループ(シノンをPKと勘違いして襲ってきた)の遺品に低レベルでも使える武器が残されていたことからシノンは窮地に一生を得ることになりました。
GGOと言えば、時雨沢さんが書いている方のあれがありますけれど、ピトフーイとかだったら一番長く使った武器とかフォトンソードとかになりそうです。だとすると、長く使えるしかも軽い武器が最初からあるわけで、ユナイタル・リングに巻き込まれても大丈夫そう。
こういう事情もあるから、ユナイタル・リング、ちょっと不公平な面があるなぁって思いました。

しかし、シノンの生存能力というか、基本スペック高いよね。
ユナイタル・リングⅠではキリト組が協力しあって生存をする方向+家を守るという方向性で動いていたけれど、バラバラだったら?って考えるとそうそう生き残れそうにないかなぁって思いました。
それに対して、シノンはひとりで敵対したプレーヤを退けたり、高レベルモンスターを倒したりしている。
なんか、ゲーム暦的にはシノンってたぶん主要メンバーの中では一番短いんだと思うんですけれど、キリトに次いで適応能力が高く、行動力とかあるよなぁって思って読んでました。

キリト組はイレギュラーな事態によってAOL組の初期開始位置じゃないところから始まったせいで、周りの敵が強いという事態になってましたけれど、リズやシリカはそうじゃなかった描写がありました。
それに対してシノンがいた場所ってのが初期位置からそんなに離れてないのにヘカートⅡを使わないと倒せないようなモンスターが出てくるとかいう状況でした。
これはGGOの武器が強力で有利だからGGOの初期位置とか周りとかが厳しくなってるんですかね?
まぁ、GGOとAOLの初期位置が隣り合ってたのは僥倖だった(話の都合だと思います)というところでしょうか。
何となくゲームごとに区切りの山脈やら何かがありそうな感じですね。
GGOとAOLが隣り合ってなかったら、シノンどうしたんだろう…。

リアル側の話も今回はあって、ユナイタル・リング問題を外側から調査する組としてアルゴがリアル側で接触してくるという話がありました。
そのアルゴ、どうもSAOの攻略後半ではキリトやアスナとの交流が無かったみたいで、生死不明になってた感じ。
感動の再会とかちょっとあって、その中でキリトとアスナのログハウスの話がありました。手に入れた時のイベントにアルゴが協力したって話なんですけれど、前の巻の短編の話じゃんって思いました。
これが書きたかったから、先に短編だしたのかな?って感じましたよ。
とりあえず、アルゴはユナイタル・リングにログインするのではなく、外側からの調査、また情報の収集と整理に協力してくれるみたいですね。
心強い仲間だなぁって思いました。
アルゴはお気に入りのキャラなのでリアルでああいうおねーさんが居たら付き合いたい。
まぁ、高校生なんだけれども。(実年齢は20前後になるのかな?)
あと、菊岡さんがまた出てきた。この人絡むといきなり怪しくなるんだよね。話が。(笑)
ユナイタル・リングは問題の本質を外側から調べることになりそうかなという予感がしました。
ただ、問題の解決は今まで通りゲーム内ででしょうけれど。

なんか、最後の盛り上がりとしてログハウスがプレイヤーグループに襲撃されるという話で締めになってました。
なんとか撃退していましたが、必死なのでPKになっちゃうのに躊躇しないキリトさんたち。容赦ないですね。
人数の問題とかあるでしょうけれど、キリトが帰ってきた時点で勝敗は決してた気がしました。いろいろ勝つために回りくどいことしてましたけれど、そもそも論としてレベルや習熟度がユナイタル・リングで頭打ちされているとは言え、あほみたいに強いパーティなんですよ。キリトたちって。
SAOサバイバーでSAOのキャラをコンバートしてる組はもちろん、作り直ししてるキリトや後から参加したシノンやアリスも含めて、SAOキャラコンバート組とそん色ないんです。
その人達が集まってるんだから、ちょっとそんな一生懸命にならなくてもという気がしないでもなかったです。
ユナイタル・リング内では油断はできないってのはあるんですけれど、それでも高レベルの敵を倒していて妙にレベルが高いキリトやシノンがいるわけですし。AOLの領域にGGOの領域からきた反則的武器を持ったシノンもいるわけですしね。
ちょっとその辺はどうなの?という感じはしないでもなかったかな。

それとユナイタル・リングの謎にキリトさんがまた何か関わってるっぽいですね。
敵になったプレーヤーがキリトの事をなんか言いかけて消えていきましたし。
なんか、みんなキリトの事を知ってる風ですし。
リズやシリカが最初の街を出てきた後に何かあって、キリトが何かのカギにになってる可能性あるなぁって思いながら読んでました。

次、なるべくお待たせしないようにとあとがきに書いてくださってましたけれど。
1年見ておくかーという感じ。
できれば4ヶ月に1回出てほしいんですけれど、それだとアクセル・ワールドとかが止まっちゃうからねぇ…。難しいですねぇ…。

 

DEATH STRANDING 02

DEATH STRANDING 02

小島秀夫:原作
野島一人:著
Pablo Uchida:表紙装画
新潮文庫nex


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下巻です。
上巻がデス・ストランディングという現象とそれに伴う対消滅によって崩壊したアメリカで、アメリカを復興させるために荷物運びをするという主人公サム・ポーター・ブリッジズの話であったのに対して、下巻はいろいろな人の話になっている印象でした。
もちろん主人公であるのはサムなんですけれど、サムが繋いでいった人々の中でも特徴的、世界に影響をもたらす人物の側面から、デス・ストランディングという現象を追っていくという形になった感じです。
デス・ストランディングで死の世界と向き合うことになり、絶滅に瀕した人類が、絶滅ということに対してどう考えるかを追っていた印象が残りました。
基本的には下巻はデス・ストランディングとは何かというのを描いていったという感じでしたね。

地球史上では大絶滅ってのは何度か起こっています。
有名なのは恐竜の絶滅で、その時代を生き抜いた哺乳類が今の地球では主とした生物になっているという感じ。
他にも合わせて5回大きな絶滅が起こっているのが知られていますが、これの原因をこの作品ではデス・ストランディングが原因という風に位置づけています。
恐竜の絶滅とか隕石説が有名ですが、この作品ではそうじゃなくて、デス・ストランディングによって死の世界が座礁してきたことにより、滅亡に向かったという形。
これで特徴的なのが、絶滅した時の地層から臍帯がひっついた生物の化石が見つかっているということと、今回描かれているデス・ストランディングでも、ブリジットとかに臍帯が付いていたという描写があること。
そして、過去においての絶滅はほぼすべての生物に対して影響があったのに対して、今回のデス・ストランディングでは人だけが対象になって滅びに瀕しているという謎が語られます。
で、その謎を追っていくというか、関係していく人が語る言葉、過去の物語が結論、結末へ導いていくという感じになってました。

デス・ストランディングという設定は面白かったんだけれども、頭には知識として恐竜とか三葉虫とかアンモナイトとかの絶滅に関係しているのは隕石衝突らしいという説が入っていて思いの外、この説に関する僕の信頼度が高かったので、デス・ストランディングという設定に急にリアリティがないなぁって思ってしまって、物語に対する興味というのが減退していくのを感じながら読んでました。
まぁ、現実と乖離した設定の物語というのはいくらでもありますし、この作品もそのひとつであったというだけなのですけれど、期待していた分、ちょっと落胆も大きかったかなぁと思いました。
せめて、過去の絶滅までデス・ストランディングが原因ですといわなければと。
そこがなければ、作品で語られる今回のラスト・ストランディング=6回目の大絶滅が人をターゲットにしているという特殊性も、人と言う他の生物に比べて異様に発達した脳を持ち、宗教観や生死観を持つ人間だからデス・ストランディングを招いてしまったということにできますし、それでよかったんじゃないかなぁっていうのは読んでて思いました。

結果的にこの物語は家族の物語であって、そこ以外はいろいろ語られますけれど些末なものでしかないかなという感じ。
ブリジットとサムの物語であったと同時に、クリフとその子供の物語であり、ママーとその子供の話であり、サムとBBの物語だったと思いました。
そう思ったときに、繋がる、繋げるというこの作品のテーマが、大きなもの、国レベルの人同士の繋がりから、極小の小さな繋がりに思えてしまいました。
結果的にサムはいろいろな人と繋がって、接触恐怖症を克服していきますけれど、それは結果論であって、サムが繋がりたかったのは、BBのルーであって、ブリジットであって、アメリだった。
それ以外は結果繋がっただけに思えました。
敵を撃つ棒を繋げる綱に持ち替えることができるというこの作品のテーマは、最終的にそこから始めようということだったのかなぁ。
最近希薄になったといわれる親と子の繋がりから考え直せということだったのかなと、その辺は読後の印象として残りました。

話の風呂敷が大きかった分、結末として選ばれた、回避された人の絶滅は印象的でした。
そして、その原動力になったのは、たった一人のBBを助けたいというサムの思いでした。サムとルーの繋がり。それが原動力になって人類の絶滅は回避される。
そうなってしまうと大切なのは親と子の繋がりですって思っちゃうよね。
もうちょっと他人との繋がりという面にも焦点を当ててほしかったなぁ。
もちろんサムの行動も他人との繋がりがなければ成功しなかったし、BBも救われることがなかったのはわかるんですけれどね。

サムとBBのラストシーンはちょっと感動的でした。
これを描くためにどんだけ大きな風呂敷が必要だったんだというのが、読み終わった直後の僕の素直な感想でした。
これを描く為に人類滅亡しかかってるよ!という壮大な話だったなぁ。
あと気になったのは終始アメリカの事しか描かれないこと。
他の地域はどうなってたんでしょうね。
デス・ストランディングの世界では…。

 

DEATH STRANDING 01

DEATH STRANDING 01

小島秀夫:原作
野島一人:著
Pablo Uchida:表紙装画
新潮文庫nex


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メタルギア・ソリッドで有名なゲーム監督である小島氏が、コナミを独立してから最初にリリースするということで話題になっているゲーム、DEATH STRANDING。
そのノベライズの上巻となります。
これね。表紙には「DEATH STRANDING 01」となっていて奥付には「デス・ストランディング(上巻)」となってるんです。
本のタイトルとしてどっちを書いて感想を書こうかと迷ったんですが、一応表紙になぞらえることにしました。なお、上下巻で一気に刊行されました。
これはその上巻です。

原作となるゲームは未プレイです。
やってみたいとは思うんですけれど、PS4というハードは持っていませんし、ゲームにかかる時間を捻出できないので断念。
それでノベライズでこれが出たので、雰囲気だけでも味わえるかなぁと期待して読みました。雰囲気を味わえたかというとちょっと微妙かなぁという感じです。
DEATH STRANDINGというゲームは主人公であるサム・ポーター・ブリッジズが、荷物をいろいろなところへ届けるゲームと聞いています。
その届ける過程がゲームになっており障害物をよけたり敵性な人物からの攻撃をよけながら荷物を届けるゲームとなっています。
この小説は舞台背景と物語に主眼が置いてあり、ゲームの雰囲気を味わえるかというとそうじゃありません。
DEATH STRANDINGという物語を楽しむという分においてはいいかもしれませんが、ゲームの雰囲気を味わうという意味ではちょっと違いました。
サムの移動に関してはあまり描写されてなくてですね。あんまり困難を乗り切って移動している印象は受けませんでした。

デス・ストランディングという謎の現象により世界が崩壊して、人々はバラバラに個別にぽつぽつと点の様な感じに寄り集まったり、個人での生活を余儀なくされている世界。
デス・ストランディングという現象について分かっているのは死の世界がこの世界に座礁してくる現象だという事。
これが起こったことによって、死亡した人物がBTと呼ばれる物質に変わり、生きている者に触れると対消滅を起こすということが分かっています。
これが起こったことによって世界は穴だらけになってしまい、都市は崩壊し、国は消滅しました。
また、雨が時雨(タイムフォール)というものに変わっていて、これを浴びると老化が進むという雨になっています。
その中で、人々を繋ぎ直そう、失われたアメリカ合衆国を生きているポイントを繋いで再建しようとするのがブリッジズという組織という事になっています。主人公のサムはBTと接触しても生きていられるという特殊能力を持っています。
サムは物語の冒頭で前に所属していたブリッジズから抜けて個人的な運び屋として活動していましたが、ブリッジズに再び召喚されることになり、ある取引をするためにブリッジズに復帰、そしてアメリカ再建のための荷物運びを開始するという話になっています。

サムの心情がメインで紡がれていく話なんですけれど、基本、個人主義でいたサムが、BB(ブリッジズ・ベイビー)という装置として組み込まれた胎児でしかも不良品扱いされた子を救うためにブリッジズへ復帰するとか、義母との関係を見直すとか、アメリという義兄弟と再度つながるために旅をして、いろいろな人とふれあっていくという話になっています。
これ、注意して読んでないとよくわからないんですけれど、基本的にアメリカ再建という事についてはサムは懐疑的でいますが、それが徐々に変わっていくんですよね。
少しずつではあるんですけれど、人と人を繋ぐという事、ポーターという仕事の意味を重ね合わせて、徐々にですけれど肯定的になっていってます。
その微妙な心情を読み取るのは、文章的には書いていないので難しいんですけれど、それを感じられた時にサムの苦労といか、葛藤とかもわかってきて面白いなと感じられました。
ただ、流し読み的に読んじゃうとサムの心情は明確には書いてないので、読み落としちゃうかもです。
サムの行動の微妙な差異が少しずつ積み重なっていくことで心情を表すという感じなので、読み手を選ぶ作品だなぁと思いました。

で、上巻では道半ばでちょっと懐疑心と希望が揺れ動いている状態。
敵がいますし、味方の中にも何を考えているのかわからず、実は敵対者なのではという人物がいるという状態。
せっかくやってきたことが無駄になるかもしれないし、逆にそれが人類の為にはならないかもしれないという葛藤を迎えたところで上巻が終わっています。
下巻は敵との対峙が待っているんだと思いますし、最終的にアメリと繋がることができるのかできないのか分からないですけれど、最終目的であるアメリカ全土を通信でつなぐという事業を成し遂げるのかというところ。
続けて読みますが、分冊しているのはページの問題だけでこの作品は一気に読んじゃった方が良いなと感じました。
じゃないと微細なサムの心情とかがかすれてしまうような気がしたので。
なので、続けて下巻にとりかかろうと思います。

 

デスペラード ブルースⅢ

デスペラード ブルースⅢ

江波光則:著
霜月えいと:イラスト
ガガガ文庫


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3巻目です。そしてまだまだ続くよ?
この巻でも話の終わりは見えず、続くで終わっています。
江波さんの作品では葬式三部作と魔術師スカンクシリーズが3冊でしたので、これでこの作品が最長の作品になることは決まりましたね。
どれくらい長くなるのかが気になるところですが、10冊はいかないだろうなと想像してます。
そこまで長い作品を書くタイプの著者さんじゃないかなと。

今回は前回のラストで戦闘開始状態になった氷室奉先との戦いを描いていくという感じでした。というよりもプロローグ、エピローグを語られるのが氷室の事で、この巻の主役は彼という感じ。
もちろん、白夜が全体の主人公であり、その点は変わり無いのでストーリー自体は白夜を中心に白夜の語りで進んでいくのは変わらずなんですけれど、全体的に氷室のことを語っていることが多くて、彼が主人公のように見えちゃうこともあるといった感じ。
神座という特殊な街での、支配層の一角である玄翁神社の成り立ちとそこの祭司である氷室という人物がどういう人物なのかに焦点が当たっています。
あまり、白夜の両親と妹の敵に関する話や、神座講の話は少な目。一応、白夜に対してその話が振られるという形にはなってるのですが、実際にその話を詳しく聞く様なシーンはありませんでした。
だから、あんまり話が進んでる気がしないんですよね。
ただ、戦ってるだけという印象が強いです。
でも戦って結果的に勝ちを得るということで、神座での白夜への注目度が少しずつ上がっているのかな?という気はします。
それまでは無明拳の使い手というと白夜の師匠である司であり、白夜はノーマークだったのが、神座の支配層につながる人に白夜の存在が少しずつだけれども知られて行ってる感じはしました。
ちんこ丸だしという情けない知られ方だったとしても。(笑)

まずは氷室との第1戦。
鳴海とのコンビで戦うんですが始終押されっぱなし。
鳴海が投げれない、白夜の攻撃はなんかダメダメでそもそも届かないという感じで、最後はグレーチング(側溝なんかにはまってる金属の蓋ね)でぶん殴って気絶させるって手段で一応は勝ちを収めます。勝ったって言えるのか?(笑)
その後、六花とのやり取りで、六花と勝負することに。
が、その勝利条件がエロいことだったり、白夜が蟲打を使ったりしたもんだから、変なことに。さらに鳴海が乱入して女性二人にもてあそばれる白夜君の図。
これラノベだよね。と思いながら、ガガガだからいいのかとか思ったりもしてました。
でちんこ丸だしのところに六花の兄が入ってきて、この騒ぎが終了します。
それで、日常へ戻ったかと思えたところに、市河から連絡があり銃を持った集団に襲われているという話が舞い込み、そこへ駆けつけると大体自体は解決してるけれど、また氷室が暴れてるという状況。
不知火と元春が対応してたけど、結果負け。黒曜も銃を持ち出して氷室を狙うけれど失敗して殺されかけるという事態に。
そこで、白夜と氷室との第2戦。
今度は、白夜がこれまでのやり取りでつかんだ感覚を元に戦って無明拳の無明拳らしい戦い方というのを会得していくという流れなってます。
その結果、氷室を倒すことに成功。

最後は庵から神座で行われる集会の話を聞いて、ざわっとするという終わり方。
庵は白夜を暗殺に使おうとしてるわけで、でも、白夜にはその気は無くて。
それでもそれを実行すれば、敵に少し近づけるという話があってという葛藤を迎えたところで終幕。
中々じらされてる感じがしますね。

ところで氷室奉先は吹奏楽部で構ってくれた女の子のところを一度訪ねたらいいと思います。主人公じゃなくて脇役でも気分のいい生き方ってのを教えてもらえる気がしますよ。それに気づくのはいつになるんだろうな。
なんか気づいたっぽい感じもしますけれど。
でも白夜に負けたことから、しばらくは出てこないかな。氷室。
彼が主人公だった話はこれで終わっているので。

ということで続くになってる3巻目。
次、どうなるんだろうというのが気になりますが、戦ってばかりだと興ざめしちゃうなぁ。もっと陰謀的なところに引っかかってその辺で話を展開してほしいですね。

 

悲終伝

悲終伝

西尾維新:著
講談社ノベルズ


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伝説シリーズ10巻目。最終巻となります。
最後の最後にタイトルに終わりが入っていて、10をあらわす読みがされるとかできすぎでしょ。
これまでの2巻から9巻まではあまりタイトルと内容が一致していなかったですけれど、さすがにこれはきちんと内容と一致しています。
物語に決着がついて、そしてエピローグへという形になってます。

時系列が少し9巻と前後します。
物語のスタート時点で、まだ空々たちは行方知れず状態になっていません。
8巻の直後からつながる形になります。
地球(の擬人化)が太陽と惑星たち9人(の擬人化)を小さな悲鳴で葬ったところから始まります。
空々がとっさに地球にアタックして首を絞めて殺害しようとしたのですが、途中で剣藤との過去を思い出してしまい、最後までやり切れませんでした。
すんでのところで地球を取り逃がすという出だし。
ここでちょっと思ったのは、空々くん変わったなということ。
1巻のころの空々だったらたぶん、地球を取り逃がすことはなかった。剣藤とのことを思い出して手を緩めるなんてことはしなかったと思うんですよね。
感情がないとはずっと言われていましたが、全くないわけじゃなくて感情の片りんみたいなのは持っているんですよね。空々。それが顕著になったというのがこの巻かなぁと思いました。
たぶん、もう一度読み直してみれば、1巻とそれ以降の巻では空々の感情の振れって違うんだと思います。1巻ではほぼ振れないなんですよ。でも2巻以降では剣藤を殺していることから、折に触れて感情は少しだけれども揺れている。
それが致命的なところで出たという感じでした。

そこからは怒涛の展開。
地球との対決に失敗した時点で宇宙船「悲衛」が静止軌道を外れたりして、てんやわんやの状態に。
地濃さんがリビングデッド2で蘇生を試みていた月が一瞬蘇って重力で「悲衛」を月に着陸させるものの、着陸自体は墜落と変わらない状態で好藤の土の魔法で何とか受け止めたような状態。
ここで、通信機などが壊れたことにより9巻冒頭の行方知れず状態が開始されます。
とりあえず、「悲衛」としては地球と月がリンクしてることから死んだふりをすることに。
で、空々が脱出方法とかを検討するのだけれど、その間にトゥシューズが実は四国ゲームを秘密裏に脱出していた地濃以外のチームウィンターの一員だったとか明かされたり、火星が生きてて人間王やってるとか、いろいろな話が展開していきます。
空々の脱出方法は結果的にジャイアントインパクトと同じことになるということで、地球人類が死滅しちゃうから却下となります。
そんなこんなしてる内に、地球にいる手袋から月を通して連絡が入り、人間王のところにいるんだけれどとかそういう話がつながっていきます。
そして、ぽろっとでた、「破壊丸」をマルチステッキに変えたアイテムの存在が人間王に伝わったとたん、空々が立てた脱出プラン通りに月が地球に向けて動き出して、どうするの状態に。
月を近づけようとしてた方法を応用して月を止めつつ、今度は鋼矢たちと会話がつながって空々の中で最後のプランが出来上がるという流れ。
結局9巻で出てきた宇宙船とかその話も盛り込んで、地球と再び会話することになります。

最後の地球との会話で、いろいろ危ない橋を渡りながら、感情というものを空々を理解すると同時に、プランがうまく行って大団円を迎えるという感じ。
初期はでは地球と戦うということで地球陣とバトルしたりしてたけれど、結局は西尾維新らしく最後の最後は会話劇だけで話が進行して終わってしまった感じでした。
エピローグは100年生きた空々と地濃の会話で幕。
結果的に地球を救ったけれど、ほめられはしなかったみたいですね。英雄は。
でも、それでも、感情というものを得て、人として100年過ごすことができた。
それが結果なんだなという感じで終わっていきました。

この伝説シリーズ。
最終巻なので全体を振り返ってみて思うのは行き当たりばったりが多すぎて、あんまり楽しめなかったなぁという感じ。
空々があんなであるので、基本状況に対処していくという感じで物語が進むのですが、能動的に何かをするということがないのでフラストレーションがたまるというかですね。
あまり僕の好みにはあってなかったなぁ。
そして、あまりに冗長な気がします。
分厚い本で2段組みなんですけれど、半分でいい感じです。
そもそも四国ゲームもやたら長かったですしね。
最後の方の怒涛の展開とか考えると西尾さんはもっと続けたかったのかもしれないなぁと思いました。四国ゲームの話が地球と戦ってる話なのに地球そっちのけで何やってるんだろうと思っていたんですけれど、その後、展開のスピードが上がって9、10巻の内容的にはいままでだったら2冊3冊使ってたよね?という感じでしたので。
バランスがあんまりよくなくて、起承転結がはっきりしない作品でした。
キャラクターの会話を楽しむというのが西尾作品の特徴でもあると思うのですが、それも本作は物語シリーズなどと比べると、魅力があんまりないなぁと感じてました。
でも、終わりまで読めて、そして最良の終わり方ではあったので、それはそれでよかったかな?

一番お気に入りのキャラクターは地濃さんです。
クズクズ言われていて、キャラクターどころか地の文でまでクズ呼ばわりされた彼女ですが、一番なんか空々の事をわかってたんじゃないかなって思うんですよね。
自分をクズな立場に置くことで回りを潤滑に動かす人だった。そんな感じがしてなりません。
まぁ、本当にクズなのかもしれないですけれど。
愛すべきキャラクターだと僕は思いました。

長かったなぁ。伝説シリーズ。

 

ソードアート・オンライン22 キス・アンド・フライ

ソードアート・オンライン22 キス・アンド・フライ

川原礫:著
abec:イラスト
電撃文庫


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22巻です。
ユナイタル・リングの続きが気になっていたので、22巻が出るときいてやっと読める!と思いきや、22巻は過去に発表された短編集となりました。
具体的にはアニメ版のブルーレイやDVDに特典として付いていたものに加筆修正して本にまとめたという事になります。
今回まとめられた短編は4編でどれも初出から4年くらいは経ってるので妥当な線かなというところ。
この短編小説目当てでブルーレイなどを買った人にはご愁傷様になってしまいますが、まぁ、せっかくの書かれた作品ですし1万本売れれば大ヒットと呼ばれる円盤業界の狭い範囲にしか公開されないよりも、後でこうやって本になった方が作者としても読者としても良い感じではないでしょうか?
ブルーレイなんかを買った人は先行で読める権利を買ったという事で納得してもらうとして。
そういえば、僕が買うブルーレイってあんまり小説が付属してるの無いな…。

収録されているのはキリトやアスナをメインとした作品が3編。
これはアインクラッド時代の話が1本とAOLでの話が2本となっています。
もう1編はほかの3編の倍くらいの分量があるのですが、ユウキとその姉であるランがスリーピング・ナイツを結成する切っ掛けになる話です。
気軽に読めるのは前3本で、ユウキの話はどうしても重くなりがちです。
それなりに覚悟が必要な話かなと思いました。ラノベですから、そんなに重い書き方はしていないですけれど。死に向かっていく中、何を残せるかという話なのでね。あまり軽い気持ちで読んで良いものでもないかなというのが僕の印象です。

アインクラッド編の1本はキリトとアスナのプレイヤーホームにまつわる話。
ユナイタル・リングでも大切にされ修復を試みられている家ですが、まさかそんなエピソードがあったとはという感じに。
読んでみればすぐわかるのですがオズの魔法使いです。
イベントでプレーヤー向けに売られていた物件が空を飛ぶという話。
ザ・シードのゲームが持っている自動イベント生成システムの一環という触れ込みで書かれてますけれど、これ、キリトたちが経験してクリアした後には、家はキリトたちに買われてしまって空を飛ぶことが無くなっているので、他の人、このイベント経験できないじゃんと思いました。
全体的にライトで読みやすく面白い話。

AOLでの話の1本は、アスナが救い出された直後くらいの話。
感覚が引っ張られる感じがあり、幽体離脱じゃないけれど反応が遅れるという現象がアスナに現れて、それの原因を探りながらもボス戦に挑むという話。
ボス戦中にその現象が起こって危機に陥るので、このままじゃゲームがうまく進められないぞというところで、原因を突き詰めてみればキリトへのアインクラッドで亡くなった人からのメッセ―ジだったという話です。
読んでみると涙無くしては読めない話でした。

もう一本はかつてアニメ第一期のExtra Editionと対になってるような話。
あれで海にいってクラーケンとかと話をするという出来事ありましたが、その内容から連作イベントなんじゃないかとあたりをつけたキリトたちが今度は世界樹の頂を目指すという話になっています。
これは純粋にゲームとしての面白さを描いてる作品っぽくて、こういう風にして次のイベントを探るってのは楽しいだろうなぁと思いました。
結果的にイベントはあったけれど、キリトたちはまだ条件を満たしてなくてイベントスタートをできなかったという結末になりますが、世界樹の枝=強力な魔法の杖を手に入れるという結果が舞い込んできます。この辺はキャリバーとも対になってる感じですね。
良いんですかね?世界に名だたる武器を二つもひとつのパーティというか夫婦で占有しちゃって。(笑)

ユウキの話はSAOの中で何回か話に出てきた医療用のVRワールドの話となってます。
そこで終末医療を受けていたユウキとランがVRMMOの世界に飛び込んでいく切っ掛けになった人物の話。
SAOのベータテスターだったけれど、脳腫瘍が見つかった為にSAO事件には巻き込まれなかった人物が、終末期にどう考えてどういう行動をとるかというののひとつを描いています。
人として生きた証や、命をどう使うかという事に視点が当たっており、すごく考えさせられる話になってました。
結果的にユウキの今後の生き方を決定づける切っ掛けになる話となっています。
あの明るいユウキですが、このころにはまだ少し、姉の後ろに隠れてる印象があるのがとても意識に残りました。
ユウキとランの治療にはメデキュポイドの試験に参加しているかという事で、若干の違いがあり、ユウキは無菌室におりランは一般病棟という残酷な差があります。
同じ多剤耐性HIVによるAIDSですが、ランの方が無菌室じゃない分、合併症が進行しているという状態であるのも、この話を重くします。
なんでも少しユウキより前をゆくランからいずれはユウキが独り立ちしないといけない現実があるのを知っているわけでそれを意識して読んでいると、また重くなる。
とても考えさせられ話でした。

今回は短編でしたが、ユナイタル・リングの続きはそれほど待たずに刊行されるとあとがきにありました。
続きを読みたいというのはあるのですけれど、こういう短編を読んで世界観が補完されていくのも良いですね。
いい感じに作品の世界観に深く関われてる感じがする巻だったなぁっておもいました。
できれば、まだ本になってないブルーレイなどの特典が今回のと同じくらいの量があるみたいですし、そちらもできるだけ早い段階で本にまとめてもらいたいなぁって思いました。

 

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅡ

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅡ

野宮有:著
マシマサキ:イラスト
電撃文庫


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2巻です。
1巻が電撃小説大賞、選考委員会奨励賞受賞作だった作品ですが、1巻だけの刊行ではなくそれなりに評判は良かったらしく2巻以降の刊行が決まったようです。
2巻のあとがきによると、今後も続いていくという事なので、それなりには人気あった模様。
僕の評価はまぁまぁな感じの作品でした。ただ読みにくかったという評価を1巻の時にしてましたね。

さて2巻。
1巻で悪魔を呼び出す依り代となってしまったシエナを救うことに成功した、ラルフとリザのコンビですが、それが仇となってしまい、フィルミナード・ファミリーからの依頼を断りにくくなってしまうという状態に。
それまではフリーの銀使いとして、警察なんかの仕事を請け負うことが多かったと描写されてましたが、今回はフィルミナードの依頼で下部組織を狙った襲撃に対して捜査みたいなことをすることになってます。
その過程でフィルミナード・ファミリーの下部組織スクリーム・ハウスと施術士であるドナートを保護するように動くことになります。
そして、ドナートを、そしてスクリーム・ハウスを、その上のフィルミナードを復讐の対象とする銀使いであるウェイドという人物と交戦することに。
なんども戦うことになるのですが、ほぼ毎回命からがら。ラルフの機転で命を拾ってるという展開が続きます。
ウェイドの能力が読めない上、防御攻撃に使えるようであり、悪魔の能力なしでも単体でも体術や戦闘術に優れたウェイド攻略を進めながら、何故、ウェイドがドナートを狙うのかとか、シエナを救う方法を見出したいという希望を抱いたり、覚悟をしたりという巻になってます。

1巻同様、ほぼほぼラルフの視点で話が進んでいくのですが、ラルフの知らないウェイドの過去とかを読者は読むことになるわけで、ラルフとウェイドの類似を意識せざるを得ませんでした。
1巻でシエナを救えなかったら、今後、シエナを失ったら。
ラルフの行く末ってウェイドの様な状態っていう道筋が明示されたような感じがして、ドキドキする感じでした。
しかも、今回、シエナ割と危ない場所へひょっこり出てくるし。
危険危険。
まぁ、ラルフが仮にウェイドみたいになったとしても戦闘力が違いますから、ウェイドの様な行動はとれないでしょうけれど。
ラルフの能力はラルフのように特殊で銀の弾丸の悪魔に精神汚染されてない状態じゃないと有効に使えないですからね…。

1巻に比べて作者がこなれたのか、読みやすくて、展開も早いので楽しんで読むことができました。1巻も面白かったんですけれど、読みにくさはやっぱりネックにはなってたので。
こういう話ですから楽しんで読んでも、最後にはちょっと悲しい展開とかあったりで、純粋に面白い!楽しいという作品ではないですけれどね。
格好良さとか、主人公(この場合ラルフ)の背負ったものなんかをかみしめながら読むという感じでしょうかね。

しかし。
リザが影が薄い。1巻でも割とそんな面があったのはあったのですけれど。
今回、特に影が薄く感じました。
常にラルフと一緒に行動していて、出てない場面がないんですけれど、ラルフの視点がシエナに行ってるのでヒロインという立場ではないんですよ。
この男くさい作品の中で、紅一点の戦闘能力者なんですけれど、ヒロインではないというだけでこうも扱いが微妙になってしまうのか。
今の状態だと、どう考えてもラルフの戦闘オプションです。
もうちょっとリザを掘り下げてほしいなぁと思いました。
シエナと絡んでると普通女の子って感じなんですけれど、それだけだと埋没しちゃう感じ。戦闘狂という描写はされてますけれど、他の銀の使いに比べると理性を保ってる風もあるし(ラルフ程ではないけれど)、今後、リザを掘り下げてほしいなぁ。もしくはリザ視点ってのも面白いかもしれないですね。

最後の最後でウェイドの精神が救われて良かったと思いました。
彼は良い人なので、復讐者として壊れた銀使いとして終わるのではなく、暖かく優しい思い出の中で逝って良かったのではないかなと思います。
その過程はとても苦痛まみれでとてもじゃないけれど救われていたとは思えませんが。
そして、今回から具体的に動き始めたシエナを救うための行動。
うまくいけばいいなぁ。
悲しい終わりは見たくないので。
海に行くという約束を果たしてもらいたいなと思いました。

 

86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト―

86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト―

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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7巻です。
6巻まででロア=グレキア連合王国での戦闘はひと段落という形になり、第86独立機動打撃群は休暇に入ります。まずはひと月の学業、そしてその後に本格的な休暇という形でヴァルト盟約同盟を隊全体で訪れています。
休暇という形だけではなく、フェルドレスの新型兵装のテスト、シミュレーション、およびゼレーネへの尋問というお仕事もあり、それを兼ねて同盟国で行うという形になったようです。
まぁ、同盟国でそれらをやることになったのは、エイティシックスへの休暇を与えたいのだけれど素直になれない大人たちの事情です。(笑)
ヴァルト盟約同盟は温泉地であるので、白羽の矢が当たったという事です。
ゼレーネへの尋問もあるので、6巻までの登場人物であるヴィーカとレルヒェも帯同しています。

この巻のすごいところは、86って戦闘、戦争の話ですよね?この巻、まったく戦闘描写がないんです。
いや、あるにはあるんですけれど、危機的状況!って見せかけてシミュレーションなので実際にはまったく戦いが無い巻になっています。
あとがきに、「タイトル詐欺とか言わない」と書かれていて、本当のサブタイトルが湯煙旅情編であるとかかれています。
それが、まさにその通りで、温泉地で繰り広げられるあれやこれやを描いています。
もちろん、シリアスなパートとしてゼレーネへの尋問があるわけですし、話のメインになるのはシンとレーナの恋の行方な訳ですし、ギャグ一辺倒というよりは戦闘は無いにしろそれなりにシリアスな話ではあるんですよ?
でも、それを上回る温泉回のギャグパートの印象が強くてですね。
いや、笑っちゃいけないんだと思うんですよ?この巻の内容も一応シリアスですからね?でもそれを越えて笑かしてくるので、イメージが崩れるかもしれません。
でも、それでも86ではあるので、基本は押さえてある感じですけれどね。

シンとレーナの恋の行方はシンの方は6巻までで心が定まった感じで、比較的安定して描かれています。
レーナに対して遠慮するところとか、レーナがよそよそしくなって困惑したりはしますけれど、それでも揺るがない心がある感じでした。
その中で、アネットを幼かったころの様にリッタと呼んだり、今まで切り捨てていた過去の記憶やらと向き合い始めてる描写がされています。
そして、一緒にいる相手として選んだ相手はレーナだというのがシンの立場でそれは崩れてないという感じ。
この巻では今まで揺れ動いていたシンの代わりにレーナ側が揺れ動いて、シンの隣にいるのは何も自分でなくてもいいのではないかと考え始めてぐーるぐるって感じです。
結果的にはレーナも落ち着くところに落ち着いて、シンとの関係を確かめ合うという流れになってました。
焦れるね。この二人の話は本当に。
まぁ、これがこの二人なんでしょうけれど。

ゼレーネの尋問は当初うまくいかず…。
でもシンが話しかけたことで少しずつ前に進み始めて、結果的にレギオンを停止させるにはどうすればいいかを聞き出すことに成功します。
それには帝国の皇帝の血統が必要でという事で、もう途絶えてしまっているという絶望感が漂ったところで幕です。
ただ、読者や軍上層部は知っていることとしてフレデリカが皇帝の血統であることを確認するように明示されていて、これからの戦いの方向性が見えてくる終わり方でした。

まるまる1冊つかってシンとレーナの恋の行方と今後の展開を開示してきたという感じの巻でした。
今までの殺伐とした印象が嘘のような巻でしたけれど、やっぱり次の巻からはもとに戻るんだろうね。
フレデリカがどうなっていくのか、彼女をシンとレーナがどうやって守っていくのかというのが今後の展開になっていくのかなと予想しながら、この巻の幸せな印象の余韻を次の巻まで感じていたいと思いました。

 

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日記は思考が結構、鬱っぽいので鬱日記になること多し。
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