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とりあえず日々思ったことなんかをつらつらと。

 

デスペラード ブルースⅢ

デスペラード ブルースⅢ

江波光則:著
霜月えいと:イラスト
ガガガ文庫


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3巻目です。そしてまだまだ続くよ?
この巻でも話の終わりは見えず、続くで終わっています。
江波さんの作品では葬式三部作と魔術師スカンクシリーズが3冊でしたので、これでこの作品が最長の作品になることは決まりましたね。
どれくらい長くなるのかが気になるところですが、10冊はいかないだろうなと想像してます。
そこまで長い作品を書くタイプの著者さんじゃないかなと。

今回は前回のラストで戦闘開始状態になった氷室奉先との戦いを描いていくという感じでした。というよりもプロローグ、エピローグを語られるのが氷室の事で、この巻の主役は彼という感じ。
もちろん、白夜が全体の主人公であり、その点は変わり無いのでストーリー自体は白夜を中心に白夜の語りで進んでいくのは変わらずなんですけれど、全体的に氷室のことを語っていることが多くて、彼が主人公のように見えちゃうこともあるといった感じ。
神座という特殊な街での、支配層の一角である玄翁神社の成り立ちとそこの祭司である氷室という人物がどういう人物なのかに焦点が当たっています。
あまり、白夜の両親と妹の敵に関する話や、神座講の話は少な目。一応、白夜に対してその話が振られるという形にはなってるのですが、実際にその話を詳しく聞く様なシーンはありませんでした。
だから、あんまり話が進んでる気がしないんですよね。
ただ、戦ってるだけという印象が強いです。
でも戦って結果的に勝ちを得るということで、神座での白夜への注目度が少しずつ上がっているのかな?という気はします。
それまでは無明拳の使い手というと白夜の師匠である司であり、白夜はノーマークだったのが、神座の支配層につながる人に白夜の存在が少しずつだけれども知られて行ってる感じはしました。
ちんこ丸だしという情けない知られ方だったとしても。(笑)

まずは氷室との第1戦。
鳴海とのコンビで戦うんですが始終押されっぱなし。
鳴海が投げれない、白夜の攻撃はなんかダメダメでそもそも届かないという感じで、最後はグレーチング(側溝なんかにはまってる金属の蓋ね)でぶん殴って気絶させるって手段で一応は勝ちを収めます。勝ったって言えるのか?(笑)
その後、六花とのやり取りで、六花と勝負することに。
が、その勝利条件がエロいことだったり、白夜が蟲打を使ったりしたもんだから、変なことに。さらに鳴海が乱入して女性二人にもてあそばれる白夜君の図。
これラノベだよね。と思いながら、ガガガだからいいのかとか思ったりもしてました。
でちんこ丸だしのところに六花の兄が入ってきて、この騒ぎが終了します。
それで、日常へ戻ったかと思えたところに、市河から連絡があり銃を持った集団に襲われているという話が舞い込み、そこへ駆けつけると大体自体は解決してるけれど、また氷室が暴れてるという状況。
不知火と元春が対応してたけど、結果負け。黒曜も銃を持ち出して氷室を狙うけれど失敗して殺されかけるという事態に。
そこで、白夜と氷室との第2戦。
今度は、白夜がこれまでのやり取りでつかんだ感覚を元に戦って無明拳の無明拳らしい戦い方というのを会得していくという流れなってます。
その結果、氷室を倒すことに成功。

最後は庵から神座で行われる集会の話を聞いて、ざわっとするという終わり方。
庵は白夜を暗殺に使おうとしてるわけで、でも、白夜にはその気は無くて。
それでもそれを実行すれば、敵に少し近づけるという話があってという葛藤を迎えたところで終幕。
中々じらされてる感じがしますね。

ところで氷室奉先は吹奏楽部で構ってくれた女の子のところを一度訪ねたらいいと思います。主人公じゃなくて脇役でも気分のいい生き方ってのを教えてもらえる気がしますよ。それに気づくのはいつになるんだろうな。
なんか気づいたっぽい感じもしますけれど。
でも白夜に負けたことから、しばらくは出てこないかな。氷室。
彼が主人公だった話はこれで終わっているので。

ということで続くになってる3巻目。
次、どうなるんだろうというのが気になりますが、戦ってばかりだと興ざめしちゃうなぁ。もっと陰謀的なところに引っかかってその辺で話を展開してほしいですね。
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悲終伝

悲終伝

西尾維新:著
講談社ノベルズ


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伝説シリーズ10巻目。最終巻となります。
最後の最後にタイトルに終わりが入っていて、10をあらわす読みがされるとかできすぎでしょ。
これまでの2巻から9巻まではあまりタイトルと内容が一致していなかったですけれど、さすがにこれはきちんと内容と一致しています。
物語に決着がついて、そしてエピローグへという形になってます。

時系列が少し9巻と前後します。
物語のスタート時点で、まだ空々たちは行方知れず状態になっていません。
8巻の直後からつながる形になります。
地球(の擬人化)が太陽と惑星たち9人(の擬人化)を小さな悲鳴で葬ったところから始まります。
空々がとっさに地球にアタックして首を絞めて殺害しようとしたのですが、途中で剣藤との過去を思い出してしまい、最後までやり切れませんでした。
すんでのところで地球を取り逃がすという出だし。
ここでちょっと思ったのは、空々くん変わったなということ。
1巻のころの空々だったらたぶん、地球を取り逃がすことはなかった。剣藤とのことを思い出して手を緩めるなんてことはしなかったと思うんですよね。
感情がないとはずっと言われていましたが、全くないわけじゃなくて感情の片りんみたいなのは持っているんですよね。空々。それが顕著になったというのがこの巻かなぁと思いました。
たぶん、もう一度読み直してみれば、1巻とそれ以降の巻では空々の感情の振れって違うんだと思います。1巻ではほぼ振れないなんですよ。でも2巻以降では剣藤を殺していることから、折に触れて感情は少しだけれども揺れている。
それが致命的なところで出たという感じでした。

そこからは怒涛の展開。
地球との対決に失敗した時点で宇宙船「悲衛」が静止軌道を外れたりして、てんやわんやの状態に。
地濃さんがリビングデッド2で蘇生を試みていた月が一瞬蘇って重力で「悲衛」を月に着陸させるものの、着陸自体は墜落と変わらない状態で好藤の土の魔法で何とか受け止めたような状態。
ここで、通信機などが壊れたことにより9巻冒頭の行方知れず状態が開始されます。
とりあえず、「悲衛」としては地球と月がリンクしてることから死んだふりをすることに。
で、空々が脱出方法とかを検討するのだけれど、その間にトゥシューズが実は四国ゲームを秘密裏に脱出していた地濃以外のチームウィンターの一員だったとか明かされたり、火星が生きてて人間王やってるとか、いろいろな話が展開していきます。
空々の脱出方法は結果的にジャイアントインパクトと同じことになるということで、地球人類が死滅しちゃうから却下となります。
そんなこんなしてる内に、地球にいる手袋から月を通して連絡が入り、人間王のところにいるんだけれどとかそういう話がつながっていきます。
そして、ぽろっとでた、「破壊丸」をマルチステッキに変えたアイテムの存在が人間王に伝わったとたん、空々が立てた脱出プラン通りに月が地球に向けて動き出して、どうするの状態に。
月を近づけようとしてた方法を応用して月を止めつつ、今度は鋼矢たちと会話がつながって空々の中で最後のプランが出来上がるという流れ。
結局9巻で出てきた宇宙船とかその話も盛り込んで、地球と再び会話することになります。

最後の地球との会話で、いろいろ危ない橋を渡りながら、感情というものを空々を理解すると同時に、プランがうまく行って大団円を迎えるという感じ。
初期はでは地球と戦うということで地球陣とバトルしたりしてたけれど、結局は西尾維新らしく最後の最後は会話劇だけで話が進行して終わってしまった感じでした。
エピローグは100年生きた空々と地濃の会話で幕。
結果的に地球を救ったけれど、ほめられはしなかったみたいですね。英雄は。
でも、それでも、感情というものを得て、人として100年過ごすことができた。
それが結果なんだなという感じで終わっていきました。

この伝説シリーズ。
最終巻なので全体を振り返ってみて思うのは行き当たりばったりが多すぎて、あんまり楽しめなかったなぁという感じ。
空々があんなであるので、基本状況に対処していくという感じで物語が進むのですが、能動的に何かをするということがないのでフラストレーションがたまるというかですね。
あまり僕の好みにはあってなかったなぁ。
そして、あまりに冗長な気がします。
分厚い本で2段組みなんですけれど、半分でいい感じです。
そもそも四国ゲームもやたら長かったですしね。
最後の方の怒涛の展開とか考えると西尾さんはもっと続けたかったのかもしれないなぁと思いました。四国ゲームの話が地球と戦ってる話なのに地球そっちのけで何やってるんだろうと思っていたんですけれど、その後、展開のスピードが上がって9、10巻の内容的にはいままでだったら2冊3冊使ってたよね?という感じでしたので。
バランスがあんまりよくなくて、起承転結がはっきりしない作品でした。
キャラクターの会話を楽しむというのが西尾作品の特徴でもあると思うのですが、それも本作は物語シリーズなどと比べると、魅力があんまりないなぁと感じてました。
でも、終わりまで読めて、そして最良の終わり方ではあったので、それはそれでよかったかな?

一番お気に入りのキャラクターは地濃さんです。
クズクズ言われていて、キャラクターどころか地の文でまでクズ呼ばわりされた彼女ですが、一番なんか空々の事をわかってたんじゃないかなって思うんですよね。
自分をクズな立場に置くことで回りを潤滑に動かす人だった。そんな感じがしてなりません。
まぁ、本当にクズなのかもしれないですけれど。
愛すべきキャラクターだと僕は思いました。

長かったなぁ。伝説シリーズ。

 

ソードアート・オンライン22 キス・アンド・フライ

ソードアート・オンライン22 キス・アンド・フライ

川原礫:著
abec:イラスト
電撃文庫


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22巻です。
ユナイタル・リングの続きが気になっていたので、22巻が出るときいてやっと読める!と思いきや、22巻は過去に発表された短編集となりました。
具体的にはアニメ版のブルーレイやDVDに特典として付いていたものに加筆修正して本にまとめたという事になります。
今回まとめられた短編は4編でどれも初出から4年くらいは経ってるので妥当な線かなというところ。
この短編小説目当てでブルーレイなどを買った人にはご愁傷様になってしまいますが、まぁ、せっかくの書かれた作品ですし1万本売れれば大ヒットと呼ばれる円盤業界の狭い範囲にしか公開されないよりも、後でこうやって本になった方が作者としても読者としても良い感じではないでしょうか?
ブルーレイなんかを買った人は先行で読める権利を買ったという事で納得してもらうとして。
そういえば、僕が買うブルーレイってあんまり小説が付属してるの無いな…。

収録されているのはキリトやアスナをメインとした作品が3編。
これはアインクラッド時代の話が1本とAOLでの話が2本となっています。
もう1編はほかの3編の倍くらいの分量があるのですが、ユウキとその姉であるランがスリーピング・ナイツを結成する切っ掛けになる話です。
気軽に読めるのは前3本で、ユウキの話はどうしても重くなりがちです。
それなりに覚悟が必要な話かなと思いました。ラノベですから、そんなに重い書き方はしていないですけれど。死に向かっていく中、何を残せるかという話なのでね。あまり軽い気持ちで読んで良いものでもないかなというのが僕の印象です。

アインクラッド編の1本はキリトとアスナのプレイヤーホームにまつわる話。
ユナイタル・リングでも大切にされ修復を試みられている家ですが、まさかそんなエピソードがあったとはという感じに。
読んでみればすぐわかるのですがオズの魔法使いです。
イベントでプレーヤー向けに売られていた物件が空を飛ぶという話。
ザ・シードのゲームが持っている自動イベント生成システムの一環という触れ込みで書かれてますけれど、これ、キリトたちが経験してクリアした後には、家はキリトたちに買われてしまって空を飛ぶことが無くなっているので、他の人、このイベント経験できないじゃんと思いました。
全体的にライトで読みやすく面白い話。

AOLでの話の1本は、アスナが救い出された直後くらいの話。
感覚が引っ張られる感じがあり、幽体離脱じゃないけれど反応が遅れるという現象がアスナに現れて、それの原因を探りながらもボス戦に挑むという話。
ボス戦中にその現象が起こって危機に陥るので、このままじゃゲームがうまく進められないぞというところで、原因を突き詰めてみればキリトへのアインクラッドで亡くなった人からのメッセ―ジだったという話です。
読んでみると涙無くしては読めない話でした。

もう一本はかつてアニメ第一期のExtra Editionと対になってるような話。
あれで海にいってクラーケンとかと話をするという出来事ありましたが、その内容から連作イベントなんじゃないかとあたりをつけたキリトたちが今度は世界樹の頂を目指すという話になっています。
これは純粋にゲームとしての面白さを描いてる作品っぽくて、こういう風にして次のイベントを探るってのは楽しいだろうなぁと思いました。
結果的にイベントはあったけれど、キリトたちはまだ条件を満たしてなくてイベントスタートをできなかったという結末になりますが、世界樹の枝=強力な魔法の杖を手に入れるという結果が舞い込んできます。この辺はキャリバーとも対になってる感じですね。
良いんですかね?世界に名だたる武器を二つもひとつのパーティというか夫婦で占有しちゃって。(笑)

ユウキの話はSAOの中で何回か話に出てきた医療用のVRワールドの話となってます。
そこで終末医療を受けていたユウキとランがVRMMOの世界に飛び込んでいく切っ掛けになった人物の話。
SAOのベータテスターだったけれど、脳腫瘍が見つかった為にSAO事件には巻き込まれなかった人物が、終末期にどう考えてどういう行動をとるかというののひとつを描いています。
人として生きた証や、命をどう使うかという事に視点が当たっており、すごく考えさせられる話になってました。
結果的にユウキの今後の生き方を決定づける切っ掛けになる話となっています。
あの明るいユウキですが、このころにはまだ少し、姉の後ろに隠れてる印象があるのがとても意識に残りました。
ユウキとランの治療にはメデキュポイドの試験に参加しているかという事で、若干の違いがあり、ユウキは無菌室におりランは一般病棟という残酷な差があります。
同じ多剤耐性HIVによるAIDSですが、ランの方が無菌室じゃない分、合併症が進行しているという状態であるのも、この話を重くします。
なんでも少しユウキより前をゆくランからいずれはユウキが独り立ちしないといけない現実があるのを知っているわけでそれを意識して読んでいると、また重くなる。
とても考えさせられ話でした。

今回は短編でしたが、ユナイタル・リングの続きはそれほど待たずに刊行されるとあとがきにありました。
続きを読みたいというのはあるのですけれど、こういう短編を読んで世界観が補完されていくのも良いですね。
いい感じに作品の世界観に深く関われてる感じがする巻だったなぁっておもいました。
できれば、まだ本になってないブルーレイなどの特典が今回のと同じくらいの量があるみたいですし、そちらもできるだけ早い段階で本にまとめてもらいたいなぁって思いました。

 

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅡ

マッド・バレット・アンダーグラウンドⅡ

野宮有:著
マシマサキ:イラスト
電撃文庫


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2巻です。
1巻が電撃小説大賞、選考委員会奨励賞受賞作だった作品ですが、1巻だけの刊行ではなくそれなりに評判は良かったらしく2巻以降の刊行が決まったようです。
2巻のあとがきによると、今後も続いていくという事なので、それなりには人気あった模様。
僕の評価はまぁまぁな感じの作品でした。ただ読みにくかったという評価を1巻の時にしてましたね。

さて2巻。
1巻で悪魔を呼び出す依り代となってしまったシエナを救うことに成功した、ラルフとリザのコンビですが、それが仇となってしまい、フィルミナード・ファミリーからの依頼を断りにくくなってしまうという状態に。
それまではフリーの銀使いとして、警察なんかの仕事を請け負うことが多かったと描写されてましたが、今回はフィルミナードの依頼で下部組織を狙った襲撃に対して捜査みたいなことをすることになってます。
その過程でフィルミナード・ファミリーの下部組織スクリーム・ハウスと施術士であるドナートを保護するように動くことになります。
そして、ドナートを、そしてスクリーム・ハウスを、その上のフィルミナードを復讐の対象とする銀使いであるウェイドという人物と交戦することに。
なんども戦うことになるのですが、ほぼ毎回命からがら。ラルフの機転で命を拾ってるという展開が続きます。
ウェイドの能力が読めない上、防御攻撃に使えるようであり、悪魔の能力なしでも単体でも体術や戦闘術に優れたウェイド攻略を進めながら、何故、ウェイドがドナートを狙うのかとか、シエナを救う方法を見出したいという希望を抱いたり、覚悟をしたりという巻になってます。

1巻同様、ほぼほぼラルフの視点で話が進んでいくのですが、ラルフの知らないウェイドの過去とかを読者は読むことになるわけで、ラルフとウェイドの類似を意識せざるを得ませんでした。
1巻でシエナを救えなかったら、今後、シエナを失ったら。
ラルフの行く末ってウェイドの様な状態っていう道筋が明示されたような感じがして、ドキドキする感じでした。
しかも、今回、シエナ割と危ない場所へひょっこり出てくるし。
危険危険。
まぁ、ラルフが仮にウェイドみたいになったとしても戦闘力が違いますから、ウェイドの様な行動はとれないでしょうけれど。
ラルフの能力はラルフのように特殊で銀の弾丸の悪魔に精神汚染されてない状態じゃないと有効に使えないですからね…。

1巻に比べて作者がこなれたのか、読みやすくて、展開も早いので楽しんで読むことができました。1巻も面白かったんですけれど、読みにくさはやっぱりネックにはなってたので。
こういう話ですから楽しんで読んでも、最後にはちょっと悲しい展開とかあったりで、純粋に面白い!楽しいという作品ではないですけれどね。
格好良さとか、主人公(この場合ラルフ)の背負ったものなんかをかみしめながら読むという感じでしょうかね。

しかし。
リザが影が薄い。1巻でも割とそんな面があったのはあったのですけれど。
今回、特に影が薄く感じました。
常にラルフと一緒に行動していて、出てない場面がないんですけれど、ラルフの視点がシエナに行ってるのでヒロインという立場ではないんですよ。
この男くさい作品の中で、紅一点の戦闘能力者なんですけれど、ヒロインではないというだけでこうも扱いが微妙になってしまうのか。
今の状態だと、どう考えてもラルフの戦闘オプションです。
もうちょっとリザを掘り下げてほしいなぁと思いました。
シエナと絡んでると普通女の子って感じなんですけれど、それだけだと埋没しちゃう感じ。戦闘狂という描写はされてますけれど、他の銀の使いに比べると理性を保ってる風もあるし(ラルフ程ではないけれど)、今後、リザを掘り下げてほしいなぁ。もしくはリザ視点ってのも面白いかもしれないですね。

最後の最後でウェイドの精神が救われて良かったと思いました。
彼は良い人なので、復讐者として壊れた銀使いとして終わるのではなく、暖かく優しい思い出の中で逝って良かったのではないかなと思います。
その過程はとても苦痛まみれでとてもじゃないけれど救われていたとは思えませんが。
そして、今回から具体的に動き始めたシエナを救うための行動。
うまくいけばいいなぁ。
悲しい終わりは見たくないので。
海に行くという約束を果たしてもらいたいなと思いました。

 

86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト―

86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト―

安里アサト:著
しらび:イラスト
I-Ⅳ:メカニックデザイン
電撃文庫


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7巻です。
6巻まででロア=グレキア連合王国での戦闘はひと段落という形になり、第86独立機動打撃群は休暇に入ります。まずはひと月の学業、そしてその後に本格的な休暇という形でヴァルト盟約同盟を隊全体で訪れています。
休暇という形だけではなく、フェルドレスの新型兵装のテスト、シミュレーション、およびゼレーネへの尋問というお仕事もあり、それを兼ねて同盟国で行うという形になったようです。
まぁ、同盟国でそれらをやることになったのは、エイティシックスへの休暇を与えたいのだけれど素直になれない大人たちの事情です。(笑)
ヴァルト盟約同盟は温泉地であるので、白羽の矢が当たったという事です。
ゼレーネへの尋問もあるので、6巻までの登場人物であるヴィーカとレルヒェも帯同しています。

この巻のすごいところは、86って戦闘、戦争の話ですよね?この巻、まったく戦闘描写がないんです。
いや、あるにはあるんですけれど、危機的状況!って見せかけてシミュレーションなので実際にはまったく戦いが無い巻になっています。
あとがきに、「タイトル詐欺とか言わない」と書かれていて、本当のサブタイトルが湯煙旅情編であるとかかれています。
それが、まさにその通りで、温泉地で繰り広げられるあれやこれやを描いています。
もちろん、シリアスなパートとしてゼレーネへの尋問があるわけですし、話のメインになるのはシンとレーナの恋の行方な訳ですし、ギャグ一辺倒というよりは戦闘は無いにしろそれなりにシリアスな話ではあるんですよ?
でも、それを上回る温泉回のギャグパートの印象が強くてですね。
いや、笑っちゃいけないんだと思うんですよ?この巻の内容も一応シリアスですからね?でもそれを越えて笑かしてくるので、イメージが崩れるかもしれません。
でも、それでも86ではあるので、基本は押さえてある感じですけれどね。

シンとレーナの恋の行方はシンの方は6巻までで心が定まった感じで、比較的安定して描かれています。
レーナに対して遠慮するところとか、レーナがよそよそしくなって困惑したりはしますけれど、それでも揺るがない心がある感じでした。
その中で、アネットを幼かったころの様にリッタと呼んだり、今まで切り捨てていた過去の記憶やらと向き合い始めてる描写がされています。
そして、一緒にいる相手として選んだ相手はレーナだというのがシンの立場でそれは崩れてないという感じ。
この巻では今まで揺れ動いていたシンの代わりにレーナ側が揺れ動いて、シンの隣にいるのは何も自分でなくてもいいのではないかと考え始めてぐーるぐるって感じです。
結果的にはレーナも落ち着くところに落ち着いて、シンとの関係を確かめ合うという流れになってました。
焦れるね。この二人の話は本当に。
まぁ、これがこの二人なんでしょうけれど。

ゼレーネの尋問は当初うまくいかず…。
でもシンが話しかけたことで少しずつ前に進み始めて、結果的にレギオンを停止させるにはどうすればいいかを聞き出すことに成功します。
それには帝国の皇帝の血統が必要でという事で、もう途絶えてしまっているという絶望感が漂ったところで幕です。
ただ、読者や軍上層部は知っていることとしてフレデリカが皇帝の血統であることを確認するように明示されていて、これからの戦いの方向性が見えてくる終わり方でした。

まるまる1冊つかってシンとレーナの恋の行方と今後の展開を開示してきたという感じの巻でした。
今までの殺伐とした印象が嘘のような巻でしたけれど、やっぱり次の巻からはもとに戻るんだろうね。
フレデリカがどうなっていくのか、彼女をシンとレーナがどうやって守っていくのかというのが今後の展開になっていくのかなと予想しながら、この巻の幸せな印象の余韻を次の巻まで感じていたいと思いました。

 

キノの旅ⅩⅩⅡ -the Beautiful World-

キノの旅ⅩⅩⅡ -the Beautiful World-

時雨沢恵一:著
黒星紅白:イラスト
電撃文庫


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22巻です。
今年はキノの旅として刊行から20周年に当たるらしく、あとがきが20周年特別ストーリーとして、20年後のキノ達という形になってました。
相変わらずあとがきで遊んでいます。
キノの旅としては本編でも時系列が数年くらいの幅があるのですが、20年という形での時間変動が描写されたのは今までありませんでしたね。
あるのは師匠と弟子がキノの時系列でも登場するくらいですかね。
黒星さんのイラストではキノがまるきり師匠そっくりになってるし、シズは太ってるし。なかなか面白かったです。シズ一行は定住する土地が見つかったようでよかったです。
まぁ、これがオフィシャルの20年後ではないようですが…。
編集さんから没くらってるらしいので。(笑)

今回はプロローグ&エピローグ、口絵2話、本編7話で構成されています。
キノの本としては少し厚めで(一時期やたら薄い期間があったね)、読みやすい厚さでした。
でもなんか途中でいろいろ私生活であったせいでひと月かけてじっくり読む形になりました。
といっても実際には1話を途中で区切って読んでることはしてないから9日間くらいで読んだ感じです。
それでもこの厚さの本としては時間かかりすぎですけれどね。

印象に残るのはなんといっても、師匠と弟子の話とシズ一行の話。
シズ一行の話は時系列がずいぶん巻き戻って、シズがひとり旅をしてた頃、つまり傭兵として腕を磨いていた時期の話となっています。
この話で陸と出逢う事になるのですが、陸も犬、最初はこうだったのねという感じでした。子犬の世話に明け暮れながら旅をするシズの図が面白かったです。
師匠と弟子の話は胸が締め付けられるような内容。
本当の親と育ての親、どちらが大切かというのを究極の選択を突き付ける形で選択するという話になっています。貧乏な本当の親と裕福な育ての親、感謝するのはどっちという形で、選択として登場人物が選ぶのは裕福な育ての親という話。ただ、この話の主人公となる少女はそれを嫌ったのか、貧乏人の子を裕福な子供を失った家庭へ強制的に引き渡す制度がある国を抜け出すという話になっています。
本当は選べない、選んではいけないというところを、お金によって選んだ末路というか醜さというのを描いていてすごく胸が締め付けられるような感じがしました。

あと、キノの話では明確に「フルート」を所持していない話と所持している話が並んでいて久しぶりに時系列的な遊びが楽しめた感じがしました。
キノのライフルに対する要求があって、それゆえにライフルはもっていなかったんだけれども、その次の話(エピローグ)では「フルート」を持っているというね。
どうも携帯に便利なのがよかったようで、分解可能な「フルート」は願ったりだったんだね。
そういえば、「カノン」は師匠からもらったもの、「森の人」は弟子からもらったものということでそれぞれのエピソードあありましたが、「フルート」入手のエピソードってありましたっけ?
さすがにこれだけ話が増えてきてしまうと忘れてるのも出てくるなぁとちょっと感じました。

キノ20周年。
旅の終わりはいつ来るんですかね?まぁ、20年後のキノもまだ旅をしているようでしたから、まだまだ終わらない作品なのでしょう。
もしかして果てしない旅なのかしらね?

 

新約 とある魔術の禁書目録22 リバース

新約 とある魔術の禁書目録22 リバース

鎌池和馬:著
はいむらきよたか:イラスト
電撃文庫


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巻のナンバリングが独特というか23巻じゃないんですね。
新約のとある魔術の禁書目録23冊目です。
リバース…「reverse」なのか「rebirth」なのか迷い処なのですけれど、読んでみるとどちらにでも取れる内容。結果的には「rebirth」の方が内容に合ってるのかなと感じました。
新約のとある魔術の禁書目録の最終巻となります。

ストーリーとしては完全に22巻の後日談となっており、あの事件の後、イギリスで行われた戦勝パーティからお話が始まります。
国を挙げての戦勝パーティになっていて、まぁ要するに学園都市vsイギリスという構図での戦いに勝ったという体でパーティを開いているという感じ。
実際にはイギリス側の首魁であったローラ=悪魔コロンゾンが倒されたという事で、それに功績のあった上条をはじめ、食蜂、美琴、インデックスなどもイギリス王家主催のパーティに招かれてるという感じでスタート。
美琴と食蜂はあとから割り込んできた組ですし、上条やインデックスはアレイスターにくっついてきてイギリスに攻め込んだ側なんですけれどね。
まぁ、そういう風な体でも勝ちとしておかないといけないという感じなんですかね。

最初の方はのんきな感じにパーティの様子をひたすら描いていく感じ。
なお、一方通行や浜面など、あんまりイギリス側のパーティに顔を出しにくいメンバーはそうそうに退散しています。まだイギリス国内にはいて後々絡んでくるけれど。
ヒロイン連中のパーティ準備の様子を描いた後で上条が登場。
で、わちゃわちゃ騒ぎながら、パーティを楽しんでいると、スカイブルーとレモンイエローで彩られたドラゴンが乱入してという話になっています。
実はこのドラゴンが上条。パーティに参加していた上条は右手=幻想殺し(を含むなにか)が上条の姿をもしたものとなっています。
上条がこれまで失ってきた記憶とか右手の方はちゃんと覚えていて、上条が取らなかった選択ややらかしてきた失敗を踏まえて上で、救えなかった人を救おうとする意志を感じさせます。それは幻想殺し本来の意思というよりも宿主である上条の性質を引き継いだものだから。
それでも、起こってしまったことはそれなりに受け入れて、それでも前へ進むことを学んできた本物の方の上条は、幻想殺しを取り戻し、元の状態へ戻すことを選択します。
ここで幻想殺しにとってかわられるという選択肢もあるにはあるのですがそれを彼は是としませんでした。
これ、結果的に幻想殺しの方が上条の横やりで失敗して、食蜂をコントロールしきれなかったことやインデックスや美琴を暴走状態に駆り立ててしまったので悪者的に描かれていますけれど、もしそれが無かったら?というのは考えちゃいますよね。
でも、いままで主人公として頑張っていたのは上条なわけで、過去を変えられるわけでもないし、まして、本物の上条であれば、インデックスや美琴に危険が及ぶ可能性のある選択はしないということで、上条は幻想殺しの方を許せないと判断して戦うという結果に。仮にも主人公ですから上条はぶれない。幻想殺しの方は正義の味方として上条の域には達してないところを感じました。
一方通行とか、パーティ不参加組は上条に協力してパーティ警護に当たってる今までの上条勢力との戦闘になるという話。
最終的には落ち着くところに落ち着いて終わりますが、話自体はここ最近で一番緊迫感があったなぁと思いました。
また、魔術理論の展開とかなかったので、読みやすい禁書目録が帰って来たーとか思いながら読んでました。

それにしても食蜂さんは悲しいポジションだなぁ。
彼女のエピソードって時系列でいえばいわば最初の上条勢力なんですよね。でも、その記憶は彼女が上条と出逢った事件での治療の結果失われているわけで…。
しかも彼女の記憶だけじゃなくて、その後、上条はすべての記憶を失う訳なんですけれども…。
彼を慕って陰ながら助力とかをしているのに振り向いてもらえない。振り向いてもらえないだけじゃなくて正確に存在を把握してもらえない。
それはとても悲しいと思います。
そんな状態でもいつかと思ってるところに、記憶を持った上条が現れたらそら喜んじゃいますよね…。
彼女は悪くない。決して悪くない…。ただすごく悲しいだけです。
上条勢力には彼女のように彼を慕ってる人物が結構いますけれど、結果的に上条が最後に選択するのはインデックスなんだよなぁ…。
インデックスだけが彼にとっては庇護対象であって、他のメンバーはどちらかというと協力してくれる仲間的なポジションなんだよなぁ。
そういうことも今回の事で顕著になったような気がします。
新約ではインデックスを差し置いてヒロインしてた美琴でも、それは変わり無いと思うんですよね。
仲間が危機に陥れば助ける。上条にとっては当たり前の行動。
インデックスはその蚊帳の外にいて、できれば危険なことには触れさせないというスタンスを取ってますから少し扱いが違うんですよね。
少しの違いですけれど、そこが上条の思うところの人物関係なんですよね。

あとがきがはさまったあとにエピローグ。
一度崩壊した学園都市が復活していく様、皆が学園都市へ戻っていくところが描かれました。アレイスターは帰ってこなかったけれど、今度は一方通行がどういう学園都市の運営をしていくのかというのが気になるところです。
そして、残されたアレイスターの残滓。エイワスやアンナ=シュプレンゲルの暗躍がどうなっていくのかが楽しみです。
魔神との戦いで幕を開けた新約は終わりましたけれど、禁書目録はこれからも続くようなので…。
なげぇとは思いますけれど、ここまで付き合いましたし、今後も楽しみにしていきたいとおもいます。

 

アクセル・ワールド24 -青華の剣仙-

アクセル・ワールド24 -青華の剣仙-

川原礫:著
HIMA:イラスト
電撃文庫


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あとがきに1年ぶりになってしまいましたと書いてありますが、ぎりぎり1年ではなく11ヶ月ぶり。
まぁ、ほぼほぼ1年ぶりで前の23巻でも同じような状態だったので、白のレギオン・オシラトリ・ユニバースとの戦いに入ってからずいぶん時間が経過したように思えますけれど、作中では2~3日の間の話になっています。
この巻での時間経過も1日前後なので作中時間が全然進んでないのに、現実の日々はどんどん先に流れて行ってるという状態です。
ラノベは読者層が固定化されてるっぽいところがるので、一度読み始めた人は最後まで付き合ってくれる人が多そうですけれど、アクセル・ワールドのように巻数が多い作品ではどうなんだろうって思いました。
毎巻、コンスタントな売り上げってあるんですかね?

1年のブランクって大きくて、読み始める前にちょっとまって前巻ってどんな話だったっけ?っていう思いだし時間が数分必要でした。
幸いにして僕は読書感想を書いているので、それを読むことであぁ、こんな話だったというのはするっと思い出せたんですけれど、作品によってはそういうのきつかったりするだろうし、アクセル・ワールドは割かし話は単純な典型的なラノベに分類される作品ですので、思い出しやすいです。
ですが、これもうちょっと複雑な作品だったら、思い出せないってことで読者離れるんじゃないかなぁ。
作者の川原さんが遅筆なのではなくて、作品を多く手掛けている(4本同時展開)しているので、4ヶ月くらいという一般的なラノベの刊行ペースで刊行していると、同じ作品では次が出るのが1年先ってことになっちゃうんですよね。
なるべく早く、何かしらのシリーズを終わりにしてペースを戻さないと読者が離れるんじゃないかと心配になります。読者が離れて人気がなくなるとラノベ業界は厳しいのであっさり打ち切ってくるので最後まで話を読みたい派である僕にとっては痛いのでそういう事態になることだけは避けてほしいですね。幸いにして本屋での積み方をみるに、アクセル・ワールドとSAO関係は安泰っぽいけれど。

さて今回の内容は太陽神インティ攻略…。なんだけれど、その前にハルユキの修行タイム。前回にローズ・ミレディ―と協力してオーキッド・オラクルを救ったときに、聞いた謎の声の主に会う為、ハイエスト・レベルを目指すハルユキ。
いままでは絶体絶命になったときとか極限の集中をしたときしか、自力でのハイエスト・レベルへの接触はできなかったけれど、それを試すというところから。
10時間の集中によってそれを成功させて、謎の声の主=三代目ディザスターである、セントレア・セントリーとの邂逅に成功します。
既にバーストポイント全損にて、ブレインバーストから退場しているセントリーですが、その意識というか魂のコピーがメインヴィジュアライザー内に残っているのでこうして会えるというようなことが開示されて行きます。
特殊ケースによるポイント全損の場合、こうやって意識が残るようで、その場合、再度バーストリンカーとして復帰できる可能性があるという感じの説明をされ、セントリア・セントリーの復帰に力を貸すことになるハルユキ。
また、女の子と直結することになるのですが、どれだけ女性キャラ増やせば気が済むのか。たしかに、女の子いっぱいの方が華があるのは分かるのですが、ネガネビュラスの主要メンバーで男子はハルユキとタクムだけですよ?
復活したセントリア・セントリーはネガネビュラスに参加することにはなりませんでしたが、今後どう転ぶか分からないなぁというところ。リアル割れが厳禁なブレインバーストにおいて、あっさりとリアル割れしてるし。

そして、ハルユキの修行タイム。
リアル時間では数時間しかないけれど、加速世界では数ヶ月の修行期間があるということで剣の扱いがまだ素人なハルユキが効果や使い方が心意臭いとまで言われるセントリア・セントリーのオメガ流の剣術を修行開始。
タイムリミットが迫るなか、何かのいったんを見出せるかの勝負になっていきます。
そして、やってくるインティ攻略時間。ぎりぎり間に合ったハルユキが突然湧いたエネミー相手に修行の成果を見せつけて、いざインティ攻略開始。
インティ攻略はなんかこれまで引っ張ってきたのが嘘みたいにあっさり終了しましたが、その中から出てくるもの、インティの第二形態というか終焉神テスカポリトカをテイムすることがホワイト・コスモスの目的だったようで、それにはめられたという形で今回の話は終了。
インティは居なくなったけれど、テスカポリトカが居るということで無限EKは生きてる状態という中で、各王が生還しそうになってる=また瞬時にやられるという構図が出来上がってる状態だー!って所で引きになってるんですけれど、アクセル・ワールドっていつもこういう中途半端なところで終わるよね…。
普通のシリーズものだと1冊とか2冊単位で話がいったん切りのいい感じになるようになるんですけれど、アクセル・ワールドの場合、常に話の途中で切れる感じになってるんですよね。
前のエピソードと今のエピソードの境界が非常にあいまいなのもこの作品の特徴かなとも思いますが…。
あまり、刊行ペースが早くない状態でこれやられるの結構つらいですわ…。
もう少し刊行ペースを上げてほしいなぁ。と毎回思わされるのです。

 

小説 天気の子

小説 天気の子

新海誠:著
角川文庫


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映画「天気の子」のノベライズ。
といっても、「君の名は。」の時と同様に映画製作と同時に執筆されていたもので、ノベライズに当たるのか原作に当たるのかは微妙なところ。
発売日が映画の公開前日でしたね。
そうなってくると小説を読んでから映画を見るか、映画を見てから小説を読むかという問題も出てくるかと思うんですけれど、僕は映画を見てから小説を読みました。
で、実際感じたところとしては、映画を見てから小説を読んだ方がいいと思いました。
たぶん、映画の方がいろいろな受け止め方があって、帆高や陽菜に注視するかそれとももっと大勢の登場人物を包括的に見るかで、受け止め方が変わるような気がしました。
それに対して、小説版は絵で見せることができない分、帆高や陽菜以外の人物の内心についても触れてあって、たどり着く感想、感じ方としてはひとつに集約されてしまう感じがしたからです。
小説を読んでから映画を見てしまうと、小説で答え合わせをしたうえで映画を鑑賞することになるので、感じ方がきっと固定されてしまうなと思いました。

映画の感想をBlogに書いたときには書かなかったことなんですけれど、その後、映画を思い返して考えているうちにもやっとした感じを感じました。
結論として「天気なんか狂ったままでいい」ということで世界のありようを変えて陽菜を救いだすことを選択した帆高だったわけですが、その点についてやっぱり違う選択=陽菜救わないという選択をしないといけなかったのではないかと考えているように見れるところが最後の最後まで残っていて、陽菜を救ったことを後悔しているわけではないけれど、責任を重い責任を背負ってるんだという感じがなんとなく受け止める側として感じていました。
RADWINMPSの「大丈夫」がエンドにかかって、自分たちは大丈夫だと語られるのですけれど、それがどこまで実感を持ってるのかなぁというのが曖昧に思えたからです。重圧を背負って生きていくよという風に取れなくもないんですよね。解放されてない感じがあるともとれる。
対して、小説版でも基本流れは変わらないのですけれど、ことがすべて終わって3年後に帆高が東京へ再度出てきて陽菜に再会するまでの流れというののペース配分がちょっと違っていて、まず、神津島での卒業式の後で後輩たちに東京で何をしていたかを聞かれるシーンがあります。これで自分がやったことの振り返りをしたうえで、冨美や須賀に会ってから陽菜に会うわけですけれど、彼らの言葉が帆高がやったことなんか気にすることないという風に言っているように取れるようゆっくりページをかけて語られます。
このペースの違い?本を読んでいることで必要なことが言葉としてそこに紡がれていることと、画面の中やセリフからピックアップしないといけないのでは大違いで、冨美や須賀の言葉の重さが小説の方が重く感じられました。
特に須賀のセリフはことの顛末を知ったうえでのことになるわけで、映画だと場面の軽さから軽くとれちゃうんだけれども、小説だとその部分ってのがもうちょっと盛ってあるせいもあって世界を変えたなんて思いあがるなっていう彼のセリフがすごく重くて帆高を解放してくれるセリフになってるんじゃないかなと感じました。

それでもやっぱり最後は自分たちのしてしまったことへの責任を感じつつの「大丈夫だ」で終わるんだけれども、そこに「許されている」と感じることができているか、曖昧なまま決意としての「大丈夫だ」なのかというのが小説版ではきちっと規定されていて、「許されている」という前提がきちんとあったうえでの背負うものは背負っての「大丈夫だ」になってるように感じました。
そこが、映画を見た後でもやっとした部分との大きな違い。
小説版ではこのもやっとした部分がなかったんですよね。責任を感じてはいるけれど、冨美や須賀に励まされたものを受け取ったうえでの「大丈夫だ」になっている。
これは大きな違いだと感じました。
もやっとしなかったもの。

「天気の子」ってその内容からして、帆高を許す許さない論や、帆高のしたことを許容する大人たちをどう見るか論ってのはあると思う。
そこを許せないと思う人ってのは少なからずいるんではないだろうか?
エンターテイメントだから許す人の方が多いだろうけれど、実際の状態になったらどうかなぁと考えてしまうのはしょうがないと思う。
万人が救われた状態で終わる「君の名は。」とはちょっとその辺が違うところだなぁと思います。
でも「君の名は。」より「天気の子」の方が新海監督の作品らしいっていえばらしいと思うんだよね。
どちらも最後に主人公、ヒロインが別離しないというこれまでの作品とは違う展開なんだけれども、よりいい子ちゃんぶってる(笑)「君の名は。」より、作品に批判を受け入れる余地を残している「天気の子」の方が新海作品らしいなぁと思いました。
鬱屈してる感は欲しい的な?

というわけで、映画を堪能した後に小説版も堪能しました。
あとはBDを待ちたいですね。(笑)

 

ロードス島戦記 誓約の宝冠1

ロードス島戦記 誓約の宝冠1

水野良:著
左:イラスト
角川スニーカー文庫


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まさか出るとは思ってなかったロードス島戦記の新シリーズ。
その第1巻です。
なんでも作者も水野さんが執筆業30周年らしく、ということはロードス島も30周年ということでたぶん周囲の圧力に屈して書くことになったのではと推測しています。
幾らストーリーの案があったとしても、それを発表するかどうかは作者の気分にもよるでしょうし、ロードス島にはTRPGの背景世界であるという一面もあるため、あまり小説だけで展開をしてしまうとTRPGでプレーヤーが活躍する自由度が下がるという事になりかねません。たしかにロードス島コンパニオンやソードワールドは古いシステムになり、ロードス島を含むフォーセリア世界を使ってプレイしている人はもう少ないかもしれませんけれど、やっぱり、TRPGの背景世界にはプレーヤーの自由度を残しておいて欲しいなぁとこの作品が刊行予定に乗ったときに思いました。
まぁ、フォーセリア世界はリウイシリーズで結末としてされていた分が書かれてしまったらしい(リウイシリーズは未読)ので、TRPGの背景世界としては死んだ世界なのかもしれないですけれど…。
それにしても、水野さん自身、代表作「ロードス島戦記」ってのから抜け出したいみたいなことを言っていたと思うのにロードス島を書くってのは意外でした。

物語は邪神戦争から100年後。100年の平和な時間を過ごした後のロードス島が舞台になっています。
100年平和だった理由は、邪神戦争のあと、大賢者ウォートから各国の王にある宝物が贈られたため。それが誓約の宝冠で、これを戴冠した王様(一度戴冠すれば効果は王を退位するまで続く)の国同士では攻め込むことができず、どこかが攻められたら防衛に協力しないといけないというもの。領土不可侵条約と安全保障条約が一緒になったような宝冠です。
それを、ロードスの六王がかぶり、その後100年、それが代々維持されてきたというのが話の前提条件。
で、この宝冠、携帯電話の契約みたいに継続するかしないかを選べる時期ってのがあるのね。それは前の王様が退位して次の王様が即位するタイミング。
そのタイミングで新しい王様が誓約の宝冠をかぶればOKなんですけれど、今回、フレイムの王様が代替わりするときに、誓約の宝冠を拒否って、ロードス統一へ乗り出すという話になっています。
もともと邪神戦争の終結時にもフレイムは強大な国になってましたが、大地が潤ったことでさらに強化されていて、話の段階では他の国を足した軍事力を上回る軍事力を持っているという状態。それに対して主人公ライルの国であるマーモがどう動いてくかというのが話の大筋になってます。

主人公はマーモ王家の末弟ライル。
ライルを含めて、マーモは人材が実に豊富。
これ邪神戦争の時の影響も残ってるんだろうけれど、まず、エルフ族は邪神戦争経験者が生きてる。事実リーフが今も生きてマーモに残っていて協力している。
また、マーモ王国を作り上げるために英雄たちが残した足跡が至るところに残ってて、かつての英雄の影響をそこら中で感じることのできる国になってます。スレインとかレイリアとかニースとか、そしてパーンやディードリットね。
他の国が残す英雄譚が一人二人なのに対して、これがアドバンテージになってる感じ。
なんとなくだけれども、英雄達の行動をまねていれば外れはないです的なところを感じました。特にロードスの騎士パーンはもう死んでいるわけですが、その伝説を生き生きと伝えてるのがマーモ王族って感じなんですよね。ライル自身がパーンにあこがれる若者ですし。
ライルは今回の事件に対して、永遠の乙女と呼ばれるディードリットの力を借りようと行動を起こしていくキャラになってます。
また、マーモって闇の力が強くて子供が死にやすいという設定があるので、王族が多産。ライルも7人兄弟。今回の事件によっていろいろな選択肢は取れると思うのですが、それらを兄弟たちがそれぞれ考えて、マーモ生き残りのために動いていくという感じになります。

主人公ライルはその行動指針がロードスの騎士の伝承なので、結果的に戦争をそもそも止める派として動きます。そして、たどり着いたのがロードスの騎士を名乗ること。
それによって、ディードリットの心を動かし、人の心を動かし、対フレイム戦に備えつつあるという流れになっています。
ロードスの騎士をパーン以外の人が名乗ったら割と反感を食らうんじゃないかなぁと思ったんですけれど、当のディードリットからは感謝される(パーンの伝承を受け継いでくれる人がいてこそ、パーンの伝承が死なないで済むという理由)し、他の人々も割と怒ったり呆れたりせずに、そうかパーンの伝説を伝承するのね?的に動いてくれるんですけれど、ちょっと拍子抜け。反発する人とかいそうじゃない?それこそ、パーン、伝承で美化されてるわけだしさ…。
でも、すんなり受け入れる人が多かったですね。これは好意的に解釈すればパーンの伝説を受け継いでくれる人を望んでたってことなんですかねぇ。

それにしてもマーモの人材の豊富さのせいで、話がいくつかのパートに分かれて進行するのでライルの影が結構薄いです。
あと、妙に性的な描写を入れたがるのは新・ロードス島戦記のころからの癖でしょうかね?別段そういうの入れなくてもいいと思うんですけれど。
とりあえず、マーモが主人公格で今回の敵はフレイム。
今までとは逆のパターンですね。今までは何かと問題が起こるマーモに対して、パーンの要請を受けたカシューが助力してフレイムが動くって感じでしたから。
今のところ、フレイムの王となったディアスにはあまりいい感じを受けませんし、マーモの人材は割と皆、魅力的に描かれていますのでそのままディアス王の野望をくじくところまでが今回の話になっていくのかなぁと予想。
ディアス王のパヤートはそんなに好戦的な人じゃないっぽいし、この人がキーになっていきそうな感じ。

そうそう。
ロードス島の邪神戦争の100年後ってクリスタニアに向けて、統一戦争に負けた国の民が1000人脱出する時期なんだよね。それに合わせてフレイムがということになってるわけだけれど、これ、クリスタニアにつながるように終わるのかな?
というのも気になるところではあります。
クリスタニアの小説も今じゃ入手困難なんだよね。これに合わせて再販されないかなぁ。新装版とかでさ。水野さんの30周年だし。

 

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